観る極楽

映画はぴんときた作品だけ見ます。傑作でも大作でもなく、佳品と思える作品だけ。だからか、いつも人がまばらな映画館で、作品の世界にすっぽり包まれて過ごします。
なんかもう......といいたくなる忙しさにもかかわらず、映画を2本見てきました。どちらもとてもよかった。ささくれだった気持ちが、海蛇軟膏(沖縄産のこのクリームが我が家の定番)を塗ったみたいになめらかになりました。

「転々」
主演オダギリジョー&三浦友和。
ただ、転々と東京を散歩する映画です。
でも、それがいい。そこがいい。
監督は「小ネタ王」といわれる三木聡。小ネタふりかけに小ネタまぶし。
よぉく考えると、テーマはとても重いし、ある意味悲劇なんだけれど、そこをカバーしてやたらと明るく見せちゃう小ネタ、小細工の数々。
笑わそうとしないところで、思わずくすりと笑えてくる。
くすりと笑ったあとで、死体が出てきたりして。
服が全部ヘンで、全部かわいい。小泉今日子がもっているビニールの買い物かごに緑色のハンカチが結んであったり、三浦友和がかけるメガネがヘンにインテリヤクザの銀行マン風だったり、ほんの1分だけ出てくる品のいいおばあさんのスーツがシャネル風だったり。
どこを歩いているのかな? と目を凝らして、ああ、深大寺、ああ、高円寺だ、あ、そこ吉祥寺なんですけれど......とかたどっていくのも楽しい。
それにしてもオダギリジョー。「ゆれる」ですっかり開眼ですね。「東京タワー」は???だったけれど、「転々」のオダギリはいい。肩の力が抜けている。その分、何をやってもオダギリジョーだけれどね。

「onceダブリンの街角で」
主演グレン・ハンサード&マルケタ・イルグロヴァ
音楽映画です。ミュージカルではない。バンド映画でもない。
恋愛のドラマなんだけれど、恋愛映画ではない。
音楽映画にこういうつくりかたがあるんだ。
どの曲もいいんだけれど、2人がさびしい者同士、魂がふれあう、というか、同調するというときに歌うFalling Slowlyという曲がとてもいい。映画のテーマミュージックでもあります。
主演のグレン・ハンサードは私が愛してやまない「ザ・コミットメンツ」というロディ・ドイル原作の映画でギターをひいていました。本物のストリートミュージシャンです。
主演の2人は名前もない。guyとgirlとしか出てきません。
名もないもの同士が通りで出会い、音楽を通して近づき、そして別れていく。
ただそれだけ。
グレン・ハンサードとマルケタ・イルグロヴァ(チェコのミュージシャン)も同じような出会いだったとか。
いい映画です。こういう映画が好き。

夕飯はブリの照り焼き、大根おろし添え、アンキモ(お寿司屋さんにおそわったやりかたで作ってみました)、ナスとしめじのお味噌汁、ほうれん草のごまあえ、キッシュ・ドゥ・ロレーヌひときれ。
夕飯を食べ終わってから出かけたのですが、いまだにおなかがいっぱいです。ふ?。

新刊&セミナーのお知らせ

新刊 「サッカーと独裁者」

アフリカ13か国の
「紛争地帯」を行く
スティーヴ・ブルー
ムフィールド著
実川元子訳
白水社
英国人の著者は
2006年より特派員と
してケニアに在住。ア
フリカ25カ国を取材し
た。多くの宗教、部族
が共存する複雑なア
フリカ事情を理解する
手段として、著者はサ
ッカーを通して取材し、
有力者や市民たちから
多様な本音を聞き出す
ことに成功した。グロー
バル化と民主化運動に
よって生まれ変わろうと
する新生アフリカの深部
に分け入ったルポ。

新刊 「MESH」

「メッシュ
すべてのビジネスは
<シェア>になる」
リサ・ガンスキー著
実川元子訳
モノがあふれて片づけら
れず、使いたいときにす
ぐに出てこない。
最近モノよりコトのほう
が重要になった。
ソーシャル・ネットワー
クもふくめコミュニティ
のつきあいをたいせつ
にしたいと思う。
そういう人にはぜひ読
んでいただきたいのが
この本。
「モノ」より「つながり」、
「使い捨て」より「借りて
まかなう」それが私たち
の生活だけでなく、地球
だって救う。
人間関係から環境問題ま
で、今問題になっているこ
との解決の糸口が見つけ
られ、未来に少しだけでも
希望が持てます。

新刊 「菊とポケモン」

アン・アリスン著
実川元子訳
世界中で人気を集める日本
のアニメやマンガなどのポッ
ップカルチャー。その人気は
どうやってつくられたのか?
米国民族学者が戦後から
現代にいたるまで、子ども
の想像世界を形づくるキャ
ラクターや玩具を歴史的に
追いかけ、グローバルな
人気を獲得した謎に迫る。
米国の大衆文化との比較
が興味深い。

新刊 「サッカーが勝ち取った自由」

チャック・コール著
マービン・クローズ著
実川元子訳
2010年サッカー・ワール
ドカップが開催される南アフ
リカ共和国は長く人種差別
政策、アパルトヘイトが敷か
れていた。圧政と闘い、投獄
された男たちは、生きるため
未来への希望をつなぐため
にサッカーリーグを結成する。
スポーツで自由を勝ち取った
男たちの知られざるノンフィク
ション。W杯のもう一つの真
実が見えてくる。

新刊 人はなぜSEXをするのか?

人はなぜSEXをするのか(小).jpg
「人はなぜSEXをするのか?」
シャロン・モアレム著
実川元子訳
アスペクト
なぜ浮気をしてしまうのか?
絶対不可欠のモテ要素とは?
「生涯の伴侶」を見つけるた
めに必要な感覚は?
私たちの何気ない選択に実
は自然の力が働いている。
気鋭の進化生理学者が遺
伝子、脳、身体、心理のあ
らゆる面から性の謎を解
き明かす。

新刊 英国のダービーマッチ

英国のダービーマッチ(mini).jpg

「英国のダービーマッチ」
ダグラス・ビーティ著
サイモン・クーパー序文
実川元子訳
白水社
英国8都市のライバル関係に
あるサッカークラブ同士で行
なわれるダービーの歴史を背
景に、クラブや市の関係者、
サポーター、ファンから一
般市民のダービーに寄せる
思いを描きだす。ナショナル
ではかれない「ローカル」
の発想を知るうえでも
好著。
motoko
 人生でたいせつなものは本とサッカーと料理とファッションに教えてもらった、などと言ってみたいモノカキの日常

PROFILE

 職業はモノカキ/翻訳業。書いていきたいテーマは「女」「子ども」「衣食住」。得意技はなんでも一晩寝ると忘れること。
since2000.5.19.
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