青黒を追いかけて

いつの日か引退したら、ガンバ大阪のホームスタジアム近くに住んで練習見学に通い、日本中はおろか世界中ガンバを追いかけて遠征するのが夢です。

スポーツ仲裁裁判所(CAS)裁定結果について(Jリーグ)

我那覇選手への処分否定 ドーピング問題で仲裁裁判所(朝日)

鬼武チェアマン、我那覇問題で謝罪...裁定への不満も(読売)

 

ドーピングはスポーツ界にとって、プロ、アマを問わず屋台骨をゆるがしかねない。

「ドーピングだ」という判断は、勝利と名誉と選手生命を失うかどうかの大問題だ。

もうちょっと記録が伸ばせたら、もうちょっと速く走れたら、もうちょっと力が出たら、もっと集中できたら......スポーツ選手なら誰でもそう思ってがんばっている(にちがいない)。そのがんばりを、ドーピングは無にする。いや、それ以上だ。踏みにじってどろどろにしてしまう。

だが、私は「ドーピングの規定」がよくわからない。ステロイドだの興奮剤だのというくらいはわかるけれど、ふだん口にしている食べものやサプリメントくらいになると、いったい何がよくて、何がいけないのかがわからない。

昨年5月、体調不良でチームドクターから生理食塩水とビタミンB1の点滴を受けた川崎フロンターレのが我那覇選手が、ドーピングとJリーグに判定され、6試合の出場停止、フロンターレは制裁金1000万円を科された事件があった。

そのときも、「え? 生理食塩水とビタミンもドーピング???」とショックを受けて、ちょっと調べて見たのだが、わかったのは「スポーツ選手のドーピング規定はとてもあやふや」ということだった。イタチごっこで追いついていけない、というだけではない。あきらかな禁止薬物はさておき、たとえばビタミン剤はどうか、サプリメントは? 食べもののなかにもドーピング効果があるものがあるのでは? となると、ほんとわからないらしい。WADAというドーピング規約を決めている機構も、毎年あれこれ改訂している、とのことだ。つまり、私だけじゃなく、この問題に真正面から取り組んでいる人たちにとっても、白黒がはっきりつかないドーピング行為がある、ということだ。

それでも、Jリーグは選手にもクラブにも厳しい制裁を与えた。JリーグはWADAという世界的なドーピング規準を批准していない。独自の判断でドーピングかどうかを決める、としていて、しかも何がドーピングでそうでないのかを示していなかった。それでも厳罰を与えた理由は「疑わしきは罰する」というものだそうだ。びっくりだ。日本の裁判所の判断にある「疑わしきは罰せず」ではないのだ。なんかよくわからないけれど、あやしそうだったら罰しておけ! というのだ。いや、これにはほんとに驚いた。

冷たい。いったい何のためのドーピング規定であり、なんのための制裁だろう? 選手とチームを守るためではないのか? プロのスポーツ選手が行なう競技の公正さのためではないのか? なぜ世界的にも規準があやふやなドーピング問題を、「疑わしきを罰する」という冷たさで安易に厳しい処分を与えてしまうのだろう? 

我那覇選手は、自分はプロのスポーツ選手として不正を働いていない、ということを社会にあきらかにしたい、という一心で、個人的にCASというスポーツ関連事件の裁定を行なう場所に訴えを起こした。

そして一昨日「我那覇選手はなんら不正をしていないし、罰せられる根拠はない」という国際的な裁定が下ったわけだ。

それでもJリーグは「ああ、わかりましたよ。我那覇選手には悪いことしました。ええ、ええ、謝りますよ。でもCASは我那覇選手が受けた点滴が、ドーピングかどうかにはふれてないじゃん! だからドーピングがあったという俺らの判断がまちがっているとはいわれてないじゃん」と開きなおったのである。(思いっきり要約)

びっくり。これにも驚いた。

CASは言っているのだ。「この裁定は、我那覇選手への制裁が正当か不当かを問うものであって、ドーピングの規準を示すものではない。JリーグはWADAも批准していないし、事件が起きたときに独自のドーピング規準も示していなかったのだから、点滴がドーピングかどうかを判断することもできなかったはずだ。しかも罰則規定も設けていなかったのに、罰を科したのはまちがっている、という理由で、我那覇選手への制裁は不当であると判断した」(思いっきり要約)

私は法律の解釈がよく読みとれないのだが、Jリーグのおえらいさんはもっと読み取れないのだな、ということはわかった。

こじつけるわけじゃないけれど、最近のJリーグにまつわる数々の不祥事――選手やスタッフの頻発する交通事故、酔っぱらい運転、スタジアムでの暴動――は、根幹となるJFAという組織のゆがみが遠因だと思えてならない。選手やチームを守ろうとしない、というか、むしろ「制裁を与える」ことで組織の権威を守ろうとしているような組織には、あまり明るい未来はない。

プロのスポーツ選手になるのはすごいことだ。Jリーグの選手になるのは、ほんとにすごいことだと思う。選手の才能と努力はもちろん、たくさんの人たちの愛情と誇りと支えがなかったらサッカー選手にはなれないし、続けていけない。それを「疑わしきは罰する」というようないい加減さと冷たさで、簡単につぶしてしまっていいこととはとても思えない。

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 人生でたいせつなものは本とサッカーと料理とファッションに教えてもらった、などと言ってみたいモノカキの日常

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