ガンバの象徴、とも言える存在だった宮本恒靖選手が、オーストリア、ザルツブルグからヴィッセル神戸に移籍し、今季からクリムゾン・レッドのユニフォームを着ることになった。
私がガンバサポと知ると、数年前まで必ず言われたのが
「ああ、ミヤモトが好きなんですね(断定)」
だった。
(ちなみに、つい最近私のケータイストラップをめざとく見つけた女性が「ガンバが好きなんですか? 遠藤ですね(断定) 私も遠藤が好きなんです」と言った。「いや、別に遠藤だけじゃなくガンバというチームが好きで...(もごもご)」と答えると、「遠藤じゃない? それじゃ誰ですか? ああ、監督ですね(断定)。監督かっこいいですね。...で、監督、なんて名前ですか?」ww。監督は西野朗氏です、私はとくに際立って好きな選手はいないけれど、強いて言えば二川、倉田、明神、かな、と答えると、「ごめんなさい。誰も知らない」wwそ、そんなもんですね、きっと、世間のガンバ認知度は)
女子(あえて私も仲間入り)で、サッカーが好き......とういだけでも、すでに「ああ、宮本」と決めつけられて、そこにビミョーな空気が流れた。サッカー好きを自認する男性に「ガンバが好き」と告白するのは、もうこりゃ嘲笑を全身に浴びせられる覚悟が必要だった。男子のあのせせら笑いの背後にあるのは、なんですか? ジェラシー、ですか?
だから私は宮本がザルツブルグに移籍する、となったとき、心のどこかでほっと安堵したことは認めなくてはならない。これからは「ガンバが好き」ということが、妙な嘲笑と色眼鏡なしで堂々と言えると思ったから。ガンバが好き、ただ好き、ということが認知される、やれやれ。(それがいまやガンバが好き=遠藤が好き、になっちゃったわけなんだが、遠藤には「嫉妬のメカニズム」はあまり働かないらしく、鼻で笑われることはありません)
ところが、だ。宮本の移籍記者会見をテレビで見たとき、私は泣いてしまったのだ。あれには自分でもビックリした。ガンバがまったく勝てなかった時代(実に長かった)に、ダンブリー(っていう選手がいたんです)とともに最後尾から若い選手たちに必死に声をかけつづけた姿や、ポジションを失ってベンチで複雑な顔をして座っていた姿や、2005年のリーグ優勝が決まった瞬間顔をおおって大泣きしていた姿や、W杯クロアチア戦でPKを与えてしまったときの顔などがつぎつぎ浮かんで(マイナスイメージが多いな、おい!)、私がガンバを追いかけ始めたときから、ツネはいつもいた、ということに気づいたからだ。ツネはまちがいなくガンバの顔だったし、主柱だった。なまじ顔がよくて、インテリで、あらゆる面でかっこいいために、何かと揶揄されてしまうが、いまのガンバの「クリーンで、攻撃のアイデアが豊富で、ラインを割らない守備をして、守りも攻めのスタートと考える」というスタイルの確立にツネが果たした役割の大きさは誰にも否定できない。
そのガンバの象徴が、Jリーグのちがうチームに行くのだという。正直、気持ちは複雑だ。
だが、ツネが移籍したあとのガンバは、スタイルの基本は変わらずとも、新しい段階へとステップを踏み出していることもたしかだ。それはツネが移籍してから4バックに移行した、とかそういう問題じゃない。目線が変わった、というか、意識があきらかに変わった。「あきらかに」と断言できるのは、2007年1月1日天皇杯決勝で、ツネを勝利で送りだせなかったときと、2009年1月1日、今年の天皇杯決勝でACL出場のために死に物狂いで勝利した、その2日を比較したから。今年、対戦した柏の「石崎監督の最後に胴上げしたい」というモチベーションと、2007年に「天皇杯に優勝してツネの花道を飾りたい」というガンバのモチベーションとは似たところがあった。やはりそんなモチベーションで獲れるほど、タイトルは軽くない。
今年のガンバは、はっきり目線が世界をむいている。ツネが今のガンバと同じ目線を共有しながらピッチで戦えるか、といえば、3年間をともにしてこなかったために、それはなかなかむずかしいところがある。ツネ自身に、ではなく、どちらかといえばチーム、クラブのほうが困難を感じたがゆえに、ツネ側から秋に、ガンバに戻りたいと打診されたときに断りを入れたのではないだろうか(あくまでも推測ですが)
残念ながら、ちがう色のユニフォームを着た宮本とJの試合で対戦することになるわけだが、私はブーイングも拍手もしないだろうな。そのどちらも宮本にも神戸にもガンバにも失礼にあたると思うから。ガンバがつぎのステップに踏み出したのと同じように、宮本もつぎのステップに進んでいるのだ。元ガンバの選手としての興味は持ち続けるけれど、それ以上でもそれ以下でもない。
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とまあ、それはさておき。
今、Jのチームがつぎつぎ新体制と今季の目標についての記者会見を行っているのだが、横浜Fマリノスの木村監督、大宮アルディージャの張監督、神戸のカイオ・ジュニオール監督、全員が「目標はACL出場権獲得」と言っているのが興味深い。
2006年ガンバがACLに初参戦したときには「優勝した罰ゲーム」と言われていたのに、2007年浦和がACL優勝をはたし、2008年ガンバが制覇したとたん、あきらかにJの空気が変わった。Jチームの軸足は、J以上にアジア制覇、そして世界クラブ杯出場へと変わりつつある。上で私が書いた「目線」の変化は、何もガンバだけでなく、Jチーム全体に起こっている変化なのかもしれない。そういや、宮本も移籍記者会見で「神戸をACLに連れていく」とか言っていたなあ。




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