観る極楽

映画はぴんときた作品だけ見ます。傑作でも大作でもなく、佳品と思える作品だけ。だからか、いつも人がまばらな映画館で、作品の世界にすっぽり包まれて過ごします。

 ものすごく期待して見に行って、そこそこ楽しんだのだが、評価ほどではなかったかなあ。

 なんというかね、クリシェに陥る寸前で踏みとどまった、という感想を抱いた。

(cliche=クリシェ ありきたりの手法。陳腐な常套手段。 ランダムハウス英和辞典より。)

 北イタリア山間部の小さな村を舞台にしたサスペンス。美少女が湖のほとりで殺され、刑事が謎をといていくうちに、複雑な人間関係が浮き彫りになっていく、というあらすじ。

 山間部の村にはありえないほど官能的な美少女(しかも学業優秀&アイスホッケーのキャプテンという模範生)というところで、すでにクリシェが透けてきてご用心。なのだが、この映画が私が「おもしろい!」と感じ、見る価値あり、と思ったのは、彼女に対して男性たち(父親、先生、村人たち)が抱く「妄想」が、クリシェではないのだ。官能的であるがゆえの妄想に陥らせなかった点が、監督の力量か。

 ただ惜しいのは、音楽。これがね、もうクリシェのどつぼにはまっていた。メロドラマかいっ! とツッコミを入れるのが3度。音楽なしでよかったのに。

 と、いろいろ言ってしまいましたが、お金と時間をかけて見る価値はあり。

 とくに、インテリアや小物の使い方がこにくらしいほどうまい。刑事、容疑者、家族、被害者それぞれの家に何が置かれていて、何を食べたり飲んだりしているか、それは見ていて感心する。人物像が壁の絵一枚、棚の置物、スープ皿にまで凝縮されている。グラス一個、テーブルクロス一つにも、計算が行き届いていてすごいです。

 何度も言うけれど、それだけうまいつくりなのに、なんであの音楽なんだ?

 

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motoko
 人生でたいせつなものは本とサッカーと料理とファッションに教えてもらった、などと言ってみたいモノカキの日常

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 職業はモノカキ/翻訳業。書いていきたいテーマは「女」「子ども」「衣食住」。得意技はなんでも一晩寝ると忘れること。

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