読む快楽

活字中毒患者です。朝15分読まないと起き上がれない。最低1時間読まないと眠れない。夢中になって読んだ本を教えずにいられない。おもしろい本、 常時募集中!

「この世界の片隅に」(上中下)

こうの史代 アクションコミックス

 

昭和29年生まれの私は、当然ながら平成よりも昭和のほうを長く生きているわけで、平成になってからの日本の、というか、自分の浮かれっぷり、おごりっぷりが鼻についてなりません。「もう私ったらこんなこと言っちゃって(やっちゃって)、何様?」と思うことが一日に一回くらいある。つまらない仕事はしたくない、だの、ギャラが信じられないくらい少ない、だの、家事は義務だからしかたなくやっている、だの、メシはつくってやっているんだから文句を言うな、だの、将来(老後)に希望がもてない、だの、若者がたるんでる、だの、生きるのが面倒になってきた、だの、まあ、よくもそれだけ言えるものだと自分がいやになります。

夜、ふとんのなかで自分のゴーマン発言・態度を思い出して自己嫌悪に陥ったとき、こっそり(?)取り出すのがこのマンガ。こうの史代さんのマンガは「夕凪の街、桜の国」で感動したのですが、「長い道」を読もうと思いつつ手が出ないまま、ヴィレッジバンガードでふと手に取ったのがこの3冊。あの戦争を知らない戦後昭和生まれの私には、がつんとくる内容でした。

生きていることがどれだけありがたいことなのか。人を思いやることがどれだけ人間の尊厳を支えているか。人生、うまくいかなくてあたりまえ、と思う謙虚さで人はどれだけ救われるか。

もうひとつ。今ばかり見ること、今しか知らないことのおそろしさ、を思い知らされます。過去を知ることで、人は視野が広くなり、自分にも他人にもやさしくなれる強さが手に入るのだな、と主人公のすずさんに教えられます。今(と未来)ばかり追いかけていると、視野狭窄に陥って、今がとても生きづらいものになってしまう。3年ほど前から、個人的なテーマが「昭和とはどんな時代だったのか?」ということなのですが、今年もこのテーマを深めていきたいな、と思います。

こういうマンガがベストセラーになってたくさんの人に読まれていること、それだけで、日本はまだまだ大丈夫と思えます。

ついでに。広島と岡山に親戚が多い私は、広島弁がなつかしくてうふうふしちゃいました。

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motoko
 人生でたいせつなものは本とサッカーと料理とファッションに教えてもらった、などと言ってみたいモノカキの日常

PROFILE

 職業はモノカキ/翻訳業。書いていきたいテーマは「女」「子ども」「衣食住」。得意技はなんでも一晩寝ると忘れること。

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