読む快楽

活字中毒患者です。朝15分読まないと起き上がれない。最低1時間読まないと眠れない。夢中になって読んだ本を教えずにいられない。おもしろい本、 常時募集中!

『ミレニアム』三部作

スティーグ・ラーソン著 ヘレンハルメ美穂・岩澤雅利訳

早川書房

 

 児玉清氏大絶賛。週刊文春ミステリーベスト10。など2009年のミステリ界の話題をさらったスウェーデン・ミステリ3部作。著者が2004年に急死なさったり、ハリウッド版リメイク映画が決定したり、で最近いろいろ話題にもなりました。

 でもって、私は今年に入って死に物狂いスケジュールにもかかわらず、2回も『ミレニアム』で徹夜をしてしまいましたよ。ったく、何やってんだか私。ストーリーの作り方がうまいのだね。あと2ページでやめよう、と思いながら閉じられずにあと20ページ読んでしまう。これでやめないと明日起きられない、とわかっていても、読者(私)に最後まで読ませてしまう。ストーリー展開、力技。翻訳もよかったな。

 だが、児玉清氏が「これを読まないとミステリが語れない」と言うほどの作品でもなかった。息つく暇なしのおもしろさはあったが、それほど深くはない。ものすごく目新しいテクニックや情報が出てくるわけでもない。そう考えると、最新技術、経済・社会の裏話、どこか遠い国の政変などが、瞬時にして流れてしまうネットの普及って恐ろしいものがありますね。少なくとも私は、昔、同じスウェーデン人のマルティン・ベック・シリーズやフレデリック・フォーサイスを読んだときのハラハラドキドキ感はなかったなあ。これが10年前なら確実に「一生忘れられないシリーズ」になるはずだったのに、ちょっとさびしい。

 主人公のミカエルには共感できなかったのですが(なんでモテるのかさっぱりわからん。ハリウッド・リメイク版はブラッド・ピットがやるとか、それだけは勘弁だぁぁぁ)、リスベット・サランデルには闘魂注入されました(笑)。もしかして栄養失調、無愛想系女子の時代到来か? ちょっとこぶりだが中島美嘉とか?

 っていうか、このシリーズ、著者の男性はあまりにも女性崇拝しすぎていませんか? 裏があるんじゃないか、とひくひく鼻を動かすこと1冊につき3回ずつ(つまり計18回。とくにリスペッドがミカエルに寝たい、とか言うところはあやし~)。男はろくなもんじゃない、なんたってこの世界は女性が主導権を握っているのだ、ということを声高に言う男ほど、男尊女卑だってことを知っている50代の女一人。

 つまんないドラマを見て「日本人はバカになった」となげくより、ムカつくメールを消去するのに時間を使うより、正月についた贅肉を落とすためにジョギングして膝を痛めるより、おすすめのミステリです。

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アフリカ13か国の
「紛争地帯」を行く
スティーヴ・ブルー
ムフィールド著
実川元子訳
白水社
英国人の著者は
2006年より特派員と
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フリカ25カ国を取材し
た。多くの宗教、部族
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フリカ事情を理解する
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ッカーを通して取材し、
有力者や市民たちから
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バル化と民主化運動に
よって生まれ変わろうと
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「メッシュ
すべてのビジネスは
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リサ・ガンスキー著
実川元子訳
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にしたいと思う。
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この本。
「モノ」より「つながり」、
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まかなう」それが私たち
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人間関係から環境問題ま
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アン・アリスン著
実川元子訳
世界中で人気を集める日本
のアニメやマンガなどのポッ
ップカルチャー。その人気は
どうやってつくられたのか?
米国民族学者が戦後から
現代にいたるまで、子ども
の想像世界を形づくるキャ
ラクターや玩具を歴史的に
追いかけ、グローバルな
人気を獲得した謎に迫る。
米国の大衆文化との比較
が興味深い。

新刊 「サッカーが勝ち取った自由」

チャック・コール著
マービン・クローズ著
実川元子訳
2010年サッカー・ワール
ドカップが開催される南アフ
リカ共和国は長く人種差別
政策、アパルトヘイトが敷か
れていた。圧政と闘い、投獄
された男たちは、生きるため
未来への希望をつなぐため
にサッカーリーグを結成する。
スポーツで自由を勝ち取った
男たちの知られざるノンフィク
ション。W杯のもう一つの真
実が見えてくる。

新刊 人はなぜSEXをするのか?

人はなぜSEXをするのか(小).jpg
「人はなぜSEXをするのか?」
シャロン・モアレム著
実川元子訳
アスペクト
なぜ浮気をしてしまうのか?
絶対不可欠のモテ要素とは?
「生涯の伴侶」を見つけるた
めに必要な感覚は?
私たちの何気ない選択に実
は自然の力が働いている。
気鋭の進化生理学者が遺
伝子、脳、身体、心理のあ
らゆる面から性の謎を解
き明かす。

新刊 英国のダービーマッチ

英国のダービーマッチ(mini).jpg

「英国のダービーマッチ」
ダグラス・ビーティ著
サイモン・クーパー序文
実川元子訳
白水社
英国8都市のライバル関係に
あるサッカークラブ同士で行
なわれるダービーの歴史を背
景に、クラブや市の関係者、
サポーター、ファンから一
般市民のダービーに寄せる
思いを描きだす。ナショナル
ではかれない「ローカル」
の発想を知るうえでも
好著。
motoko
 人生でたいせつなものは本とサッカーと料理とファッションに教えてもらった、などと言ってみたいモノカキの日常

PROFILE

 職業はモノカキ/翻訳業。書いていきたいテーマは「女」「子ども」「衣食住」。得意技はなんでも一晩寝ると忘れること。
since2000.5.19.
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