この1か月余り、ちょっと低速走行気味です。何がって、仕事とサッカーに対して。仕事しなくちゃ~とアクセル踏むのだけれど、どうもギアがちゃんと入らず、ずっとローのままがくがくしながら走っている感じ。
でもってサッカー。今日からW杯開幕だというのに、どうもイマイチ気分が盛り上がりません。来週、恐ろしいゲラが出てたぶん2週間はサッカーどころではないのが目に見えているので、気持ちに自己規制をかけているのかも。
でもって今、夢中なのは中国語学習。これだけは心が弾みます。新しい言葉を学ぶのはなんでこんなに心躍ることなのか!
たぶん来週からまた締切と格闘する日々が来て、しかもそれが心弾む仕事とは言い難いので、今日のうちにこの1か月あまりに読んだ本のことをタイトルだけでも書いておこうと思います。ほんのメモがわりに。
『オシムからの旅』
木村元彦著 よりみちパンセ(理論社)
サッカー批評という雑誌に書評を書いたのですが、少ない文字数ではとても書ききれなかったほど中身の濃い本でした。中高生向けのシリーズではあるけれど、大人こそ読むべきかな。民族、国境といった恣意的につくられたものの壁に、サッカーの力がどう立ち向かい、そして崩していったのか、ということがストイコビッチ名古屋監督と、オシム元日本代表監督の話から書かれているのですが、圧巻は第三章「オシムからの旅」。旧ユーゴの紛争を、私たち日本人は日本からどう見たらいいのか? グローバル化によって、民族や国境はどうなっていくのか? そんなことをあらためて問題提起しています。
『カラマーゾフの兄弟』
ドストエフスキー著 亀山郁夫訳 1~4巻 光文社古典文庫
亀山氏にインタビューすることになり、急遽読みなおし。で、すみません、第4巻まで読み終わったところでインタビューの日が来てしまい、第5巻未読です。ずーっと昔、高校生の時に米川正夫氏の訳で読んだことがあるのだけれど、この年になって読みなおすとあらたな発見、というか記憶に残っているのと大きく異なる作品として堪能できました。「罪と罰」にも通じるけれど、正しい行いとは何か? 人として立派である、とはどういうことを意味しているのか? それを自分に問いかけ、突き詰めていった作品なのだな、と21世紀の私は思いましたよ。高校生のときに抱いた感想は「カネが人をこわす。借金とオンナがオトコの永遠の問題だ。結婚するなら借金とオンナ遊びをしない男にしよう」でしたが、さすが大人になると視点が深くなります(違)。私がおもしろかったのは、第4巻。裁判のところはとくに盛り上がりました(個人的に)。佐藤優さんの本を読んでロシアについて少し下地ができたせいか、スメルジャコフに対する見方が変わって妙に共感しちゃったりして。
『コフィン・ダンサー』
ジェフリー・ディーヴァー著 池田真紀子訳 文春文庫
読後、ジェフリー・ディーヴァーさんのツイッターをフォローしています(笑)。と言いながら、うーん、カラマーゾフのあとに読んだせいか、気持ちが乗らないまま終わってしまいました。CSI大好きな私だから、主人公の科学捜査官にもっと思い入れを持ってもいいものなんだけれど、美男子とされていながら頭に浮かぶのがギル・グリッソムの顔で、手足となって働く女性警察官のイメージもキャサリンになってしまうせいか、どうもダメ。で、一気読みにもかかわらず「おもしろかった~」という満腹感がない。それはたぶん一人として共感できる人物がいなかったせいかも。少し共感して肩入れできたのが、何かとにぶい市警の警官セリットーだっていうんだから。警察側にもだけれど、犯罪者の魅力がないことが満腹感欠如の原因かなあ。
『愛のゆくえ』
リチャード・ブローティガン著 青木日出夫訳 早川epi文庫
ブローティガンは藤本和子氏の翻訳で読んだ『アメリカの鱒釣り』が一番好きで、晶文社から出ていた単行本の表紙の作家本人の写真を本棚に面だしで飾っていたこともあります。ほんと好きだなあ、ブローティガン。藤本さん以外の翻訳家で読んだことがなかったので、興味があって購入。ひさびさに読んだけれど、ブローティガンらしい空気が流れている不思議な作品でした。図書館が舞台っていうのがなんともいい。
『経産省の山田課長補佐 ただいま育休中』
山田正人 文春文庫
著者が横浜市の副市長になっているのを知ってびっくり。この本の中で一番印象的だったのは、世間一般の男性(もしかしたら女性もか?)の育児と家事に対する評価のあまりの低さかな。妻(著者と同じく官僚)のお姉さんが専業主婦で、共働きの著者夫婦が育児や家事で何かと世話になっている。で、地域でやはり子育てで困っている家庭の手助けをする仕事を始めたことに対して、お姉さんの夫が言った一言。「彼女はそのくらいのことしかできないのでね」。そのくらいのこと=育児と家事。山田さんは育休をとってみてやっと育児と家事がいかにたいへんか身にしみたので、この一言は世間一般の男の気持ちとわかりながらも、怒りをおぼえる、というのです。
ただね、もっと評価してくれよ、と私も言いたいところだけれど、今振り返ってみると私自身が育児と家事を過大に「やらなくちゃいけないこと」「たいへんなこと」と評価してた点は否めないな。もっと肩の力を抜いて、手抜きしてもよかったのにね。でもって私が満足いくところまで(レベルが高いんだ、私の満足度は)手を貸そうとせず、育児家事への評価が低い夫に不当に(というのは、やったことがなくて、やる必要も感じず、やる気もない人に、やれやれと言うことの不当さ)怒っていたな、という反省もあるので、まあ、お姉さんの夫ばかりを責められません。
『なぜフランスでは子どもが増えるのか』中島さおり著 講談社現代新書
『モードとエロスと資本』中野香織著 集英社新書
山田課長から引き続いて読むと、ほんとおもしろい2冊でした。が、この2冊は書評に取り上げるので今ここでは書けません。
『恋愛と贅沢と資本主義』
ヴェルナー・ゾンバルト著 金森誠也訳 講談社学術文庫
中野さんの本に触発されて読みました。もっと早く読んでおけばよかった。なんというか、これまで私がいろいろ四苦八苦して考えていた「誰のために着飾るのか?」「なんで人はファッションにこんなに踊らされるのか?」という命題について、ちがう視点でとらえられたのにぃ。ついでにいえば、恋愛と結婚の折り合いをどうつけるのかってことに対しても、ゾンバルトさん、明快な答えを与えてくれます。非合法だからこそ恋愛は成立するってね。
でこの4冊を読んだ結論として、もしかするとポストモダンの時代において、資本主義社会でまっさきに消えていくのは恋愛ではないか、という気がしたのでした。その思いをもっと強めてくれたのがつぎの2冊。
『動物化するポストモダン』
『ゲーム的リアリズムの誕生』
東 浩紀著 講談社現代新書
東さんの言説にはオタク文化にうとい私でさえもツッコミどころがいろいろあって、そこをたぶん大塚英志氏などがツッコミを入れているのだと思うのですが、それでも刺激的。『動物化する~』はだいぶ前に読んでいたのだけれど、『ゲーム的~』を読んだのであらためて再読。たった5年でこんなに大きく変わったのか、と思いました。今はもっと変わっているかな。
「物語」が消費されていく時代をへて、「物語」そのものが消えつつある時代に、「物語」がなくては成立しえないリアル社会の恋愛はどうなっちゃうのだろうか、と頭を抱えちゃいます。
だんだん疲れてきたので、仕事がらみで読んだ本もタイトルだけ入れておきます。
『神の捨てた裸体――イスラームの夜を歩く』石井光太著 新潮文庫
『レンタルチャイルド――神に弄ばれる貧しき子どもたち』石井光太著 新潮社
石井さんは写真がとてもいい。ものすごく悲惨な現場をとっているのに、いろいろな邪念を極力取り除いて撮っているためか、しらじらとした現実が妙に明るい。だが、文章がちょっと......いや、これはあくまでも好みの問題です。
『白洲正子自伝』 新潮文庫
何回読んでもいいなあ。なかでもイランに旅したときの「旅は道草」のエッセイが好きです。
『秋瑾 火焔の女』 山崎厚子著 河出書房新社
秋瑾の写真を以前に陳舜臣氏の著書で見て忘れられなかった。強烈な人生です。
『江戸百夢』田中優子著 ちくま文庫
近世図像学の楽しみ、という副題のとおり、絵のなかから読み取り時代と人間です。博学の学者の語り口が痛快。
で、私はこの本を読んで、なぜかツイッターとかブログとか電子書籍について考えてしまいました。知識と情報って質的な次元でちがっているんだな、やっぱり。でもって読んだのが以下。
『電子書籍の衝撃』佐々木俊尚著 携書
書かれているないようなあまり衝撃ではなかった(汗)といいながら、やっぱりiphoneにして、iPadも買おうと思った。
『変愛小説集Ⅱ』岸本佐知子編訳 講談社
書評するので感想文はここではなし。でも、一言。おもしろい!




先日「モードとエロスと資本」を読みました。
(元子さんファンですから「堕落する高級ブランド」ももちろん読んでました!)
わぁわぁわぁ、そうなんですか!
「恋愛と贅沢と資本主義」読まなくっちゃ!
そして「変愛小説集」は2が出てるんですか!
きゃぁきゃぁきゃぁ!アマゾンアマゾン!
騒がしくてすみません(汗)
mieさん、「モードとエロスと資本」おもしろかったですね。もっと長くてもよかったかなあ。新書だからしょうがないか。
「変愛小説集」は2集目のほうが私は好きです。ぜひ!