読む快楽

活字中毒患者です。朝15分読まないと起き上がれない。最低1時間読まないと眠れない。夢中になって読んだ本を教えずにいられない。おもしろい本、 常時募集中!

 年が明けてから何かと気ぜわしく(忙しいわけではない)、あれもしなくちゃ、これもやっとかなくちゃ、と気持ちが焦るばかりで、でもいっこうに実績上がらず同じところをぐるぐる回って疲れただけ、といったところです。これはもう一種のビョーキですね。

 とくにビョーキだと思われるのが、災害グッズ収集に余念がないこと。枕元に靴、懐中電灯、ペットボトル、救急用品が入ったバッグを置いておくのは阪神大震災以来ですが、昨年から葉玄関にもリュックにぎっしりモノを詰め込んで置き(こないだかついでみたらあまりに重かったので、水を減らしました)、安心米やら缶詰めやらも用意し、乾電池も簡易トイレも手回し充電式ラジオ兼ライト兼充電池も用意したし、こないだはついに台車まで購入し、家族からも「もうビョーキの域に達した」とほめられました。とくに台車については「これでいったい何をしたいの?」と聞かれたのですが、配水車から水を運搬するためだ、とはちょっと言えなかった......。

 という近況報告はさておき、久しぶりに最近読んだ本でおもしろかったものをメモがわりに書いておきます。

「中国模式の衝撃―チャイニーズ・スタンダードを読み解く」

近藤大介著 平凡社新書

これを読んでやっと中国の最近の政治事情が理解できました。とくにおもしろかったのは、第5章アメリカにどう挑むか―外交編。最近読んだ中国本の中では一番おもしろく役立った。この本は書評もしたので、ここでは軽く触れるだけにします。

「大阪まち物語」

なにわ物語研究会編 創元社

橋下徹の「体制維新」を読んだ後、故郷大阪の行く末越し方が気になって大阪物を読んでいます。そのなかで一番わかりやすかったのがこの本。少なくとも大阪の成り立ちについての基本知識は得られたかな。あと古本屋で見つけた「大阪近代史話」(東方出版)もおもしろかった。

「父が子に語る近現代史」

小島毅著 トランスビュー

小島先生にインタビューした関係で、このほかにも「父が子に語る日本史」「中国の歴史シリーズ7巻」なども読んだのですが、一番最初に手に取ったせいか、この本に一番惹かれました。ご自分のお子さんに語る口調で書かれているので、やさしく噛み砕いた調子ではありますが、その歴史観(社会観)はこれまでの生半可な知識を吹っ飛ばしてくれる新鮮さでありました。共感するかどうかはともかく、小島先生の視点は興味深い。

「ふしぎなキリスト教」

橋爪大三郎×大澤真幸 講談社現代新書

新幹線内で読み始めたら止められず、家に帰ったら「しなくちゃ病」で落ち着いて読めないとわかっていたので、品川駅でカフェに入って読破した、という本。12年間カトリックの学校でみっちりキリスト教を仕込まれた私にとっては「えええー! そうだったのか、キリスト教!」の連続でありました。歴史と宗教の関係を理解するうえでは最適かも。しかも聖書を飽きるほど読まされた私がつねづね疑問に思っていたことを説明してくれて、腑に落ちるところ多々あり。しばしはまり、橋爪先生の「世界がわかる宗教学入門」も読んだのですが、こちらは講義をまとめたもののせいかちょっと物足らず、「宗教学入門」(脇本平也著 講談社学術文庫)を読んでイチからお勉強してみました。脇本先生のこの本は宗教学という学問をイチから手ほどきしてくれる内容で、とくにアジアの宗教について基本のキがわかった感じがしています。

「冬の眠り」

アン・マイクルズ 黒原敏行訳 早川書房

黒原さんの翻訳が好きで、最近の新刊は必ず読むことにしています。期待を裏切られたことはなし。(特に好きなのが「すべての美しい馬」コーマック・マッカーシー。マッカーシー本のなかでもこの本は秀逸だと思う)この本も小説をじっくり読んだ、という充実感がありました。ただ、読後感は暗くて冷たい。なんというか、読みながら深い湖(海ではない)の底にどんどん沈んでいく貝になった気分でありました。

といっても、最近一番よく読んでいるのがつぎの書道展作品制作のための漢詩と現代詩の本。なかなかいい言葉に巡り合えません。「いい」とは、心を打つというだけでなく、書いて作品になる言葉、という意味。そこがむずかしいところ。どこかにいい詩は落ちていませんか?

コメント(4)

oliva :

どうしてこれだけの量の読書がお出来になるのか不思議です。お習字も素晴らしいですし…。睡眠時間を減らしても私には無理です。人間の出来がハナから違うんだなーと思います。
さて、防災グッズは、せっかくだからお出かけになる時に常に背負って歩いたらいかがでしょうか?体力づくりにもなるかと…私は先日86歳になった伯母に「地震が来たらとりあえずドアの鍵をまず開けてね。出口を塞がないように、普段から玄関周りは荷物を置かないようにね」と言ったがために、伯母が玄関先に積んでいた大量のお米と缶ジュース数十缶を引き取ることになりました^^;もしよろしければグッズに加えるべく、おすそわけさせていただきますが…?!

motoko :

olivaさん、お裾分け!なんて魅力的なお言葉でしょう。缶ジュースはちょっと遠慮しますが、お米はうれしいです。でも思いからほんの少しだけ。olivaさんの書かれる文字ののびやかさに目を見張っています。線がすっきりと優雅!

oliva :

いろんな産地の精米に玄米、みんな新米の季節にお裾分けしてもらいましたが、米好きの私でも食べ切れる量ではない‼貰ってくだされば本当に助かります。缶ジュース駄目ですか、残念(^_^;)
私の字は無計画に巨大化する傾向があり、この癖をどうしたものか。手本の形をマネるんじゃない、と先生に言われても、とにかくそっくりにコピーしたいというレベルにとどまっている私には、作品制作とは?そもそも作品とは?…というのが正直まだわかりません。今の職場にギャラリーがあり、いろんな団体の書展が行われているからこまめに覗くのですが、書を見る楽しみはまだあまりわからないんです。なんとなく、この書体は好き、とかいうだけで。

motoko :

昨晩はどうも! いやー、おいしかったです。ほどよい甘さ。ちょっともちっとした食感。いい香り。小豆が入っているとは。ごちそうさまでした。で、お米ですが、とてもとてもうれしいです。玄米ならとくに。あつかましくごめんなさい。
風信帖は私も一時期がんばって書いていたのですが、そのときは先生に「これは臨書ではないねえ」とか言われました(汗)まねて書く、というのがなかなかできない。それができるところがすばらしいです。

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新刊&セミナーのお知らせ

新刊 「サッカーと独裁者」

アフリカ13か国の
「紛争地帯」を行く
スティーヴ・ブルー
ムフィールド著
実川元子訳
白水社
英国人の著者は
2006年より特派員と
してケニアに在住。ア
フリカ25カ国を取材し
た。多くの宗教、部族
が共存する複雑なア
フリカ事情を理解する
手段として、著者はサ
ッカーを通して取材し、
有力者や市民たちから
多様な本音を聞き出す
ことに成功した。グロー
バル化と民主化運動に
よって生まれ変わろうと
する新生アフリカの深部
に分け入ったルポ。

新刊 「MESH」

「メッシュ
すべてのビジネスは
<シェア>になる」
リサ・ガンスキー著
実川元子訳
モノがあふれて片づけら
れず、使いたいときにす
ぐに出てこない。
最近モノよりコトのほう
が重要になった。
ソーシャル・ネットワー
クもふくめコミュニティ
のつきあいをたいせつ
にしたいと思う。
そういう人にはぜひ読
んでいただきたいのが
この本。
「モノ」より「つながり」、
「使い捨て」より「借りて
まかなう」それが私たち
の生活だけでなく、地球
だって救う。
人間関係から環境問題ま
で、今問題になっているこ
との解決の糸口が見つけ
られ、未来に少しだけでも
希望が持てます。

新刊 「菊とポケモン」

アン・アリスン著
実川元子訳
世界中で人気を集める日本
のアニメやマンガなどのポッ
ップカルチャー。その人気は
どうやってつくられたのか?
米国民族学者が戦後から
現代にいたるまで、子ども
の想像世界を形づくるキャ
ラクターや玩具を歴史的に
追いかけ、グローバルな
人気を獲得した謎に迫る。
米国の大衆文化との比較
が興味深い。

新刊 「サッカーが勝ち取った自由」

チャック・コール著
マービン・クローズ著
実川元子訳
2010年サッカー・ワール
ドカップが開催される南アフ
リカ共和国は長く人種差別
政策、アパルトヘイトが敷か
れていた。圧政と闘い、投獄
された男たちは、生きるため
未来への希望をつなぐため
にサッカーリーグを結成する。
スポーツで自由を勝ち取った
男たちの知られざるノンフィク
ション。W杯のもう一つの真
実が見えてくる。

新刊 人はなぜSEXをするのか?

人はなぜSEXをするのか(小).jpg
「人はなぜSEXをするのか?」
シャロン・モアレム著
実川元子訳
アスペクト
なぜ浮気をしてしまうのか?
絶対不可欠のモテ要素とは?
「生涯の伴侶」を見つけるた
めに必要な感覚は?
私たちの何気ない選択に実
は自然の力が働いている。
気鋭の進化生理学者が遺
伝子、脳、身体、心理のあ
らゆる面から性の謎を解
き明かす。

新刊 英国のダービーマッチ

英国のダービーマッチ(mini).jpg

「英国のダービーマッチ」
ダグラス・ビーティ著
サイモン・クーパー序文
実川元子訳
白水社
英国8都市のライバル関係に
あるサッカークラブ同士で行
なわれるダービーの歴史を背
景に、クラブや市の関係者、
サポーター、ファンから一
般市民のダービーに寄せる
思いを描きだす。ナショナル
ではかれない「ローカル」
の発想を知るうえでも
好著。
motoko
 人生でたいせつなものは本とサッカーと料理とファッションに教えてもらった、などと言ってみたいモノカキの日常

PROFILE

 職業はモノカキ/翻訳業。書いていきたいテーマは「女」「子ども」「衣食住」。得意技はなんでも一晩寝ると忘れること。
since2000.5.19.
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