最近はめったにいかなくなりましたが、以前はよく居酒屋で飲んでました。その昔、居酒屋はおじさんのサンクチュアリで、会社の上司につれていってもらうと、周囲が全員真っ黒の背広ばかり、ということがよくありました。そこで繰り広げられる話題は、会社の人事、上司や部下の悪口、世相について、家族のグチ、そしてオヤジギャグ。何がおかしいのかよくわからないけれど、哄笑、という言葉がぴったりの大笑いで転がっているおじさんがいっぱいいる場所でした。
90年代から居酒屋にオンナ連れやオンナひとりの入場も解禁されたおかげで、居酒屋はオヤジの聖域ではなくなりましたが、今でも居酒屋=おじさんのたまり場(象徴的な意味でですが)であることは変わりありません。
そしていま、おじさんの居酒屋話が繰り広げられる場は、居酒屋だけではなくなりました。おじさん独特の「日本論」「世相論」「会社論」が聞けるのは、いまや居酒屋以上に新書とブログです。
新書レビューを新聞で連載している関係で、かなりの数の新書に目を通します。私の担当が「実用書」というジャンルの関係もあるのでしょうが、発行点数が増えるにつれて、新書がオヤジの居酒屋話化しています。
おじさんがだーい好きな三大テーマは、
「健康」(いまはメタボ話花ざかり。その前はボケない脳の話。自分がやっているマイナーな健康法の自慢が多い)
「マネー話」(ちょっと前まで退職金をどう運用するかの話題で盛り上がってました。オレオレ詐欺なみのあやしさぷんぷんするものも結構あって、そういう本にかぎってタイトルが「だまされてはいけない!」とか「あなたの運用方法はまちがっている!」とかで笑った)
「教育話」(日本の教育はなっとらん、に始まり、英語やマネーを勉強しようとか、社員教育や退職後のお勉強のことまで、教育関連はすたれません)
ブログでも、おじさんが書くものって、おじさん的テーマで、居酒屋で話している口調そのままの独演会が繰り広げられていて、ほんとおもしろい。めったに読まないけれど。
でもって、なんでこんな話をするかというと、今回の中山国交大臣辞任のテレビや新聞を見ていて、あ~、ついに政界の公的な場でも、居酒屋話やっちゃうわけねーと溜息をついたからです。居酒屋や新書やブログでやっている分には、しょうがないなあ、ですませられるけれど(いや、新書ではすませられないこともある)、公式見解としていわれちゃうとね。中山氏だけではなくて、ほんと、びっくりするような人が、びっくりするような居酒屋話を独演しちゃうことがあまりにも多くて、ひぇ~となります。酔っ払ってなくても、それ、言っちゃうんだー、という発言が多い。
これ、もしかすると、居酒屋がおじさんの聖域(治外法権区域)でなくなったこととか、ブログと新書の爆発的普及とかと関係してるんでしょうかね?
今日の夕飯は、栗ごはん、さんまの塩焼き(もちろん大根おろしとすだちを添えて)、サムラータン(酸味のある野菜中華風スープ)
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