昨年から書道教室に通い始めた。

楽しい! いま、私のストレス解消は筆で字を書くことだ。

パソコンで字を書くより、はるかに楽しい。(あたりまえか)

「蘭亭叙」の臨書にやっと足を(手を)踏み入れたくらいなので、まだまだ「これを書きたい!」といって書ける段階ではないのだが、いつか書いてみたい文字を探すのが、これまた楽しい。

「新唐詩選」とか「万葉秀歌」などを広げ、いつかこの詩や歌を書いてみたいなあ、どんな字で書こうかなあ、などと妄想をふくらますのが、最近の仕事の息抜きだ。(そういう本の下にあるのが、仕事の英語の本っていうのがなんともだが)

書いてみたい漢詩のひとつ。

閨 怨(王昌齢)

閨中少婦不知愁

春日凝粧上翆樓

忽見陌馬楊柳色

悔教夫婿覓封候

若い妻(少婦)は夫がどこか遠くに兵士として出征中、何も考えることなく、何も思い煩うこともなく(不知愁)毎日お化粧し、着飾ってふわふわ過ごしている。

春でお天気がいいので、すっかり気分がよくなっていつもより濃い目に化粧をし(凝粧)、なんとなく二階(翆樓)にあがって外を眺めてみた。

そしたら目に入ったのが青々とした川の土手。いつの間に柳の木々の緑があんなにこくなったのだろう。

それを見ていたら、なんだか悲しくなった。

夫には「出世して、えらくなって帰ってきてね」なんていって送り出したけれど、なぜあのときとめなかったのだろう。

今頃になって悔やんでしまう......。

という内容。(岩波新書「新唐詩選」 吉川幸次郎氏の解説)

わかるなあ、この心情。

自然界は命が燃え立つような季節を迎えていて、なんとなくそれに浮かされて自分も着飾ってみたものの、春の勢いから一人取り残されていることに気づいてむなしさがつのるばかり、という気分。

こういう詩を書いてみたいですなあ、春には。