李選手のゴールが決まったとき、夜中の3時近くだというのに、寝静まった家のなかだというのに、思わず飛び上がって誰か知らない人と架空のハイタッチ。で、すでにこの時点で私は泣きました(授賞式はだるくて涙も引っ込みましたよ)まだ早い、韓国戦のことがあるだろ、と自分をいさめながらですが、ぼろぼろ......。

 正直、いい試合ではなかったです。ただ、ザッケローニ監督が言っていたように「選手たちが今できる以上の力を発揮した」試合でした。試合に勝てたとき、とくに優勝したときなど、運がよかった、とか人は言います。でも、運は「今できる以上の力を発揮できた」ときにしかついてきません。今できる以上の力を発揮させるのは、実は運ではなくて何か別の力。しいていえば精神力なのかな。でも、それ以上の何か。選手だけでなく、応援しているすべての人の思い、とか。

 どちらが勝ってもおかしくない試合だった、とマスコミは書いていますがそれはちょっとちがう。はっきり言うと「実力」はオーストラリアのほうが上でした。チームとして熟成されてもいたし、一人ひとりの選手(&監督)の自信が上回っていた。日本は挑戦者だったと思います。すばらしいのは、堂々と挑戦者としてぶつかったことです。恐れることなく(ちょっと恐れていたところもあったが)、おびえることなく、おごることなく、思いあがることなく。最後まで貫いたから勝利が呼び込めたのでしょう。

 前半を0-0で乗り切ったとき、これはいけるかもしれない、と思いました(ひそかに)。日本は先制してもされてもまずかったと思います。先制したらしたで、守りきる気持ちに変わって結局パワープレイに負けていたでしょう。先制されていたら、あせって前がかりになってやっぱりやられていたでしょう。

 でも延長戦に持ち込んだときには、これでいける、と確信しました。

 なぜなら、まだ脚が動いているのは日本だったし、川島選手のビッグセーブがチームを鼓舞したから。

 大会を通じての私のMVPは(ひいきもありですが)遠藤選手。PKやFKを本田選手に譲ったり、全員に(サブの選手にも)声をかけたり、若い選手を引き立てたり。相手のセットプレイのとき、マークにつく選手を大声で指示するヤットが映りました。ああいう姿勢はこれまであまり見られなかった(とくにガンバでは)。若手の成長、チームの成長、と言われていますが、彼こそもっとも「成長」した一人ではないでしょうか。昨晩(いや今朝か?)もミスは多かったけれど、最後までまとめようという気概は見受けられました。

 そしてMOMはなんといっても長友選手。一番得点の可能性を感じさせる選手でした。最後まで走りきるスタミナはすばらしい。そして一番のびしろを感じます。長友選手がどう成長するかで、日本代表の未来は大きく変わる......ような気がする。

 そして優秀監督賞にはザッケローニ監督以外ないでしょう! 中心選手が何人も離脱していくなかで、控えの選手を使いながら最後までチームの和を崩さなかった。交替も納得のいくものばかりで、しかも交替選手がみんな結果を出して自信をつけたのも大きい。

 本田選手(正式なMVPでした。それにふさわしい風格とプレイでしたね)が最後に「チーム全員、監督スタッフ、そしてサポートの人たちの力なくしてここまで来られなかった」とインタビューで答えるのを聞いて、ああ、ちょっと大人になったのかな、という感じがしました。

 スポットがあたるのは選手、監督ですが、そのかげで大勢のスタッフが日本代表を支えています。そのかたたちの仕事、情熱、思いなどを伝えられたら、という思いで、今、実は本をつくるのをお手伝いしています。本田選手の言うとおり、優勝は支えている全員で勝ち取ったものだと思います。

 サッカー日本代表チーム、本当におめでとう!!

 そしてその前途に大きな祝福を!!