先日、父に同行して滋賀県信楽まで旅行してきました。(行って初めて知ったのですが、かの地に聖武天皇が740年に『紫香楽宮(しがらきのみや)』という離宮の造営したことから「しがらき」という地名がついたそうです。そのためか、信楽というよりも紫香楽と書かれている標識のほうが多かったです)。閑話休題。天気もよくて、とても楽しい旅行だったのですが、それ以上に私にとって実りが多いものとなったのは、父とゆっくり話ができたことでした。

 これまでも断片的に話は聞いていたけれど、2時間以上にわたって語ってもらったのは初めてで、私はもちろん興味深かったが、父は父で「あれ? 子どもの頃は何して遊んどったんかな?」とか「ちょっと待て。あのおじさんは戦争はどの部隊やったか? そうや、中国北方やな」とか、と記憶を手繰り寄せながら語るのが楽しかったみたいです。

 両親ともに昔の記憶をたどっていると、話が佳境に入るのはきまって戦争のときの話です。母は十代後半、父は二十代前半に第二次世界大戦が終戦を迎えたのですが「生れてからずっと、日本はあっちやこっちで戦争ばっかりしとった」と言います。そして「戦争だけはアカン。何があっても戦争だけは阻止せなあかん」というのが話の締めくくり。そのことは私たちがしっかり子どもに伝えなくてはならない、としつこく言います、はい。

 それはともあれ、両親からちゃんと聴いて遺しておかねばならないことがいっぱいあります。それが私の世代の役目なんだろうな。