帯状疱疹にめげず、2泊3日で書道の練成会合宿に参加してきました。自分でもいろんな意味でよくやるよね、とあきれております。合宿に参加者の大半は書道歴ン十年の大ベテランで、中には先生も何人か......どころか大勢いらっしゃり、作品に圧倒されます。若手も子どものころから書道をやっていたというベテランたちで、若さあふれるすごい作品を書きます。

 そんなすごい方たちのなかに混ぜてもらうと、自分のあまりの下手さとシロウトくささに凹むのですが、それでも勉強になります。まず、筆を持って書くときの姿勢がちがう。まねっこしてみるのですが、なかなかみなさんの域には達しない。筆の握り方、立ち方、線の引き方、すべてちがう。一番ちがうと思ったのが、終筆です。簡単に言っちゃうと、私は紙の上に筆をおいて終わっているのですが、ほかの人たちは空中で終筆している。3次元で筆が動かせると、文字も3次元、もしくは文字の流れという時間軸も入れて4次元で展開する。作品を見比べるとそのちがいは一目瞭然です。

 書道は趣味として始めたのですが、趣味としての楽しさとか気分転換とかストレス解消とか、そういうところから離れていってしまいそうなくらい苦しい合宿でした。なかなか思うようにできなくて悩みが深まるばかり。もっとまともな作品を書かなくちゃとあせってストレスがたまる。乗り越えなくてはならない山を見上げてため息が出る。「作品」と言えるものを書こうとするまでには、いったいどれだけ練習して、勉強して、考えて、試行錯誤を繰り返すのかと考えると、はたして元気なうちにできるのだろうかとゆううつにさえなります。でもって、「はたしてこれは趣味なのか? そこまでやる必要があるのか?」とも考えてしまう。昨晩、合宿から帰ってくるときに、あまりの進歩のなさにがっくりしてそんなことばっかり考えてしまいました。

 でも、一晩寝て疲れが取れると「趣味として長く書道を楽しもうというつもりなら、こういうストレスや苦しさも楽しまなくちゃな」と気持ちが盛り返してきました。おもしろくて楽しい気分だけの趣味だったらきっとすぐに飽きちゃうもんね。いろいろ悩んで、乗り越えていかないと見えない世界があるはず。趣味であっても、その世界を垣間見るまでがんばろう。