あらためて、遠藤保仁っていい意味でも(悪い意味でも)スペシャルな選手だと思った試合でした。 試合開始早々から、ヤットがいるときとは違うリズムで試合を進めるガンバ。特に、初スタメンのルーキー、岡崎と21歳の内田が組んだボランチのボールさばきやポジショニングが、あきらかにヤットさん......というか、これまでのガンバとは違います。いい意味ではスピード感がある、前を向こうとする、縦パスを入れるタイミングが早い。ちょっとどうかなと不安になったのは、リズムの緩急がない。前半は、急急急、後半は運動量が落ちて緩緩緩。ヤットさんなら、緩緩たまに急、と独特のリズムで終始試合をコントロールしようと心がけるのだけれど、若手ボランチはそのあたりのリズムはあまり感じられませんでした。 そうはいっても、前半で3点をとれたのでゆるんじゃったってのはあったかもしれません。それに、栃木のほうがまったくシャキッとしなくて、それに合わせちゃったのかも。 3点ともハイプレスにカウンターという、あまりガンバらしくない得点ではありましたが、後半になると家長さんの独特のリズムからの崩しもあったので、よしとしましょう。 マスコミも周囲も「遠藤と今野の代表組不在」とうるさいけれど、私も気持ちとしては「真正の新生ガンバの路線が確定」と位置づけている6月のしょっぱなの試合だったので、ひそかに「船出としては順調」と胸をなでおろしましたよ。 さて、栃木戦についてはさておきまして。 2013年6月は、5年後くらいに振り返ったとき「ガンバの分岐点はあの一ヵ月にあったね」と言えるのではないか、と思っています。 その理由は2つ。 1)どうやらレアンドロ(助っ人外人)と家長(てんさい)がいなくなってしまうらしい。これまで「決定力ある外国人FWを獲得して点を獲る。でもいつそのFWがいなくなるかわからない」「天才と天災のどちらに転ぶかフタをあけないとわからない」というハイリスクハイリターンなサッカーから路線を変更するのか? 2)宇佐美が復帰。いよいよガンバユース中心のチームに切り替えるのか? という2点が見えてくると思われるからです。 家長選手に関しては、私は残ってほしいのかどうなのか正直わかりません。一度は「二川、家長、倉田、宇佐美」というガンバユースの傑作揃い踏みを見てみたいような気もするけれど、それが今のガンバにとっていい結果をもたらすかどうか、それもわからない。(フタ、シュウ、宇佐美のそろい踏みは見られますね) ただ、レアンドロに関しては、少なくともJ1昇格をかけるこの1年はぜったいに手放してはいけない、と強く思うのですけれど。うわさによれば、保有権を持つアル・サッド(カタールのビッグクラブ)から完全移籍で買い取るとしたら、移籍金と年俸を合わせて4億円請求されているらしい。前にアル・サッドへ移籍したときには、推定7億5千万円の移籍(違約)金がガンバに入ったそうですから、4億円が出せないはずがない......というのはシロウト考えで、すでにレンタル料1年2億円払っているんですから、かなりの出費になってしまいます。それに、レアンドロにそれだけ払ってしまうと、ほかの選手との釣り合いが崩れてしまう。それだけの金額を払わないと無理、というのであれば、栃木戦後のレアンドロの「夏以降はガンバにいない」という発言は悲しいけれど文字通りかも。はかない希望として、レアンドロ側が譲歩してくれる、または、ガンバが歩み寄るか、でしょうね。ああ、どうにかならんかなあ。 ただ、もしガンバがやむなくレアンドロを手放すことになったら、これまでの「助っ人外国人に点をとってもらう」というスタイルから変更せざるを得なくなります。どうなるんだろう? どういうスタイルで行く気だろう? 堅守速攻?(笑)いずれにせよ、得点力は大幅に落ちるはずなので、確実に点を獲るための何らかの戦術を練り直さなくてはなりませんね。 それで、その戦術の駒として宇佐美を考えているのでしょうが、それほどうまくいくかどうか。ガンバユースのいいところ、宇佐美のすごいところはよくわかるのだけれど、それがJ2にいる今のガンバに合うのかどうかがわかりません。宇佐美が献身的にプレイするようになる、オフザボールの動きができるようになる、天狗の鼻を自分から折る、ということができれば、少しは希望が持てるかな。 いろいろと不安がいっぱいで、昨晩はよく眠れませんでした。期待したいけれど、あまりにも......だから。勝てたのに、不安がいっぱいっていったいどういうことでしょ。 この不安が杞憂に終わるかどうか。それがわかるうえでも、6月は勝負の月です。