12月5日に「ペルシャ料理と音楽の夕べ」を開催し、35名もの方々に参加いただき、盛況のうちに終了いたしました。ご参加いただいた方々、お手伝いいただいたスタッフ、そしてゲストにもかかわらず大奮闘で準備いただいたプーリー&ダリア・アナビアンさん、本当にありがとうございました。
報告と記録がてら、スタッフの一人である山本麻理子さんのすてきな写真とともに振り返ってみたいと思います。
19時開演。まずはプーリーさん、ダリアさんをご紹介し、プーリーさんのサントゥールの演奏で幕を開けました。......とそこで気づいたのですが、お二人のプロフィールをこのホームページでご紹介していなかったことに気づいたので、あらためてご紹介。
プーリー・アナビアンさんはイラン、テヘラン生まれ。5歳のときからイランの伝統楽器、サントゥール奏者として放送やコンサートに出演。テヘラン大学音楽学部ピアノ科卒業。古美術商の父、ラヒム・アナビアンさんのところで働いていた方と結婚なさり、1972年に来日、大阪にペルシャ美術の店を開くとともに、サントゥール奏者としても活動。テレビ番組「壬生の恋歌」の主題歌や「みんなのうた」の「イランの子守唄」を演奏で注目を集める。大阪音楽大学で教鞭をとり、毎年イランから芸術家を招聘し、また大学の教え子とともにイランで演奏活動を行うなど、イランと日本の文化交流に多大な貢献をしていらっしゃいます。
ダリア・アナビアンさんもテヘラン生まれ。食をキーワードにペルシャ文化を伝える料理研究家として活躍。神戸の国際学校、カナディアン・アカデミー、ニューヨークのファッション専門学校、フレンチ・アカデミーを卒業後、日本に戻ってNHK番組「シルクロードロマンの旅」のレポーターやABCラジオ「旅のハーモニー」のレポーターをつとめてらっしゃいました。達者な関西弁でペルシャ文化の歴史的普遍性と日本とペルシャとの関わりについての話は、笑いとインテリジェンスにあふれています。画像をごらんいただければおわかりの通り、母娘ともすごい美人! ペルシャン・ビューティーです。その魅力を3倍増にしているのが、お二人のユーモア。関西人独特のボケとツッコミに会場が笑いに包まれることしばしば。しかもダリアさんはわーはっはっはとよく笑う。チャーミング!
サントゥールのたえなる調べに、ひとときペルシャの夢にひたっていただきました。サントゥールは西洋にわたってピアノになり、東洋にわたって琵琶になったという古典楽器です。
ダリアさんからおもしろおかしく「本日のメニュー」の紹介がありました。
アミューズは「ナン・バルバリのクロテッドクリーム添え」
強力粉にライ麦、全粒粉をたっぷり混ぜ込み、ドライイーストを使って焼いたナンは、見た目よりも軽くやわらかく、そして歯ごたえがあります。これに中沢フーズさんからご提供いただいたクロテッドをトッピングしてアミューズとしました。
メインディッシュは煮込み料理2種
「ゴルメ・サブジー〜緑(パセリ、にら、ほうれん草とラム)の煮込み」
「ホレッシュ・スィブ・ヴァ・アールー〜赤(リンゴ、プルーン、ジャガイモと鶏肉)の煮込み」
そしてヨーグルト2種
「マスト・ラブ」ビーツとヨーグルト
「ブーラーニー・エスフェナージ」ほうれん草入りヨーグルトにタマネギ、パセリ、にんにくのみじん切りを揚げたものをトッピング
ペルシャ料理ではヨーグルトをたくさん使うのですが、決して甘くしません。必ず塩味で食べます。ダリアさんが「日本でヨーグルト革命を起こしたい!」と言われ、「一番、イランで食べられているヨーグルトに近い味」と言われた「グルジアヨーグルト」を中沢フーズさんからたくさんご提供いただきました。
ヨーグルトを使っては、「ドゥーグ」という爽やかなミント入りドリンクもお出ししました。なんでもこのドリンク、美男美女の秘訣なんだとか。
この2種のヨーグルトも煮込み料理もともにとても評判がよく、ほとんど完食。足りないのではないか、とちょっとヒヤヒヤしたのは内緒です。
このお料理とともに食べていただくのが、「チェロ・ザーフェラーン」というサフランライス。今回は長粒種のお米の中でも特に香りのよいバスマティライスを使いました。イランの北部地域は水田が広がる稲作地帯。ペルシャ料理でもお米が主食といってもいいほどです。日本と違っていったんゆでてから蒸す料理法。それにサフランで鮮やかな黄金色に色づけして、ときには彩り豊かに野菜やハーブを刻み込んでいただきます。
「サラダ・ヘザールイエッキ・ジャジィレ」という山盛りの生野菜のサラダに合わせるのは、ダリアさん特製の「1001アイランド・ドレッシング」。千夜一夜にひっかけたネーミングだとか。隠し味が効いた香り高いドレッシングでした。
ディナーを楽しんでいただいた後は、デザートとカルダモン入りペルシャンティーを味わっていただきながら、ダリアさんがペルシャ文化とイランの現状についてレクチャーをしてくださいました。
デザートは「マルカ・ケーキ」。のばしたケーキ生地にナツメヤシ、ミックスフルーツやナッツを入れて、丸め込んで焼いたケーキです。ちなみにマルカとは、ダリアさんの祖母にあたるマルカおばあちゃんのこと。お料理上手で(裁縫もプロ級)、言うまでもなく美人で、おしゃれですてきなおばあさまだということを、レクチャーの映像で確認。
参加者の方々はいずれも食と文化に対する好奇心があふれていらっしゃり、おかげで会場の狭さにご不便をおかけしたにもかかわらず、終始なごやかでいい雰囲気でした。
サントゥールの演奏が開始早々だったために、遅れていらっしゃった方々には聴いていただけなかったのが残念です。会場周辺が民家で騒音にうるさく、演奏は必ず8時前に終わらせてください、と申し渡されてしまったことを、言い訳させてください。
2年前にアナビアンさんたちと知り合って以来、東京の方々にプーリーさんの演奏とダリアさんの料理を紹介したいと願っていました。いろいろツテをあたったものの、やはりペルシャもイランも遠いところで、はかばかしくありませんでした。そこで「誰も引き受けないなら自分でやるしかない」とドシロウトが無謀にも「音楽と料理の両方を楽しんでもらう」ぜいたくなイベントに挑戦。幸いにしてすてきなスタッフに恵まれたおかげで、なんとか無事終えることができました。
うれしかったのは、イベントに参加してダリアさんの本をお買い求めいただいた中で、4名もすぐに「ペルシャ料理をつくった」とFacebookに画像とともに報告してくださったこと。いろいろたいへんなこともあったけれど、それを聞いたときに「やってよかった」と疲れが半分くらい吹き飛びました。
先日、池上彰さんが1時間番組でイランの今を紹介していました。番組内でも強調されていましたが、イランは遠いように思えて、ペルシャと呼ばれた時代から日本と密接な関係がある国です。その関わりの深さが、こういうイベントを通して少しでも伝わりますように!
コメント
コメント一覧 (5)
古楽器好きとしては、サントゥールが聴いてみたかった……。食いしん坊としては、ゴルメ・サブジーとマルタ・ケーキが特においしそうですね。
このような楽しくかつ意義のあるイベントを実現させた、その実行力にも頭が下がります。
お疲れさまでした、次回?は是非、伺います。
すみません。