無事、先週の金曜日北欧より帰国しました。2週間の一人旅。帰国翌日にどうしても外せない関西出張があり(そのために帰国を6日に設定)、帰ってからさっそくやってきた締切の原稿を入稿。還暦の女にはなかなか厳しいスケジュールをこなしたため、今日は朝からうとうとだらだらしています。まだ荷物の整理もしていない。
さて、取材以外の旅の記録を少し残しておきます。
スウェーデンの中部にあるウステルスンドという街での取材が決まったとき、これは次女が留学中お世話になったホストファミリーを訪ねよ、という神のお告げだろうと思い(たぶん違う)、さっそくメールして私までお世話になることにしました。
ホストファミリーは息子さん3人が独立し、夫婦だけで大きな一軒家の維持も大変だということで、街の中心からバスで20分ほどのところにあるマンションに引っ越されました。マンションを選んだ理由は、歩いて10分ほどのところにサマーコテージ村があるから。ゴルフ場、テニスコート、サッカーコート、ジム、プールなどのレジャー施設に囲まれた中に、240区画のサマーコテージが並んでいます。この橋を渡るとコテージ村へ。
トイレやサウナ、シャワーは共同。画像は共同サウナです。
ヘルシンキの街中にある別荘地、というので人気が高く、購入にあたってもさまざまな条件がつくそうです。ヘルシンキ市民に限られる、とか、ヘルシンキ市に何年か以上住所があり、住民税(恐ろしく高い!)を支払っていないといけない、とか。ホストファミリー夫婦も5年間待って購入したそうです。
建物はどれも平屋でこじんまりしており、いたって質素なつくりでした。でも、インテリアもエクステリアもほんとにすてき! 旅行好きのホストファミリー夫婦が集めたグッズが品よく飾られていました。特にネコグッズがかわいい! 屋根の上にも飾られていました。
そこで過ごす人たちの目的は「ガーデニング」。と言っても、植えていい植物にもこまかく厳しい条件がつきます。まず、地植えする宿根草や草花はその地に自生しているものしかダメ。園芸種はプランターに限られます。球根の地植えは少しならいいそうだけれど、ほとんど見かけませんでした。
行ったときはスズランの花盛り。いい香りが漂ってきました。でも、放っておくとスズランもどんどん増えてしまうので、ときどき引っこ抜いてほかの植物との共生をはかるのだとか。ちなみにタンポポも花盛りだったのですが、「いかにタンポポを引っこ抜くか」が課題なんだそうです。ほかの植物をおおいつくす勢いから。
樹木の高さも制限がつくので、ほぼ100%の区画に低木のリンゴと桜が植わっていました。リンゴもサクランボもコンポートやジャムにして配りまくっても余るほどとれるそうです。リンゴも花盛り。
画像のリンゴの木に立てかけてあるのは、50年以上前、ホストマザーのお父さんが乗っていた自転車で、今は息子さんが通勤に使っているとか。ちなみに7年ぶりに会った、息子さん22歳がものすごくハンサムな青年に成長していて、この自転車が似合うんだわ。
垣根はベリーと決められていて、マルベリーやらブラックベリーやらブルーベリーが敷地の境界になっています。それらもまた「もう結構です!」というくらい収穫があるとか。そうそう、菜園の大きさも決められていて、しかも植えられる種類も生態系に影響を与えないものだけ。トマトとかダメらしい。マルベリーの垣根も花盛りでした。
電気容量も決まっているし、ガスはボンベだけで、晴れていればほとんどの庭に設置されたバーベキューセットからいいにおいが漂ってきました。私もサーモンのローストやらソーセージに舌鼓を打ちました。ホストマザーはお料理がうまい! 三ツ星シェフだね、という賛辞は大げさじゃないです。
絶品だったイチゴとルバーブのタルト!
ホストファミリーの出勤は朝6時30分。7時始業、4時終業。買物をして5時過ぎには帰宅して、夏の間は庭いじりしたり、ゴルフを1ラウンドまわったり、冬にはジムでスカッシュを楽しんだりするとか。羨ましいライフスタイル!!
彼らが出勤後は、私はやたらとなつかれてしまった飼い猫としばし遊んであげた後は(向こうは自分たちのほうが遊んであげているつもりだろうが)、7年ぶりのヘルシンキをぶらぶら。以前はまだ雪が残る3月に訪れたので、今回は緑あふれる、「かもめ食堂」のヘルシンキを満喫しました。
ちょうど開催中だった、ムーミン一家を書いたトーベ・ヤンソン生誕100年展をアテネウム美術館で観賞したり、
前には行けなかったアルヴァ・アアルト設計のアカデミア書店や自邸やアトリエを訪ねたり、
デザイン博物館でフィンランド人デザイナーの作品をおみやげに購入したりしました。
到着後の2日間はかなり温かかったのですが、3日目以降は雨が降って最高気温10度以下になり、娘から借りて持参した軽量ダウンと雨具のユニクロ防寒セットが大活躍。しかし4日目にストックホルムに移動すると、風が強くて体感気温が3度くらいに感じられる寒さとなり、ついに耐えきれずノースフェースに飛び込んで防寒用具一式を購入してしまいました。見回すと、現地の人たちと同じような格好となり、北欧、初夏でもあなどれず、を実感したのでありました。天気がよくても、風が冷たい。
ストックホルムのような大都会でも、時間の流れ方が日本と違う。人々の歩き方がのんびりしてる気がしました。おしゃれなカフェがいっぱいありましたが、東京と比べるとまったり感が2倍くらいある感じ。歩いている人が少ないし、空がやたらと広いし、大げさだけれど、another worldに踏み込んだような感覚を覚えました。暮らしてみればいろいろ違うんでしょうけれどね。
そしてストックホルムから、地理的にスウェーデンの中心となるウステルスンドという街に移動して取材をしたわけですが、そこでの経験は(思いっきり大げさですが)これまでの世界観を変えるものでした。世界がもう少し立体的に見えてきた、というか。
原稿に書かないことを、またおいおい報告していきたいと思いますが、まずはここまで。
コメント
コメント一覧 (2)
フィンランドのサマーコテージ村、何ともうらやましいですね。
でも、好き放題していいわけではなく、厳格なルールで質素を旨としていて、でもそこに深い豊かさを感じます。
もう一つのワールドフットボールの取材の話もとても興味があります。といっても、現在の私はサッカーへの関心がすっかり薄れてしまっているのですが、国際サッカー協会に所属しない国や地域や民族の国際試合があるということ自体にすごく興味が湧いたのです。
続報を楽しみにしています。