目の前で、パトリック選手の同点ゴールが決まったときには、キャーキャー言うだけだったのですが、決勝点となった大森選手のヘディングがゴールネットを揺らしたとき、私はもちろん、周囲全員が壊れました(苦笑)なんか、もう何を叫んでいるんだか、どんな行動をとっているんだか、もう自分でもわからなくなりましたよ。 そして試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、両手を突き上げて雄叫びを上げながら、私の脳裏には最後のタイトルを獲った2008年以来のいろいろな記憶が、月並みなようですが走馬灯のようにめぐりました。しだいにほころびを露呈していった「攻撃サッカー」の看板。期待の若手が出場機会を得られないまま消えていくはがゆい思い。3点とらないと勝てなくなったアンバランスなサッカー。守備から入るとべったり8人がペナルティエリア付近に張りつき、得点のにおいがいっさい漂ってこないままなぜか失点してしまう今季前半の先の見えない絶望感。 そんなもどかしさ、はがゆさ、悔しさが、少し(まだ3分の1くらい)晴れた優勝でした。 私の個人的なこの試合のMOMは遠藤選手です。 ヤットさん、すごいわ。なんか、この数ヵ月でまた進化した感があります。これまでもヤットさんはスペシャルな選手だったけれど、今のこのチームのキャプテンとして、これまでにはなかったほどの輝きを放っています。 得点のアシスト場面だけではない。守備でも、試合の組み立てでも、味方だけでなく相手のコントロールにおいても、一段上がってます。 そしてヤットさんを一回り大きくしたのは、高校生の井出口選手から、宇佐美、大森選手などの若手、倉田選手をはじめとする中堅、そして最年長の明神選手までのバランスのとれた今のチーム編成なんじゃないか、と思うのです。自分と同じくらいのキャリアと経験ある選手たちが中心、というか、そればっかりの選手で構成されていたチームではなく、さまざまなキャリアや個性を持った選手たちを一つにまとめることによって、彼の輝きはいっそう増したのではないか、と。 年齢は34歳だけれど、ヤットさんはまだまだ進化を続け、きっともっと大きくなるでしょう! そんなヤットさんに引っ張られて、中堅も若手も大きく進化するはず。 Rising G。 新生ガンバの未来は、中堅、若手選手はもちろん、監督、コーチ、スタッフ、サポーターみんなで築いていくもの。その第一歩が、ナビスコ杯の決勝戦だった、と数シーズン後に頷けるような気がしています。