book_akachan.jpg赤ちゃんは殺されたのか
発行:文藝春秋
リチャード・ファーストマン&ジェイミー・タラン著
実川元子訳 文春文庫

615ページの大著ではありますが、長さを感じさせないおもしろさです。
 内容は乳幼児突然死症候群(Sudden Infant Death Syndrome。略称SIDS) をめぐる四半世紀にわたるドラマです。1960年代の終わりごろ、NY州北部の貧しい農村地帯で、一家庭で5人もの赤ちゃんが生まれるとまもなくつぎつぎとなくなる「奇病」が発生・・・。
MWA賞の犯罪実話部門優秀賞を獲得した作品は、本格ミステリーと呼んでもいい迫力です。いま日本でも話題になっている「代理型ミュンヒハウゼン症候群」(健康な子どもを無理やり病気にして、医師の関心を引こうとする親の精神的な 病)もこの本の大きなテーマです。私が恐ろしいと思ったのは、医学の「定説」というのがこんなにも簡単に作られ、精査されることなく受け入れられて広まっていくのかということでした。
ぜひ一度お手にとって読んでみてください。