Glamorous Life

グラマラスライフ 実川元子オフィシャルサイト おもしろい本、どきどきする試合や映画、わくわくする服に出会えたら最高に幸せ

2010年05月

50歳を迎えたとき、「あわわ、もう50やんか」というややあせりもあって「やりたいことは、全部やる!」と決めました。年賀状にも書いたもんね。体力、気力、家族との関係(育児とか介護とか)、過去を振り返り、将来を見据えて考えると、私がやりたいことができる時間は実は50代の10年間だけなんじゃないか、と思ったからです。

で、その50代も半分を過ぎ、今のところやりたいことはかなりやっているかな。

やるべきことをやって、しかもやりたいこともやるためには、効率のいい時間の使い方が重要だ、と50代突入時には思っていました。

ところが、ですね。半分すぎてわかったのは、効率のいい時間の使い方なんて、実はないんですね。

人間は機械じゃない。体調や気分ってものがあって、日によって体力や気力のコンディションがちがいます。何時から何時までにこれを片づけて、何時からあれをして......なんていくら計画を立ててもそのとおりにいくわけがない。こまかいスケジュールもさることながら、一か月単位、一年単位で考えたスケジュールも思うようにはいかない。いきなり仕事が入ることがあれば、いきなり仕事がなくてぽっかり時間があいてしまうこともある(今の私)。「効率よく」とはつまり、「計画通り」「思った通り」に時間を使うということに通じますが、そうはいかないためにストレスを感じるようであれば、本末転倒。

生活の面倒事を別の人に任せきりにできる人(おもに男性ですね)は、たぶん仕事のことだけを考えていればいいので、効率のいい時間の使い方が実行できるのだと思います。仕事第一、というか、仕事だけでいい、となれば、そりゃ効率よくいきます。でも、家のことも、家族のことも、仕事以外の人間関係も、もちろん仕事も、趣味も、全部とっても大事、という私のような人(おもに女性)にとっては、効率よく使わなくてはならないのは、時間ではなく気分(気力、といったほうがいいか)。

やらなくてはならないこと、やりたいこと、どちらに対しても「やらなきゃ!」「やりたい!」という気分を盛り上げる。反対に、切り替えもさっさとやる。すんだことはくよくよしない。

かつだらだら、ぐでぐでした気分のまま、まったく何もしない一見ムダな時間を過ごしても、自分を責めない。つぎのやらなきゃ、やりたい気分を盛り上げるための「アイドリング」もしくは「整備モード」と考える。そういうモードのときには、手抜きできることは、思いっきり手抜きする。手抜きしたことでも、自分を責めない。なんくるないさーで流す。そういう時間があるからこそ、やる気も出てくるってもんです。

生活に最低限の規則正しさは必要だけれど、規則正しい(つまりは効率のいい)時間の使い方に固執すると、やらなくてはならないことだけに追い回されて、やりたいことはできない。

なんてことを考える午後。やる気がわいてくるのを待ちながらアイドリング中。(ゲラ読みにちょっと倦んでいる......)

『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』

ジェレミー・マーサー著 市川恵理訳

河出書房新社

 

 幼稚園の年長さんだったとき、父方の祖母が孫たちの手を引いて、塚口駅前にあった小さな本屋さんに連れていってくれました。「どれでも好きなん買うてあげる。好きな本選び」と言われたのをよく覚えています。色とりどりの本が並び、「どれでも買ってあげる」と言われたせいかどの本も手招きしているように思われて興奮のあまり茫然と立ちすくんだ初夏の日。年上の従姉が手を伸ばしてとってくれたのは、偕成社(たしか)のシリーズの一冊だった『ピーター・パン』でした。

 それまで親から絵本か、もしくは「幼稚園」という雑誌しか買ってもらったことがなかった私にとって、それは初めての「大人」もしくは「お姉さん」が読む字ばかりの本でした。(実際には挿絵がいっぱいあって字ばかりではなかったが)風呂屋の番台のようなところに座っているレジの人にその本を差し出し、薄手のぺらぺらの紙袋に入れられた本を胸に抱きしめたときの、泣きそうになるくらい誇らしい喜びをおぼえたこと。帰りにカップ入り抹茶アイスも買ってもらって祖父母の家の食卓で、その本を広げたときのシーン。どれも今も色あざやかに蘇ります。夢中になって読み、一ページくるごとに終わりに近づいてしまうのが残念でした。「大人」の本を読んで自分が急に成長してエライ人になったような気がして、母の前で自慢げに音読したことも思い出します。

そしてその日の記憶にもっとも強く刻まれたのは、「本屋」という魅力的な場所がこの世にある、ということでした。

子どものころの夢は(もう何回も言っていますが)「本屋さんになって、好きなだけ本を読みながらポタージュを食べること」でした。(なんでポタージュかは突っ込まないように。子どものころから今にいたるまで、グリーンピースのポタージュが世界で一番好きな食べ物なんです)今もその夢は捨てていません。実現していませんが。

以来、私は一週間に最低一回は本屋で最低一時間を過ごしています。ヒマだった中高生時代には、学校帰りに必ず本屋に寄っていましたし、会社勤めしながら子育て真っ最中の大忙しの時期でさえも、六本木でバスを降りると目の前にあった青山ブックセンターに3分でも立ち寄ってから地下鉄駅まで走るのが日課でした。「読みたい本を、値段を気にせず買える身分になりたい」といつも思います。

ながながと書き連ねたのは、そんな私にとって夢のような本にめぐりあったからです。

タイトルにあるシェイクスピア&カンパニーは、ご存知の方はご存じのとおり、シルヴィア・ビーチがパリに開いた英語本の書店のこと。ずっと昔、翻訳を読んだことがあります。

で、本書はその二代目を継いだジョージ・ホイットマンの話。著者のジェレミー・マーサーはカナダで新聞記者をしていたのですが、秘匿すべきだった情報提供者を実名入りで書いてしまったことから脅され、仕事も住居も安楽な生活もすべて捨ててパリに逃げます。すぐにお金がつき、食べるものにも困るようになったある日、雨に降られて飛び込んだのがこの書店。その日、書店は居場所がなく食い詰めたモノカキに無料でベッドと食べ物を提供してくれる、という話を聞き、思い切ってジョージに事情を話して「置いてほしい」と頼みました。社会主義思想を実践していたジョージは快く彼にベッドを提供し、いくつかの仕事をやることと引き換えにしばらく滞在することを許可します。

書店に住み込んでいる奇妙な人々との交流。90歳近いジョージが送ってきた人生。地上げにあいそうになり、必死に書店を守ろうとするジョージと仲間たち。そんなエピソードが語られます。

描かれている人間模様もおもしろいけれど、私が胸が痛くなるような思いをしながら読んだのは、登場人物、とくにジョージの本を愛する気持ちの深さです。本が好き。そして好きな本があることが幸せ。好きな本に囲まれていることが無上の喜び。本を書く人を無条件で尊敬し、愛し、感謝する。そんなジョージの思いが一ページごとに伝わってきて、ほんと、大げさではなく息をするのが苦しくなりそう。

シルヴィア・ビーチの『シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店』(同じく河出書房新社)は、20世紀はじめのコスモポリタンな街、パリに集まってきた知識人たちの交流がきらびやかで、その交流碌がまるで知性の森に踏み込んでいく地図みたいで興味深かったのを思い出します。

でも、それから1世紀たった今、書店は存亡の危機にさらされています。どれほど由緒ある書店であっても、地上げには勝てない。大事なのは知性よりもお金。ジョージは別れた女房との間の娘を呼び寄せることで、なんとか買収からまぬかれて書店を守ることに成功しましたが、それがいつまで続くやら。

ちょうど『電子書籍の衝撃』(佐々木俊尚著 Discover携書)を読んだところで、書店はどうなるかについてうつうつと考えていたところだったからかもしれませんが、パリにそういう書店があるという「奇跡」になんだか泣きたくなるような思いです。

どうかこの世界から本屋さんがなくなりませんように。

そしていつか私の「本屋さんになる」夢がかないますように。

祝辞のコメントをいただいたみなさま、本当にありがとうございます。今日は朝からばたばたしていたので、お礼が遅くなって済みません。

hirokoさん、振り返ってよーく考えてみると、「ぜひいらしてね」とたぶん社交辞令のコメントをいただいただけのご縁なのに、すぐに真に受けてトルコまで押しかけて行っちゃった私って、相当にあつかましかったですね。hirokoさんに案内していただいたイスタンブールのすべてが今も強く印象に残っています。あれからもう5年もたったなんて信じられないですね。きのうのことみたい。一緒に観戦したチャンピオンズリーグ決勝戦。あれほど強烈な試合をまだ見ていません。ほんと、すべてが忘れられない思い出です。これからもどうぞよろしく!

ひそかさん、はじめまして......なのかしら? 当ブログをお読みいただいてありがとうございます。食べること、着ること、蹴ること、読むこと、そんな好きなことを「好きだなあ」とこれからも書き続けていきたいです。またぜひコメントしてくださいね。

Connyさん、短いコメントにもかかわらず、Connyさんの充実した生活ぶりが伝わってきて、こちらこそいつも楽しませていただいています。我が家にホームステイしていた大学生がジュネーヴにいて、ぜひ来て、というのでそのうち「来ちゃいましたー」とConnyさん宅を訪問しちゃうかも。もちろん日本に里帰りなさったときにはお会いしましょう!

TAKEさん、ほんと青黒の人々についていくのは気苦労ばかりで......なんというか、ロクでもない亭主をもった糟糠の妻みたいな感じ(違)。ぜひ今度はスタジアムでお目にかかりたいです。

さんたさん、いつもブログを拝見して楽しませていただいています。サッカー、音楽、バイク、マラソン、ほんとに幅が広い! しかもセンスがいい! 万博バックスタンドでぜひご一緒したいです。

moaniさん、おひさしぶりです。教室でお目にかかったかたに読んでいただくには、ちょっと翻訳関連の内容が希薄な当ブログではありますが、これからも楽しんでいただけるような文章を書いていきたいと思っています。見限らないで、どうぞまたコメントしてやってください。

zaburouさん、1年間ほんまにありがとうございました>「今週の一言」。そうそう、zaburouさんの「ガンバ大阪データランド」(もうすぐ10周年ですね!)に書きこんだのがご縁でしたね。大分や仙台まで応援に行く私に「ガンバの関係者ですか?」と訊かれたのを覚えています(苦笑)あとせめて17回くらいは優勝の万歳をご一緒したいです。さっさと優勝しろ>ガンバ!私らがボケてしまうやんか。

olivaさん、ずーっとolivaさんと顔見知りだと信じ込んでいました。あの人かな? それともこの人かな? なんて想像をふくらましていたのに接点がなかったなんて。コメントを拝見しているうちにどんどん親しい人のような感じがしています。書道にはまられたなんてうれしいかぎり。ぜひ飲み会で初お目見えしましょう!

zunkoさん、わ、毎日見てくださっているのですか? うれし恥ずかし朝帰り(意味不明)。翻訳を初めて1年ならばもう初心者とか駆け出しではないですよ。当ブログだけでなく、翻訳の分野でもどうぞよろしくお願いいたします。

と、今回は皆様のお返事を本文で書かせていただきました。

そしてhirokoさん、ひそかさん、Connyさん、TAKEさん、さんたさんの5名の方にぜひプレゼントを贈呈させてください。遠慮はなしよー!

なんとなく知っている方々なので、もうなんとなく「これをお贈りしよう」という心づもりもできました。すべて手作りものなので、完成までにちょっとお時間をいただきますが、送らせてください。(手作りって聞いて、わ、それはちょっと......とひかないでね)

そのために、お手数ではありますが、当ブログの右コラムにある「お問い合わせ」のところをクリックいただき、データを送信いただけますか? ご面倒をかけてすみません。

moaniさん、zaburouさん、olivaさん、zunkoさん、書きこんでいただいたのにプレゼントから外れてしまってごめんなさい。お目にかかる機会があれば、ぜひ何かお礼をさせてくださいね。

それではこれからも「グラマラスライフ」をよろしくお願いいたします。

 

みなさま、「グラマラスライフ」立ち上げてから10年経ちました。

記念の記事をアップいたします。(PCのタイマーと実際の時間とがあっていなくて、時間差が出てしまいました。やや遅れてしまってすみませんです)

これにコメントをいただいた5名の方に、プレゼントを贈呈させていただきます。

どうぞふるってご応募(書き込み)、つまりコメントしてください。

motokoさんと友だちだから遠慮します、なんてそういうことを思っているアナタ。そんな遠慮していると、グローバリゼーションに取り残されますぞ(意味不明)さ、さ、さ、コメントしてみましょうね!

 

2000年から2010年増えたもの、減ったもの

増えたもの

★友だち――サイトのおかげで知り合って友だちになれた方々、それまで知り合い程度だったのに友だちに進展した方々。本当にどうもありがとうございます。サイトをやっていて何が大きいって、いい友だちができること、友だちに自分の近況を伝えることができることですね。

★自分の時間――子どもたちがしだいに自立して自分の世界を持つようになり、母親として使っていた時間が自分のものになりました。ありがたやありがたや。

★白髪――2カ月に1回ですんでいたカラーが、いまや3カ月に2回に。美容院通いが欠かせません。30代のころから増えてきた白髪は、この10年で一気に倍増、いや3倍増になった気がします。

★語彙――年齢を重ね、人間関係が広がり、生活体験も広がっていくにつれて増えなくてはならないもの、それが語彙。増えた語彙を使ってどれだけ有意義なことを伝えているか、と言われると?ではありますが。

★落ち着き――ウッソー、というあなた。これでも私はずいぶん落ち着きを増したのですよ。今でも多少のことであたふたはしますが、だいぶマシになったなあ。

★風邪をひく回数――前は10年に1回しかひかなかったのに、最近は1年に1回ひいています。熱を出すのは2年に1回かな。

★靴――この10年、ファッションで大きな変化は「サイズ24.5センチ以上のおしゃれな靴が市場に流通するようになった」ことです。足に合うおしゃれな靴を見つけるととりあえず確保するために、いまやクローゼットはイメルダ・マルコス化。

減ったもの


★体重――2000年から比べて現在はマイナス7kgです。ときどきプラス3kgいっちゃって大慌てでダイエットしますけれど。

★酒量――減ったといっても、以前が以前なのでいまだ酒豪の部類に入っちゃうかも。最近は反省して1年に1,2回「断酒月間」をもうけています。でも、以前のように友だち2人と飲んでワイン3本、ビールン本あけて猛烈三日酔い、とかそういうことはなくなりました。

★外食――ほんと減りました。飲みに行く機会もぐっと減少。おうちごはん、おうち飲みが一番とか思っています。

★グチ――自分でグチらなくなったかわりに、むしろ他人のグチを誘発する機会が増えてしまって......とほほ。

★家事労働時間――18歳以下の子どもがいるかどうかで、世帯あたりの家事労働時間は大きく変わることを実感。

これからの10年で、何が減って、何が増えるのでしょうか?
ひたすら願うのは、友だちが増えていくこと。

これからもどうぞ「グラマラスライフ」をごひいきに!!

ワコールが「女性の心理と下着の研究サイト」ココロスを立ち上げられています。

そのなかで、昨年(だったかな?)インタビューされた私の記事が掲載されていますので、よろしければごらんになってくださいね。ちょっと恥ずかしいけれど......(赤面)。発言が<爆>気味です。

http://www.cocoros.jp/

 

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