Glamorous Life

グラマラスライフ 実川元子オフィシャルサイト おもしろい本、どきどきする試合や映画、わくわくする服に出会えたら最高に幸せ

2012年07月

今年も毎日書道展に応募し、漢字で入選しました。(近代詩は落選。大学のフランス語の授業で最初に習ったBibi Lolo De St Maroなる民謡を書いて、もし入選したらフランス語学科の友だちに教えて見に来てもらおうと思っていたのですが、残念) 昨日、上野の東京都美術館まで見に行ってきました。 入選作はこちら th_DSC02051.jpg 「思い出すのは、揚柳の渚を過ぎて(湖畔まで馬を走らせたこと)」 という李白の詩の一部を書いています。このほかにも「ヒグラシ、樹間に鳴く」とか「魚竜の夜」とかいろいろ書いたけれど、結局最初の方に書き出したこの1句に決定。 これを書いたときに考えていた(もしくは考えていなかった)ことを私はすごくよく覚えています。なぜか私はどんどん字が大きくなる、というか1文字目が大きくなってしまい、2文字目をまたその1.5倍くらいで書くので、余白っつーものが消えてしまうし、2行目が入る隙間がなくなってしまいます。なので「余白、余白」と呪文のように唱えながら紙を毛氈の上に広げ、しばらく精神を集中しているうちにまたもやすっかり忘れ、書き終わってから眺めたら、あら不思議、今までで一番白いところがある作品でした、というわけ。 一番苦労したのは「過」の字のバランスでしたが、この作品に関してはもうなんかそんなのどうでもいいやーと書いたらこうなった、と。何も考えないで書けるところまでもっていくのに時間がかかっちゃうんですけれどね。 いまのところ、作品を仕上げていく過程がものすごく楽しいので(まだ苦しみはあまりない)、このまま楽しくやり続けて行ければなあと願いつつも、きっと壁にぶつかるときがやってくるんだろうなあ、と少し恐い予感もしています。 でも、入賞もしたことだし、またがんばって書いていこう!

気がつくと7月1日から更新が止まっていました。はー、すみませんってあやまるほどのことではありませんが。 その間、1冊入稿し、米子に取材に行き、大阪にも取材に行き、試合も見たし、そのほか相変わらずの日常生活を送っておりました。 入稿した本はオリーブオイルについての本です。 "Extra Virginity The Sublime and Scandalous World of Olive Oil" Tom Muller オリーブオイルは健康にいい、それはなぜか? とか、オリーブオイルにまつわる逸話なども紹介はされていますが、この本の最大のテーマは「オリーブオイル業界がいかに偽装にまみれているか」という話です。訳しながら、もう驚くことやら腹が立つことがいっぱいでありましたが、同時にオリーブオイルの良さ、それだけでなく「本当においしくて身体にいいものを食べることのたいせつさ」を痛感しました。訳しながら「本物のエキストラバージン・オリーブオイル」を探し求めましたよ。本物を知ると、たしかにスーパーで1000円以下で売られているオリーブオイルのまずさがわかって食べられなくなりました。 翻訳の参考にするために「食の終焉」(ポール・ロバーツ著 ダイヤモンド社)を読んだのですが、この本も食のサプライチェーンがグローバル化によってゆがんでしまい、貧しい人、富める人関係なく、消費者は食の危機に瀕している、というノンフィクションで、読みながらぞーっとしました。 もともと食には関心が強いので、食にまつわるノンフィクションを読みながら「これでは土改良から始めて自分で作物を育てるしかないのではないか」とまで追いつめられた気持ちになってしまうのですが、そこまでやる時間も技能もまったくない現状としては、最低限「よく見極めて食材を購入する」「有機だの無農薬だの遺伝子組み換えなしだのという表示は一度疑ってかかる」「身体にいい、という情報にまどわされない(油脂は肥満の原因、健康に悪い、という「いい加減情報」に振り回されて、アメリカではかえって肥満が急増した)」「何事もほどほどを心がける」と心がけています。 米子には、今取材を進めているイランのトピックスの関係で、取材対象者であるダリア・アナビアンさんのおじいさまであるラヒム・アナビアンさんが生涯をかけてコレクションしていたペルシャ更紗のコレクションがおさめられているアジア博物館を見学に行きました。 一部、コレクションは見せていただいていたし、写真集も一通り見ていたのですが、実際にカシミアを使って、イランの植物や鉱物で染められて、精緻に織られ、刺繍された更紗を見ると、しばらく言葉を失うほどの感動がありました。ガラス越しの写真ではあまりわかっていただけないかもしれませんが、一部紹介します。 th_DSC01892.jpg このペルシャ更紗がイギリスに伝わって、かの地の産業革命を促した、とされています。勾玉の柄はペイズリーと呼ばれていますが、それは昔からこの地で織られてきた柄をペイズリーがまねてつくったことからそちらの名前が通称になった、とか。織物の繊細さもですが、彩りの華やかさにも目を奪われます。しかし、わざわざ米子まで来て、なんの説明もなく見させられても「ああきれいね」で終わってしまう。革命をかいくぐってなんとか残ったこのコレクションをいろいろな方に鑑賞していただきたいな、と心から思いました。 米子は日本一人口が少ない町だそうで、2時間かけてほぼ一周しても、人がいるのは高島屋などのデパートでちらほら、という程度。繁華街と言われる通りも4分の3の店のシャッターがおりていました。地方の低迷以上に、東京の一極集中に危機感すら覚えます。 天気が今ひとつではありましたが、中世の頃からの町並みが残っている掘り割りの通りを歩くのはそれなりに風情があって楽しいものでした。人にまったく会わないのにはまいったけれど(道を聞こうにも人がいない)。途中で出会った猫まで、声をかけるひまもなくそそくさと小走りに消えていきました。 th_DSC01946.jpg 帰りに観光の目玉、とも言える安来の足立美術館(庭園が有名)に行き、ようやく人の気配を感じてほっとするも、その行き帰りはけっして便利ではなく、1時間に1、2本のJRと、バスを乗り継いでいかねばなりません。バスの中からはいわゆる「里山」が広がり、それはそれで美しかったのですが、ここで暮らす人たちを「豊かな自然に恵まれた」というべきなのか、それとも「不便」とするのか、迷うところでした。食のサプライチェーンについて考えるうえで、地方と都市との関係を「是正」することなしには前に進まないような気がします。 th_DSC01980.jpg 最後に、飛行機に乗る前に運転手さんが「水木しげるさんの名所を案内してあげる」と言い、素直に従ったらゲゲゲの鬼太郎の衣装を着せられて、あちこちで写真を撮られまくりましたw 空港の鬼太郎の前で3枚撮影されてようやく解放。あたたかな心遣いに感謝です。 th_DSC02031.jpg
半月、わりに充実した日々を過ごしていましたが(ただ一つをのぞいては)、いきなりの猛暑に今日はややばて気味です。みなさんも、どうぞ体調にはお気をつけて。

これを最後に、きっぱり今季はガンバのことを書くのをやめます。こないだは「それでも勝ったら......調子を取り戻したら......書いちゃうんだろうな」と思っていたので、「しばらくは書きません」とか言っていたのですが、もう昨日の試合である程度今季は残留争いどころか、残留がほぼ不可能になってきたのがわかりましたから、とにかく今季は書かない。今後、仮に奇跡的に残留できたとしても、もう書きません。(でも試合は見に行きますよ)

 実はヘタレなんで、名古屋戦では2点あまりにも情けない失点をしたあとテレビを消して外出し、柏戦では最初からもうLIVEで試合を見ないことにしました。でも、これではいけないと思いなおし、先ほど録画を早回しで見ました。

誰かが悪い、とか、采配に疑問が、とか、そういう段階をもうとっくに過ぎてしまい、転がるように悪い方向へと全員で走っているとしか思えませんでした。助っ人が来ても、監督を変えても、これは厳しいですね。たぶん、わりに早い段階で来季戦うところが決まってしまいそうです。夏は乗り切れないな、このチームでは。前は「早く手を打ってくれ」と思っていましたが、今はもう「3年くらいで戻ってこれたらいいね」という心境になっています。

思えばその兆しは西野さんの時代からありました。個人技に頼って得点し、失点には目をつぶる、3点とられたら5点取る、というスタイルの是非をうんぬんする資格はありませんが、クラブもチームもサポもそれをよしとしてはしゃいでいました。ストライカーがいなくなったら、どっか(Jリーグの助っ人ガイジン)から補強して、自前で育てるということをしてこなかった。それがうまくいかなくなったのが2010年ごろから。それでも平井が覚醒したり、宇佐美が活躍したりして、なんとか持ち直していたけれど、ベテランたちが軒並み怪我がちになってしまったころから、ガイジン助っ人個人技頼みはますます加速しました。それでもなんとか上位につけていられたのは、西野さんの采配もあるでしょうが、ベテランたちの矜持、みたいなものがあったからです。でもベテランたちが怪我がちになったころから、こうなるのは目に見えていました。ガンバの攻撃サッカーというかっこいい売り文句でごまかして、組織で守って組織で攻める、という基本をやってこなかった。そのツケが今まわっているのだな、と思います。

今EUROを見ていて思うのですが、組織としてディフェンスができないチームは、どれだけすごいストライカーがいてもやっぱり「弱い」ですよ。チーム全員でディフェンスとオフェンスの決めごとができているチームが、やはり勝ち残っていきます。そんなことは今さら言う必要がない「常識」。美しい攻撃は美しい守備なしにはありえないし、その逆もまたしかりです。組織で戦う、というサッカーの基本に立ち返らないことには、ガンバがJ1でそこそこのサッカーができるチームになるまでにずいぶん先のことになりそうです。

もうひとつ。私はクラブの姿勢に疑問を持たざるを得ない。ガンバというクラブは、スタジアムを建てることが最優先事項であり、チームの強化は二の次だと考えているのでしょうか? 正直、私はもうスタジアムなんてどうでもいい、とさえ思っています。こんなチーム状態で新スタジアム建設なんて笑止千万、と思っているサポは私だけではないはず。「せっかくここまで計画が進んだのだから」「今さら後戻りはできない」とクラブ側が考えているとしたら、私は言いたい。まずは、チームを立て直してからです。またみんなで笑い合えるようなチーム状態になるまで、新スタジアムの話なんて聞きたくもない。スタジアム建設があと10年先になっても、私はちっともかまわないですよ。そもそもガンバがまたACLに出場できるようになるまで、あと10年ですむとは思えないし。

思えば、西野さんを切るときのクラブの酷い対応も、今のチーム状態につながっている、と思います。すべてが行き当たりばったり、優先順位の付け方がまちがっている(というか、そもそも優先順位をつけていないのかもしれない)、クラブに先を見通した計画性がないから、チームの方針も定まらないし、ピッチの上でもみんながばらばらで戦略も戦術もなし。その結果が現状です。

私は松波監督を応援しているけれど、監督未経験者に今のチームを任せるのはあまりにも酷、というかリスクが高すぎる、というのはドシロウトが見てもあきらかではないでしょうか? 同時に、このような状況を好転できるだけの力を持った人がクラブ内にいないのではないか、とそこにも大きなリスクを感じます。

どんなクラブにも浮き沈みはあるし、暗黒時代が長いクラブのほうが多い、ということもわかっています。でも、弱くても、負けても、ガンバが好きで応援している、というサポさえも離れていくようなことをやっていたら、降格するどころではなくなってしまう。

愛するクラブがある幸せを、もう一度味わいたい、と心から願っています。

 

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