ガンバ大阪では今、サッカー専用スタジアムをつくる計画が進んでいます。
詳しいことは以下のホームページに書かれているとおり。
みんなの寄付金でつくる日本初のスタジアム
http://www.field-of-smile.jp
今、ガンバがホームスタジアムとしている万博記念競技場は、サポーターである私がいくら贔屓目で見ても、ボロいです。
忘れられないのが2年前のACLラウンド16の試合。この日、私は友人サポーターのご好意により、メインスタンドの一等席で観戦することになっていました。朝から降っていた雨はやむどころか、試合時間が迫ってくるにつれてますます雨脚が激しくなり、おまけに強風が吹き荒れ、モノレールに乗るのもためらわれるほど。モノレールの公園東口駅からスタジアムまでは目の鼻の先なのに(徒歩3、4分)、駅から合羽を着ていっても入口に入る頃にすでに頭からしずくがたれるほどぬれました。
一緒に観戦する同志が、仕事が終わってKOぎりぎりに駆けつけるという友人にメールで雨の激しさを伝え、「メインやからそんなに濡れる心配はないと思うけれど、風がきついのでくれぐれも合羽は忘れんように」と書いたら、即行で返事が来た。
「何言ってんの! 万博で屋根のあるところはどこもあらへん。メインでもずぶぬれ覚悟です」
KOぎりぎりに入場したものの、座席にはすでに水たまりができていて、座るどころではありません(座ったけれど)。通路をへだてた席には、たぶん選手のご家族だろうと思われる方々がいらして、つまり万博では一等席なのだけれど、全員合羽にすっぽり包まれながらも、KO前にすでにずぶぬれ。
試合もしょっぱくて、3年連続でラウンド16敗退。ずぶぬれで噛み締めたそのみじめさは、忘れようたって忘れられるもんじゃありません。
「ちゃんとしたスタジアムで愛するチームの試合が観たい」
ほんと、痛感しましたね。
さすがにこれだけ通っていれば万博に思い入れもあります。芝はすばらしいし、雰囲気も、まあ、悪くない。だけど、陸上のトラックがあるから何せ試合が観づらくて、スタンドの座席をふくめて施設がボロすぎる。ほかのクラブのスタジアムに行くと、よけいに万博との差を感じて、うーん、万博に応援にやってきた他サポには「ようこそ万博へ」って言うより、「まあ、よくこんなところへ来てくれはりましたな」としか言えないよなあ、という気持ちになります。
以前に翻訳した「英国のダービーマッチ」(ダグラス・ビーティ著 白水社刊)では、サッカースタジアムがサッカーファンだけでなく地元の誇りであり......というか、スタジアムしかおもしろいものがないのが英国の地方都市、と書かれていました。サッカースタジアムだけしかないっていうのもどうかと思うけれど、少なくともファンだけでなく、地元の人にも誇りとまでは言わずとも、クラブとサッカーが認知されるようなスタジアムが必要なのではないか。「大阪にはあの(すてきな)サッカースタジアムがあるよね」といろいろな人に印象づけられるようなホームスタジアムを持つことで、クラブも、また日本のサッカーも、もう少し多くの人たちに愛されるものになるのではないか。
そんな願いをこめて、私も寄付をしました。
今年はJ2だし、これからクラブがどうなっていくかわからない。でも、すばらしいスタジアムができることによって、もっとガンバが、そしてサッカーが愛されるものとなり、地元に根づいていきますように、という願いをこめて。
今はたしかにぼろぼろのしょうもないクラブであるガンバですが、もう一段も二段も上昇できるように、という願いもこめて。
追記ながら、来年3月まで寄付期間が延長されたそうです。上記のHPで募集中。(私は回し者ではありませんが)
2013年01月
バイオリズム(死語?)
もはや誰からも聞くことがなくなった「バイオリズム」。私はいまだにとらわれています。
エネルギーが盛り上がって、やる気が打ち寄せる波のように私を持ち上げて身体がどんどん動いてくれるときと、気持ちがぐーっと沈滞し、身体が重くてぐずぐずしているうちに1日が過ぎてしまうとき。
もちろん、バイオリズムとしては盛り上がっているときのほうが「いい」とされるのでしょうが、私はぐーっと下がっているときも嫌いではない。上がったままだと、私はもたない。できれば波の振幅を小さくしておければいいのでしょうが、それだと人生つまらない。やっぱり盛り上がって盛り下がって、バイオリズムの振幅に合わせるように気持ちも(心も)身体も動かしていくほうが面白いのではないか、と。
私は昨年が1年間盛り上がりっ放しで、それはそれですごく楽しかったのですが、年末から疲れが出てきて「このままだとちょっとヤバいかも」と思っていました。ちょうどその頃、Kindleを入手した、ということがあって、バイオリズムが下がったところで読書三昧。それも仕事とはまったく関係のない本を読みまくっています。今日なんか浅田次郎の「壬生義士伝」なんか読んじゃいましたよ。
あと伊井直行「会社員とは何者か」どちらもたいへんおもしろかったのですが、みんなが泣いたという「壬生義士伝」ではまーったく泣けなかったし、うーん、武士武士義義ってうるさいんだよ、なんて下巻はちょっとげんなりでした。しかも映画で主演が中井貴一と知ってwww「会社員とは何者か」は、明治以降の文学作品に登場する会社員像から、会社員の真髄に迫った一冊。文学評論というよりも、「会社員」という言葉に貼り付いているものをいちまいいちまいはがしていう社会評論でした。
バイオリズムが下がり目の今、顎関節症なるものになってしまいました。噛み合せがうまくいっていないためらしい。森高千里もかかったという顎関節症、私はてっきりやわらかいものばかり食べている顎の小さな若者がなるのだと思ったら、♪私がおばさんであっても、かかってしまうのね♫
口が開かなくなって、ごはんがあまり食べられなくなったのですが、ぜーんぜんやせないよ(非自慢)顎関節症を言い訳にせず、そろそろあげていかないとね。
というところで、正月に見た見事な富士山と、寒い中でけなげに咲いている水仙です。
ガンバ大阪の2013年
明日はいよいよガンバ大阪のチーム始動日です。
新しい監督を迎え、新しいチームが始動します。初めてのJ2。どんなシーズンが始まるのか。意外なことにワクワク感もあります。少なくとも、昨年よりもはるかに心が弾んでいます。
その中で、シーズン初めに言っておきたいことがあります。
ガンバ大阪は遠藤保仁選手のチームだ、と言われています。本人は「そんなことはない」と否定していますが、チームだけでなくクラブのヤットへの依存度は非常に高い。異常と言ってもいいほど。
私が今年J2で戦う上で期待したいのは、この依存度が下がることです。誰か1人に頼るのではなく、みんなで戦っていくチームになってほしい。それこそが、ガンバの再生に必要なことではないでしょうか。
ヤットももう今年は33歳になります。まだまだやれるだろうし、まだ成長もするでしょう。J2だからといって手を抜くような選手ではないし、責任もしっかり感じてやっていくはずです。
でも、それに甘えてはいけない。来年、彼をブラジルで輝かせるためにも、今の若手は大奮起してほしい。
中でも私が一番期待しているのは、倉田秋選手です。
J2降格が決まったとき、同志に「シュウは(ガンバに)残るかな?」と聞いたら、即「いや、昇格のために頑張るというタイプではない」と答えが返ってきてがっかりしました。
実は、昨年1番に購入したのが倉田選手の14番ユニ。「あああ、このユニともお別れか」とがっかりしてしまおうとしたのですが、なんと天皇杯決勝後に残留宣言。
そのとき、昨年何回も言い続けてきたことが、いよいよ実現する、と確信しました。
それは「倉田秋が、ガンバを背負う選手になる」
背負う、というのは、依存ではありません。彼が、ガンバの新しい方向を決めていく、チームを引っ張って行く選手になる、ということです。
私は本気で期待しています。
たとえ、先のとんがった靴をはいていようと、茶髪になろうと、倉田選手、あなたを信じている。
あなたがミスターGAMBAになるのです。(私が唯一サインをもらった選手だしね)
今年も、魂がふるえるようなゴールをたくさん決めてくださいね。
読んだ本のこと(つづき)
昨年、夢中、というかずいぶん考えさせられた「大人の」本たち。
1冊は以前にここでも紹介したような気がする
「食の終焉」
ポール・ロバーツ著 神保哲生訳 ダイアモンド社
今、私たちが口に入れているものって、本当に安全な食べ物なのだろうか? というのはもうすでにあちこちで言われていて、それに関してはいろいろな意見があるのであえてふれません。マックが大好きで、マックの安さのおかげで救われている、という人もきっと大勢いるのだろうし、誰もマックを食べて健康になろう、と思ってやしないだろうから。
ただ、この本を読んでから、たとえば豚肉一つとっても、これは本当に人間が口にしていい肉なのだろうか、とパックを持ったまま考えてしまいます。できるだけ成長を急がせるためにホルモン剤を飲ませ、病気を防ぐために大量の抗生物質を与え、肉に「おいしそうな色」をつけるために着色し、で、そういう肉を食べて(とくに子供が)本当に大丈夫なのか?
そんなことをもう一度考えるヒントを与えてくれました。
とりあえず、子供たちに3歳になるまでできるかぎり着色料がついたお菓子とジュースを与えず、あれは毒だ、食べたら死ぬ、と言い続けた母=私の判断は正しかったんだ、と胸をなでおろしましたよ。まあね、娘は泣き伏して「死んでもいいから食べたい」とわめいたのでしたが。
「兄〜かぞくのくに」
ヤン・ヨンヒ著 小学館
映画もよかったのですが、映画以上に私は本にぐっときました。言葉がページから立ってくるような、そんな迫力があります。小説なのですが、ほぼ著者の体験なのではないでしょうか?
帰国事業で北朝鮮に「帰って」いった3人の兄たちの物語。「帰国」するまで、そして「帰国」してから、海峡に引き裂かれる一つの家族。もどかしさとこの小説がすごいのは、誰かを糾弾したり、「運命」とかいって嘆いたり、政治体制を恨んだり、そういう言葉がないこと。家族愛とか、国とな何か、とかそういうしかめつらしい歯が浮きそうな言葉も出さない。それなのに、北朝鮮と日本という2つの国の間の非常に深い溝と、その間で引き裂かれた家族の痛みがしみてくる。歴史の見方が少し変わりました。
ここから北欧ミステリー3連発。『ミレニアム」大ヒット以来、ミステリー界は北欧ブームらしいです。私は小説も北欧とロシアものを何冊か読みました。ミステリーはどろどろと暗くて、そこが好き。内容にふれるとネタバレになるのでそれぞれのあらすじなど内容を紹介するのは遠慮しますが、共通しているのは北欧という風土。寒冷地で日光に恵まれず、人間の行動にも自然の制約がつく、という点。精神活動にも影響するその風土が、犯罪の特殊性を生むのではないか、と思います。
「湿地」
アーナルデュル・インドリダソン著 柳沢由美子訳 東京創元社
『ファイヤーウォール」
ヘニング・マンケル著 柳沢由美子訳 創元推理文庫
「特捜部Q 檻の中の女」
ユッシ・エーズラ・オールスン著 吉田奈保子訳 早川書房
ところで、私はときどきデンマークのTVドラマ「ザ・キリング」を見てます。見ながら、特捜部Qを思い出したりして。
そして昨年、最後に読んだおもしろい本。
「ネットと愛国〜在特会の「闇」を追いかけて」
安田浩一著 講談社
シチリアからの帰りの飛行機内で読み始めて、6時間熱中しました。在特会とは、在日の特権を許さない市民の会、という会だそうです。実は、知らなかった。インターネットで会員を集め、朝鮮人学校などに集団で行っては、聞くに堪えないような罵詈雑言を浴びせるそうです。私はまだ見たことがないのだけれど、ネトウヨと言われる人たちがネット内での罵詈雑言はよく見かけるので、ああ、それを実際にやっているわけか、と。
その在特会に密着したノンフィクションで、内容はかなり熾烈で殺伐としているのだけれど、10ページに1回ずつくらい笑っちゃうんですよ、思わず。やっていることが、なんか......ごめんなさい、幼稚というのか、滑稽というのか。まじめだからこそ、おかしい。安田さんの書き方もユーモラスだし(いや、ユーモラスとか言ったら怒られそうだけれど)。ぐははは、とか笑って飛行機の中でかなりあやしい人になっていました。
実は私は日朝関係の問題についてはあまり詳しくない。右翼と左翼の思想についても通りいっぺんの知識しか持っていません。そのせいか、この本で一番興味が引かれたのは、インターネットと言論の部分でした。
インターネットでの書き込みを読んでいて、たまに(よく)引っかかるのが、相手への露骨で何の芸もない罵倒です。でもって、そういう言葉をしょっちゅう書いている人と何回か会ったことがあるのだけれど(オフ会とかで)、ものすごく普通、というか、妙にもの静かだったり、礼儀正しかったりする。挙動不審な人だと思われがちだけれど、そうでもない(そういう人もいるにはいるけれど)。でも、共通しているのが相手の目を見て話さない、ということ。相手の言うことを聞く気持ちがない。自分の世界の中だけに入り込んで、ほかを寄せつけない。自分が好き。ネットに書いてあることを知っている自分っていうのが好きみたい。
インターネットを見ていると、情報と知識とは別物だ、とつくづく思います。思想は情報ではなく、多様な知識の上に築かれる。多様な知識は、考え、行動し、言葉を持っている人が与えてくれるものです。ネットの中にも確かにそういう知識は蓄積されています。でも、情報と知識との違いは、ネットだけ見ていると見分けがつかない、と思います。
そんなことを考えさせられた本でした。以前に、『堕落する高級ブランド」の担当編集者がこの本の編集者だったと知って、よけいに面白く読めました。
読んだ本のことなど
すっかりガンバブログとなっているグラマラスライフではありますが、たまには読んだ本のことも書いておかなくちゃね。
2012年はあまりに忙しくてあまりじっくり本が読めなかったのですが、年末に購入したKindle Fireのおかげ(せい?)で、この1ヵ月は読む読む飛ぶように読む! Kindleで夢中になった作家の本で、電子書籍としては販売されていない本を本屋まで探しに行く、という調子ですっかり読書づいています。昨年買っただけのツンドク本も、ようやく読む時間が出てきました。
というわけで、何冊か印象に残った本を書き留めておきます。
Kindle本では
「スティーブ・ジョブス」ウォルター・アイザックソン著/井口耕二訳
昨年の大ベストセラーだったし、有名すぎちゃうし、私の分野じゃないし......と手を出さなかったのですが、Kindleが届いて一番に目についたのでつい購入。辞書のダウンロードよりも速かった。
ゆっくり読もうと思いつつ、「今すぐ読む」をぽちっとして読み始めたら......あらあら止まりません。ほかの本を購入する前に、本書を読み終えてしまいました。
この本はたしかにビジネス書の分野に入るのでしょうが、読み手によってはエンターテインメントにもなり、びっくり情報本にもなるでしょう。私にとっては「教育」を考えさせられました。ジョブスは天才です。天才にもいろいろあるけれど、なーんちゃって天才が多い中で、彼は押しも押されぬ(って妙な言い方だけれど)正真正銘の天才です。凡人中の凡人の私には、とってもついていけないところが満載。天才には凡人が見えないものが見えて、聞こえないものが聴こえてくるのでしょう。本書は「こんなものが見えるんだよ、こんな声が聴こえるんだよ」ということを教えてくれると同時に、その目と耳を失わずに成長させていくために、周囲は何をしたらいいのかを教えてくれる本でした。ジョブスは時代と地域と環境にある意味恵まれたな.今のアメリカにも、こんな教育風土があるのでしょうか?
「乙嫁語り」森 薫著
年末にお芝居を観に行ったとき、ご一緒した方(腐女子、いや貴腐人だそうです)から勧められました。森薫はヴィクトリア朝時代の英国を舞台に、1人のメイドが幸せをつかむまでのシンデレラストーリー「エマ」を借りて夢中になったこともあり、飛びつくように購入して読みました。Kindleでマンガって予想外に読みやすい。乙嫁語りの舞台は19世紀後半の中央アジア。まだ4巻しか出ていないのでこれからどの方向に向かうかわからないのですが、とりあえず羊を飼って自然の中で暮らしている人たちが、列強の進出で過酷な運命を生き抜くらしい、ということはわかってきました。つぎが楽しみ。
そして2013年に初徹夜して読みふけったのが
「獣の奏者」上橋菜穂子著 全4巻プラス番外編(番外編のみ単行本) 講談社
もうこのシリーズに関しては、ストーリー、構成、登場人物の魅力、すべてに文句のつけどころなし。
上橋さんといえば、「守り人」シリーズ。こちらもすばらしく、もう何年も前に図書館で借りて読んだ記憶があるのですが、獣の奏者シリーズは1冊目だけで終わってしまっていた。悔やまれます。
この本もまた、教育をテーマとして読みました。人間とは何か? 私はなぜこの世に生を受け、なんのために生きているのか? それをとても素直に自然に考えられる本です。生命を輝かせるものは何なのか? 読後、ふーっと息を吐きながら、こんな感想をもらしてもちっとも照れない。すべての中学生以上の課題図書として推薦したいです。
実は2年前から児童文学を読み直して......いや、あらたに読んでいます。
昨年読んだ中でのベストは
「肩甲骨は翼の名残り」
デヴィッド・アーモンド著
泣けました。強くならなくちゃいけない、いい子にならなくちゃいけない、つらい顔をしちゃいけない、そうやって一生懸命がまんしていた子供が出会ったものとは......。これは飛行機の中で読んでいて、思わず涙が出て困りました。2回くらい読み直して、このシリーズの「ミナの物語」が10月に出たときには、ヴォーグで取り上げました。少年と少女の違いかな。女の子の強さだけが目立ってミナにはあまり共感できなかった。
(とここまで書いて、出かけなくてならない時間になったので、つづきはあとで)
読んだ単行本たちとKindleを記念撮影したので、アップしておきます。