Glamorous Life

グラマラスライフ 実川元子オフィシャルサイト おもしろい本、どきどきする試合や映画、わくわくする服に出会えたら最高に幸せ

2015年01月

2001年9月11日にアメリカ同時多発テロが起こったとき、前年にイランを旅したこともあって私はなんとも言えない複雑な思いだった。私が出逢ったイランの人々は、子どもから大人まで笑顔いっぱいでとてもフレンドリーだったし、旅を通して1979年のイラン革命以来持っていたイラン、ひいては中東へのイメージがわりに大きく変わった。そもそもこのブログの最初の記事は、イラン旅行記だったし。
アーカイブを見てやってください)
それから14、5年たって、グローバル化とインターネットの普及によって、人とモノと情報はそれまでの人類の歴史にはなかったほど大量に短時間で行き交うようになった。直接的であれ間接的であれ、接触が増えれば増えるほど、人と人との関係は複雑になる、というのはどうも人間関係の普遍的な「法則」であるらしい。世界中にきな臭いにおいが立ちこめている原因は、人間関係があまりにも複雑になってしまったからか。
このたびの「イスラーム国」による邦人誘拐事件や、パリのシャルリ・エブド襲撃からの一連のテロ事件のニュースを、メディアで追いかけていて感じるのは、シリア、ヨルダン、イラク、イランといった国々とその出身の人々に対して、または他地域もふくめたムスリムの人たちに対して、それ以外の人たちが持つ「なんとなく恐い」という感情である。テロ事件の犯人や「イスラーム国」の「兵士」たちに対して、もちろん憤りも感じるのだけれど、それと同時に「どんな人たちなのかわからないために、また、なぜそんなことをするのかわからないために、よけいに恐い」と感じてしまう。ネットで展開される「情報(というより噂?)」が、その「なんとなく恐い」という思いをよけいに増幅させているように思ったので、ムスリムとアラブ諸国の政治や社会に通じている人たちの本を読んでみた。

まずは「イスラーム国」の台頭とともにときの人となられた、イスラム政治思想分野研究者である池内恵(いけうち・さとし)氏の話題の新書。
「イスラーム国の衝撃」 
池内 恵著 文春新書

「イスラーム国」がなぜ、どのようにイラクからシリアにかけての広範囲の領域を支配するにいたったのか。第一次世界大戦から現在にいたるまで、欧米諸国、つまりキリスト教社会との対抗関係。
アラブ主義からイスラーム主義、ジハード主義までの思想の説明と、それが及ぼしてきた政治的な影響。
アルカーイダから「イスラム国」成立、そしてグローバル・ジハードを2020年に完遂するという描かれたシナリオの実行。
世界規模のグローバル・ジハードを成立させた思想的要因と、「アラブの春」という地域的な政治変動を背景に各国中央政府が揺らいだという政治的要因。
「イスラーム国」の人的、地域的、宗教的、思想的な構成。そして外国人戦闘員をどのように惹きつけ、それが世界都市の「ローンウルフ」的テロとどのように結びついているのか。
背景から現在の状況にいたるまで、おおよその概略がつかめる内容になっている。最終章の「中東秩序の行方」の「イスラーム国は今後広がるか」「遠隔地での呼応と国家分裂の連鎖」「米国覇権の希薄化」は読みながら、うーんとうならされた。あまりにも現実的すぎる予測。
「イスラーム国」は遠いところの日本とは関係のない話、日本人人質事件もほかの地域のもめごとに巻き込まれてしまっただけ……なんていう「他人事」の対応をしている場合ではない、と思い知らされる。

「イスラム国 テロリストが国家をつくる時」
ロレッタ・ナポリオーニ著 村井章子訳 池上彰解説
文藝春秋


テロ組織を研究し、北欧諸国政府の対テロリズムのコンサルタントをつとめる著者が、単なるテロリストの集団ではない「イスラーム国」がどのような組織なのかを分析し、「イスラーム国」が勢力図を広げることによって中東の国々の国境も書き換える、と予測している。
歴史的、思想的背景については池内さんの本と重なる部分も多いのだけれど、この本の一番の読みどころは「イスラエルの建国と何が違うのか?」という第三章。著者は言う。
「ユダヤ人にとって古代イスラエルが『約束の地』であったように、カリフ制国家はムスリムにとって理想の形、完璧な国家であり、そこではついに解放が実現する。何からの解放かーー数世紀におよぶ屈辱、差別、異教徒への屈従からの解放である。この異教徒とは言うまでもなく外国勢力であり、それに加担するムスリムを含む。ユダヤ人は、世界に散らばるユダヤ人のために、古代イスラエルの現代版を建国した。まさにそれと同じように『イスラム国』はスンニ派のすべての人々のために、21世紀のイスラム国家を、それも国家としてしかるべく機能する国を、興そうとしている」
それでは1940年代のシオニストの武闘集団と「イスラーム国」のやり方の何が違うか、といえば、それは巧みな映像技術を用いて制作した動画をソーシャルメディアを通じて発信し、自分たちのプロパガンダと暴力行為を世界中に拡散(宣伝)していること、そしてそのプロパガンダと暴力行為に憧れて世界の他地域の若者を引きつけて戦闘員にしていることだ、という。
え? そこですか、違いは? と言いたくなるのだが、まさに「そこ」なのだ。ネットやSNSという西側世界が開発、発展させた情報技術を駆使してプロパガンダを発信して人材を集め、まっこうから否定している「異教徒の金融システム」にのっとって資金を稼ぎ、理想の「国」を作る。矛盾に満ちている、と思うのは、異教徒の論理なのか。

「こんにちは、ユダヤ人です」
ロジャー・パルバース 四方田犬彦
河出ブックス


ニューヨークに生まれ、ベトナム戦争への批判からアメリカを離れてオーストラリア国籍を取得し、日本滞在歴40年で宮沢賢治や井上ひさしの研究で知られるユダヤ人のロジャー・パルバース。
テルアヴィヴ大学で教鞭をとったことがあり、文学、映画から漫画まで幅広い研究・執筆活動を行っている四方田犬彦。
長い交遊のある2人が「ユダヤ人とは何か?」をテーマに語り合った。
パルバースさんが自分の祖先をたどっていく話がとてもおもしろい。ロシア、ポーランドからアメリカにたどりつくまで、おじいさんたちやおばあさんたちのなれそめや生業なんかの話。「ぼくが考えるには、ユダヤ人には風土がないんですね。風しかない。土がない。風に乗って生きている民族だと思います。『さまよえるユダヤ人』と言われるように、流人、追い出された民族です」というパルバースさんの言葉通り、父方も母方も、そしてご本人も世界をさまよっている。そして居着いた土地で大なり小なり「迫害」される。近代史における最大の迫害はホロコーストだったが、ユダヤ人の長い歴史は迫害史といってもいいほど。
そして1948年に「約束の地」に「イスラエル国」が建国される。だが、2人とも「イスラエルはユダヤ人を代表するわけではない」と言う。パルバースさんはとくに否定的。
それではユダヤ人とは何か? 世界中に散らばり、その土地に何世代も根づいて国籍を取得し、シナゴーグに行くのは一生に数回しかない。つまり言語も国籍も宗教もさまざまなユダヤ人がいる。多種多様なユダヤ人としての共通特性、芯にあるものは何なのかというと、パルバースさんは「自分のことではなくて、相手の苦しみや悲しみ、相手の幸せを先に考えるのが本当のユダヤ人だと思いたい」そういうユダヤ人は過去の歴史の中に大勢いた。そして「愛国心ではなくて、それを超えた普遍性が彼ら(そういうユダヤ人)の存在理由でした」
それに照らし合わせると日本人の芯にあるものって何なのだろう? しばし考えてしまったけれど、まったくわからず。
最後にやはりパルバースさんのつぎの言葉が心に残った。
「国があって民族があって、人はいつまでもその国や民族に帰属している。それがその人のアイデンティティであると思うとき、ディアスポラが出てくる」。だからパルバースさんはディアスポラというものはない、アイデンティティという言葉は使わない、と言う。そして「ディアスポラというのは、まず中心があって、そこから出ていく、あるいは追放される、ということです。それがあるからこそ、ユダヤ人は根無し草とか流人とか、国を思う心がないとか、本当に信用してはいけないとか、悪い意味でのコスモポリタンとか言われるのです」
国や民族といった人がつくったある種の「神話」にとらわれ、そこにこそ自分のアイデンティティ=本質がある、と考えた時点で、人はもしかすると阻害され、追われるディアスポラになる恐怖にとらわれるのかもしれない。そして自分の「アイデンティティ」を脅かしそうなものを、「なんとなく恐い」と言って攻撃するのかも。
「なんとなく恐い」を突き詰めていくと、いろんな恐いものに突き当たる。
だからこそ、それゆえに「なんとなく恐い」が一番恐い。




 

ガンバさんは沖縄で一次キャンプ、その後インドネシアにわたってジャカルタでインドネシアのクラブと親善試合。「まだ90分をできるコンディションではない」(by長谷川監督)ということで、45分ハーフで11人すべてのメンバーを替えるという、サポにとってはシーズン前のプレマッチでよだれが出そうなおいしい布陣で4−0の快勝!
この試合をストリームで見た私にとってうるうるだったのが、後半に出てきた高校1年生、16歳の堂安くんのプレー。まったく臆することなく堂々と45分やりきってました。期待ふくらむわー。以前にジュニアユースの監督さんにインタビューしたとき、堂安くんのことを高く評価していらっしゃいました。私が数試合を観た印象としては「サッカー脳の優れた選手」です。まだ体格は16歳なので、すぐにトップで通用するとは思えないけれど、チャンスがあれば観たい選手ですね。
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アジアカップは残念な結果に終わりましたが、日本代表にかわってJクラブチームがアジアで暴れる予感です。

さて、オフ期間中にサッカーにまつわるイベントがいろいろあるのですが、その一つ「サッカー本大賞」というのがありまして、私の訳書「孤高の守護神 ゴールキーパー進化論」ジョナサン・ウィルソン著(白水社)がノミネートされています。
http://www.kanzen.jp/news/n10548.html
選考会と同時期に、「東京フットボール映画祭」というのが開催されます。その上映作品の一つ、「FC
 ルワンダ」で映画評を書いています。
よかったら見てやってください。
http://www.footballchannel.jp/2015/01/19/post67062/
 

いろいろなことが(決して楽しくないことが)いろいろ連続して起こる日々で、私が一番大事だと自分に言い聞かせているのが「La vie quotidienne」平凡な日常生活です。毎日、ルーティーンをきちんとこなすこと。とくにきちんと食事を作って食べることIMG_2515
昨晩、すてきなディナーをご一緒させていただいた森下さんからいただいたご本。食べ物エッセイなのですが、美味しいもの食べました、という内容ではなく、食べたときの情景や気持ちがとてもあたたかく率直につづられていて、読みながらじーんと来ました。食べることはとても大事。そして食を軸に、日常生活を立て直すことも大事。
そこで、どうしても作ってみたくなったポテトサラダ中心の献立で。 
豚汁(具材10種)、ポテトサラダ(具材7種)、菜の花のからし和え、ごぼうとニンジンのきんぴら。メインの肉とか魚がないって言うなよー 

今日は仕事終了2時間前から考えることがただ一つ。
「夕飯は酸辣汤を食べる」
原稿を3行書いては、スアンラータンのレシピを脳内検索する。
冷蔵庫にあるものを思い浮かべる。
こないだ鍋をした残りの白菜と長ネギはあるな。
椎茸がどこかに残っていたはず。
ニンジンは馬が大喜びするほどある。
肉は? 肉がない……じゃ、ベーコンだな。 
ミニトマトを入れよう。酸味と甘みがぴったりだ!
さて、6時半、仕事終了!
キッチンに駆け上がって、冷蔵庫の材料を出す。
野菜を刻んで、ベーコンを炒めたところに放り込み、鶏ガラスープを入れて軽く煮たところに酢と豆板醤。片栗粉を溶いてとろみをつけ、ゆでた麺にかける。
ふ〜〜〜
朝から雪がちらついた寒い一日。ほっとして気持ちも身体もゆるみました。
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毎年恒例aoqlopeople企画です。
まずはベストマッチ
J1 第27節 鹿島VSガンバ大阪 @カシマスタジアム
サッカーの試合で「心が震えた」のは久しぶりでした。いつ以来かな、と振り返ったら、2004年チャンピオンズリーグ決勝@イスタンブール、リバプールVSミラン(現地観戦!自慢) 以来かな。んなもんと比べるなっていわれかもしれないけれど、逆転勝利はそれくらい感動が大きいってことです。
当日は雨。それもかなり激しい雨。バスを降りてからスタジアムまで歩く間、傘をさしているにもかかわらず、合羽の袖口から雨がしみ込んでくるし、風は強いし、「アウェイの洗礼」を久々に痛感しましたよ。
試合は開始早々にビューティフルゴールで先制される苦しい展開。でも、オウンゴールで追いつき(あとで録画を見ましたが、どちらかといえば阿部ちゃんのゴールじゃない?)、後半にまた鹿島に点を入れられ、即宇佐美→パトリックのきれいなゴールで同点に。このまま終わるかなあと思っていたら、リンスのゴール!!! 興奮した!!!
帰り道に同志がうわごとのように「こんな試合があるねんや」と言い続けていたのも、東京駅でいつもの仲間と興奮醒めないまま飲みまくったのも、いい思い出です。

MVP
オ・ジェソク選手
SBとして右も左もできる選手がチームにいることがどれほどありがたいか。もちろん、まだまだなところはいっぱいあるけれど(クロスとかパスとか)、私がジェソク選手をシーズン中から推している理由は、「信頼度の高さ」故。ディフェンダーとして、かけがえのない資質じゃないでしょうか。ガンバの守備が安定したのは、当然、東口選手の大奮闘があったからですが、東口選手がスーパーセーブを連発できたのは、ジェソク選手をはじめとするディフェンダーたちが、信頼のおけるディフェンスをしたからこそ。阿部選手とともに、今季最も成長した選手だと思います。ジェソク、しばらくはガンバにいてね。そしてガンバから韓国代表に選ばれてね。期待してる!

ベストゴール
J1 第15節 ガンバ大阪VSヴァンフォーレ甲府 @万博の宇佐美貴史選手のゴール
前にディフェンダーが数名立っているところから、その間を抜いてのループシュート。何回観てもほれぼれします。
本当は自分が目の前で見た大宮戦のゴールとか、33節神戸戦での2ゴールとかにしようかと思ったのですが、全ゴール集を観た結果、やはりこれしかない、と。
宇佐美選手の巧みさ、ひらめき、決定力、すべてがつまっているゴールだと思います。

ついでですが、2015年シーズンで私が最も成長を期待しているのが、リンス選手です。まだまだ伸びしろを感じるし、化けると恐ろしい選手になりそうな予感。来年の今頃、ベストゴールを宇佐美選手のにしようか、それともリンス選手のにしようかと迷いますように。あ、もちろん、パトリック選手のゴールも期待していますよ。とってつけたのではなく、ね。




 

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