Glamorous Life

グラマラスライフ 実川元子オフィシャルサイト おもしろい本、どきどきする試合や映画、わくわくする服に出会えたら最高に幸せ

2016年06月

パリのシャルルドゴール空港までやってきました。ボーディングまであと1時間を切っています。借りてきたルーターを使いつくすぞ。飛行機に乗ってしまえばこっちのもの(こっちってどっち?)
まだ旅行中でホットな気分のところで続きを書いてしまっておきます。

今回の旅では、アブハジアでの仕事と欧州選手権観戦以外は何かする計画をいっさい立てませんでした。これを見ておきたい、あれをしておかなくちゃ、ということはもう日本で日々いやになるくらいやっているので、あえてやらない時間を作ろうと思ったからです。(って実は何も考えていなかっただけなんですが)
これが3)の無理せず、融通をきかせる、になりました。毎朝、目が覚めると「今日は何をしよう」とベッドの中でぐでぐで考えます。それが至福の時間。何をしたっていいし、何もしなくたっていい。
結局、起き上がってからはあれこれやっちゃうのですが、それも結構思いつき。外に出て「さて、今日はどっち方向に歩こうかな?」という感じでした。歩いていって、おもしろいものに出会えればそれが楽しいし、出会わなければ引き返す、と。基本は歩くけれど、疲れたら地下鉄に乗るのもよし、もっと疲れればUberでタクシーを呼んで宿泊場所に帰る。ガイドブックを読んでいないので、地下鉄に乗って適当なところで降りて、案内板とか地図を眺めておもしろそうな感じのところに歩いていってみる、ということも結構やりました。でも、無理はしない。歩き始めて「なーんかちょっとあやしいところだなあ」と思ったら引き返す。1日平均12000歩歩いていました。
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(パリ中心部はお散歩にぶらぶらするのが気持ちのいい街です)
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(フランスは今、極右が勢力を伸ばしています。彼らの攻撃対象は実はユダヤ人。前々からぜひ行ってみたかったユダヤ博物館前はものものしく厳重警戒でした。行ってよかった、と思えた展示内容でした。がら空きだったけれど)
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(リヨンで宿泊していたペンションはお庭がとても素敵。机の前の窓から、木々の間を飛び回る鳥やリスを眺めているだけでも楽しかったです)
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(マダムが丹誠を込めて手入れしているお庭はいま薔薇が真っ盛り。毎朝、食卓にはこんなブーケが置かれて楽しませてくれました)

疲れたから夕方まで本を読みながらグデグデ過ごす、という日も何日かありました。この1ヵ月で読んだ本は20冊ほど。仕事と関係のない本ばかり。全部Kindleです。10冊分を入れてきたけれど、すぐに読み終わったので、こちらでも10冊以上ポチリました。ふだんはなかなか読めない長編も集中して読めるから2日くらいで読み終わるし、読書タイムは至福タイム。近くの公園にビールとスナックを持って行って朝からベンチに座って読みふける、なんてことも。たくさん読めて幸せでした。
ふと思い立って、3ツ星レストランで1人ディナーっていうのもやってみました。散歩途中で見かけたレストランに入って行って「明日の晩、ディナーを予約したい」と言ったら「マダム、D'accord」と言ってくれたので、精一杯おしゃれして気取っていってきましたよ。
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(三ツ星レストラン、ラ・テラス・ドゥ・リヨンにて。1人でディナーの客はもちろん私だけ。しかも東洋人の女が1人座っているのは目立ったかも。目障りではなかった、と信じたい)

4)の語学力。これには本当に助けられました。というか、旅をするのに使えるだけの英語とフランス語(とロシア語)がなかったら、充実した一人旅は無理だったかも。道を聞くのでも、チケットの買い方でも、いいレストランや観光スポットも、とにかく聞く、それが一番有効なんですが、それができるのも語学力があるからこそ。でも、旅に必要な語学力って実はたいしてレベルが高くない、と思います。だって、必要な単語は少しでいいし、返ってくる答えもだいたい見当がつくから。方向、数詞、曜日、挨拶くらいで旅外国語はだいたい事足りる。
ただ今回、非常に困ったことは「英語(たいてい下手でわかりにくい発音)で話したがるフランス人にどう対処するか?」でした。それについては次のエントリーで書きます。

あれ〜〜〜そろそろボーディングだそうです。ではでは続きは日本で書きます。
 

家に帰るまでが遠足です。なので、帰宅して自宅に戻るまでは「終了」とは言えませんが、あと少しで私のささやかな冒険旅行も終了のホイッスルが鳴りそう。いまロスタイム中。3点くらいリードしているのですが、無駄な失点をくらわないように気を引き締めていきます。

5月26日に日本を出てから、パリ→モスクワ→ソチ→スフミ→ソチ→モスクワ→パリ→リヨンときて、これからリヨンを出て列車でパリに出てそのまま空港へ。夜にシャルルドゴールを出る飛行機で東京に帰ります。
1年をかけて計画を練り、旅程はもちろん、宿泊場所から食事まですべてを自分で決め、 アブハジアでの滞在以外は人に合わせることなく勝手気ままに旅暮らし。今朝は久しぶりに目覚ましをかけましたが、時計さえも見ない日々でした。
何時に寝ようが、何時に起きようが、何を食べようか、どこに行こうが、自分で全部決められるぜいたくわがまま。〜〜しなくちゃいけない、と追われることがいっさいなしのぜいたく時間。好きなところに行けて、好きなことができる、ぜいたく旅。ああ、病みつきになりそう。だけど、一人旅ができる条件はこれから厳しくなっていくのだろうなあ。
還暦過ぎ(←しつこい?)の海外女一人旅。最初は緊張していましたが、パリ2日目に一人で散歩に出た帰り、からだがぐーんと伸びて、おなかの底から呼吸している感覚を味わった瞬間、ああ、私は自由だ! と身も心も軽くなりました。その感覚が今も続いているのですが、それはたぶん日常という衣を脱ぎ捨てているから。あと36時間後にはまた日常という鎧をつけて、日々の生活を戦っていくことになります。そのエネルギーを充電できた、かな? 少なくとも、ああ、仕事したーい、と思っています。こちらでも原稿書いたり、校正したりしていましたが、いつもの自分のPCの前でしっかり仕事したい。
 
今回、完全に「一人だけ」の旅はパリとリヨンの 2週間あまりでした。危ない目に遭わず、紛失物なく、盗難にあわず、体調をこわすことなく、薬を一度も飲むことなく、不快な思いもせず、孤独感に悩まされることなく、むしろ思いもかけなかった人の優しさや思いやりに出会えました。それは、1にほどほどの準備、2にネット環境の確保、3に無理せず融通をきかせる、4に語学力、5に幸運、があったからこそ。こんなこと言うと自慢たらしげだけれど、1から4まであったから、5がついてきた、とも言えます。
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(リヨンで最初に宿泊していたアパートのすぐそばに、壁が全部「絵」という建物がありました。リヨンの見所の一つだったらしい)
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(ソーヌ川を渡ると向こう岸は旧市街。橋はいくつか渡りましたが、私はこの橋が一番お気に入りです)

1の「ほどほどの準備」についてですが、最低限やっておいたほうがいい準備はあるけれど、あまりに準備万端整えてしまうと、とくに一人旅は楽しくなくなる、とわかりました。最低限準備しておいたほうがいいことは、現地の安全情報(宿泊場所の地域の安全はあらゆる手段で確認すべき)、自分の体力と相談して計画を立てる(自分で運べる重さの荷物に留める、もしかしてに備えて薬を準備する)、何かあったときのための通信手段と駆け込み場所を確認する、ことです。でも、安全とか観光情報とか実際に行ってみないとわからないことのほうがずっと多い。ほどほどにしておかないと、不安で旅立てないことになりかねません。
今回はガイドブックをいっさい読みませんでした。理由は、アブハジアは大会参加、フランス滞在は欧州選手権観戦が目的だったので、観光やショッピングまで頭が回らなかったからです。パリはアブハジアでの仕事の後始末をする時間と決めていたので、観光は散歩ついでのご近所のみ。でもリヨンは初めて訪れたところだったので、試合観戦の合間に観光をしようとうっすらと考えていました。
そして借りたアパートに落ち着いて、夕飯を食べに出かけたら、なんかとっても楽しそうな街だと気づき、とりあえずツーリストオフィスに行ってみました。
そしたら対応してくれたお姉さんがとっても親切。勧められて、地下鉄とトラム乗り放題、美術館博物館行き放題そのほかにもさまざまな特典あり、の2日券33フランを購入。船のクルーズや旧市街のガイドツアーも無料、という何ともお得なカードで2日間たっぷり観光しました。レストランや土産物屋の割引もついているので、33フランの元をとるどころではないほどのお得感。もしガイドブック読んでシティカードのことを知っていたら、そして事前に見所や食事どころの情報を得ていたら、もっと簡単だったかもしれません。でも反対に、まったく無知だったおかげで、「情報を確認している」と感じることなく楽しめました。事前に情報を得ておくことはとても重要だとわかっていますが、私はとかくその情報に振り回されがち。あれも見なくちゃ、これもやっておかなくちゃ、とせかされてしまうので、今回はいっさいやめました。旅行に行って、見ておくべきもの、を決めるのはガイドブックではなく自分にしようと今回は思ったので。
さて、リヨンのツーリストオフィスはたいしたもんで、お姉さんは自分のおすすめの店とか美術館の企画展情報をはじめ、有効な1日の過ごし方を提案してくれ、ツアーやレストランの予約まで入れてくれ、夜には「今日はどうでしたか? 明日、何かやりたいことがあったらおっしゃってください」とメールが来来ました。リヨンにいらっしゃる方、ぜひベルクール広場にあるツーリストオフィスへ。ガイドブック読むより役立つ情報いっぱい教えてもらえます。英語対応ももちろんOK。
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(リヨンの旧市街は16、17世紀にイタリアの金融業者の豪邸が立ち並んでいた地区。迷路のような小道のところどころに井戸があったり、階段があったり、歩くだけで楽しいです)
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(豪邸の中心は物見櫓のような塔。この豪邸、今も人が暮らしています。階段は使えないけれど、塔に入るのは可能だそう)

 2のネット環境の確保ですが、私はロシアとフランスのルーターを借りました。最近の欧州の宿泊施設はまずフリーWIFi環境が整っているので、持っていく必要がない、という人もいるのですが、一人旅で方向音痴の私は、外を歩いているときにこそWiFiが必要なのです。ありがとう、Googleマップ、WiFiとこのアプリさえあれば、どこでも行けます、私でも。
今回はそれに加えて、Uber(ウベール)というタクシー配車アプリをパリで教えてもらって入れたら、これがめちゃくちゃ便利でした。アプリを起動して自分が今いる場所をポチリ、行き先を入れると、すぐに近くのタクシーが運転手の名前と車種、ナンバープレートを知らせてきて、地図上に車の位置を示し「いまここにいる、あと何分で到着」と行ってきます。しかもカード番号を登録しておくので、「○ユーロで行くけれど、いいか?」と言ってきます。高かったら「いやだ」というと、違う車が提案される。で、降りると即座に領収書がメールされてきます。財布を開ける必要なし。まだ3回しか利用していないけれど、車はきれいで、運転手は感じがよい。それもWiFiがあるからこそ利用できるアプリです。
もう一つ、一人旅なのでやっぱり孤独です。ですが、SNSやメールで「いまこんなことしている」「今日はこんなところに行った」と日本の家族友人たちに送っていると、一人の感じがしない。私は大丈夫、安全だよ元気だよ、と報せる意味でも通信手段はきっちり確保しておきたいです。
 
3以降については、シャルルドゴール空港についたらまた書きます。そろそろリヨンとお別れです。
 

日々飛ぶように過ぎていき、あと2日で帰国です。
Facebookには自分のメモ代わりに毎日何をやっているかを、列車内にいるときとか、スタジアムでの試合待ちにiPhoneで書いているのですが、机の前に座ってPCでブログを書く時間がなかなか取れずにここまで来てしまいました。

さて、リヨンにやってきてから3試合を観戦しました。
おもしろい試合もあれば、レベル低すぎと言いたくなる試合もあり、欧州といってもそのレベル差は相当あるな、というのが感想です。クラブチームのトップの戦いのチャンピンズリーグのほうが、国別対抗戦EUROよりもレベルが均等なのかも。
6月13日(月)はスタッド・ド・リヨンでベルギーvsイタリアを観戦。
12日の午後に到着して、一番に私が向かったのは市内中心にあるベルクールのファンゾーン。スタジアムへの最も安全な行き帰りの交通手段を聞きたかったのだけれど、ツーリストオフィスがやっていない!!! ツーリストオフィスが閉じている理由と、どうやってスタジアムに行けばいいかをあちこちでたずねるも、誰も要領を得ない。ベルギーサポがすでに酩酊してチャントわめきまわっているし。
結局、UEFAの公式HPで推薦している通りに、地下鉄とトラムを利用することにしました。
そして13日。不安だったので、開門の18時前に到着できるように17時に市内のアパートを出発。地下鉄車内ですでにテンションマックスのベルギーサポと、彼らに「ビザ野郎、ブッフォンくそくらえ」とかあおられてやむなく応酬するイタリアサポにはさまれながらあっという間にスタ到着。45分でした。近いじゃないか!
スタジアムは、後で知ったのですが、今年1月に完成したばかり。もうそれは見事。吹田スタで浮かれまくっていた私は、その規模、設備、サービスに圧倒されるばかり。

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(開幕前には地元の高校生によるパフォーマンスがあります。へたくそなんだけれど、なんか毎回感動してしまう私)

そもそもこのカードのチケットはカテゴリー1しか とれなかったのですが、なんと前から2列目という近さでした。だが、喜んでいられたのは30分のみ。大雨が降ってその席に座っていられず、やむなく後ろに避難するはめに。隣の席のフランス人(生粋のリヨンっ子。もちろんオリンピック・リヨネーズの熱烈サポ)がいろいろと面倒を見てくれて、ほら、こっちに来たらいいよ、人が来れば移動すればいいんだし、この雨だからみんな試合開始まで来ないよ、ここにいよう、試合開始の9時までにはあがるよ、とか。
このときもですが、その後の試合でも「隣の席に座った親切な人」に私は面倒を見てもらうことになります。EUROで、たった一人で観戦している女は、いくら欧州広しといえどめったに、いや、まったくいません。ましてや「日本から来たんだー」とか言うと、みんな一瞬絶句して「この変人奇人女をなんとか無事にかえさなくちゃ」という気になるらしく(よい方に妄想)、ナイトのごとく面倒を見てくれます。ありがたや〜〜〜
試合はさすがの迫力でとっても楽しかったし、試合後もナイトのおかげで1時間で安全にアパートまで帰ってこられました。 まずは第一関門突破。

次の観戦は6月16日(水)ウクライナvs北アイルランド@スタッド・ド・リヨン。
試合開始が18時からでまだ真っ昼間といっていい明るさだし、そんなに早くスタジアムに行く必要もないか、と市内でランチしてのんびりしていたら、予定していた地下鉄の路線に乗れずに、やむなくわめきまわっていた北アイルランドサポたちと移動するはめになりました。
今から振り返ると、それはそれでとっても面白い体験だったのですが、酩酊状態でテンションスーパーの彼ら(半分くらい裸)になぜかもみくちゃにされながらスタジアム入りしたときには、あまりの熱気に頭の中が溶けそうでした。
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(地下鉄に乗るまでにも大騒ぎ。一緒に踊れとか強制されたけれど、さすがにお断りしました。私、飲んでないから)

スタジアムではまたもやナイト出現。今度はドイツ人の熱烈サッカーファンで、EUROは15試合観戦予定。奥さんがベルギー人で、奥さんの妹がフランス人と結婚してパリにいて、そこを拠点にあちこち行っているのだとか。ドイツとの間を期間中に5回出入りするそうです。なかなか紳士的で話がとってもおもしろく、その後のクロアチアvsチェコ戦の観戦時にもずいぶんと助けてくれました。ありがとう、ユルゲンス。 
それはさておき、試合はおもしろくなかったのですが、北アイルランド「歴史的初勝利」で大喜びだったので、それが見られただけでもいいとします。
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(北アイルランドの歴史的勝利で感涙にむせぶサポ)
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(内容も酷い完敗に呆然とたたずむウクライナサポ)

そして翌日、6月17日(木)クロアチアvsチェコ観戦@サンテティエンヌのスタッド・ド・ジョフロイ・ギシャール
宿泊しているペンションのマダムから、「リヨン→サンテティエンヌ往復のチケットは絶対に事前に買っておいたほうがいい」と言われたので、市内にあるSNCF(フランス鉄道)のオフィスの自販機で前日に購入しました。そしてそのアドバイスがいかに正しかったかを、特に帰りに思い知らされます。
ペンションからほど近いパレーシュという駅から乗車したのですが、駅で待っていたらクロアチアサポとチェコサポが続々とやってきて、プラットフォームのそばの芝生のところでボールを蹴り始めました。それを眺めながら昼食のサンドイッチをかじっていた私の足元にボールが転がってきたではありませんか。おもむろにサンドイッチを置いて立ち上がり、思い切って蹴り返したら、双方のサポから拍手をいただきました。インサイドキックを習得(?)しておいてよかったよ。
サンテティエンヌはこじんまりとした街で、スタジアムも街中にあり、私は市の中心でサポたちを眺めながらアイスクリームなぞを食べてからスタジアム入り。昨日知り合ったドイツ人サポと、彼の友人というイングランド人のおじさんたちと一緒にあれこれサッカー話をしながら試合開始まで時間をつぶしました。そのうちの一人が「俺はこの試合に期待している。きっとおもしろい試合になる。うらやましい。イングランドはろくな試合をしないからな」とか言っていて、思わず爆笑してしまったら、ほかの誰も笑ってなくて「あれ? これマジな自虐だったの?」とどきり。思わず「笑ってしまってごめん」とかバツ悪げな顔で謝ってしまいました。
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(サンテティエンヌ中央駅前)
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(スタッド・ジョフロイ・ギシャール。サンテティエンヌの産業王の名前をもらったのだとか)

試合は期待通りにハイレベル。とくに2点取るまでまったくのクロアチアペースでしたが、中心選手のモドリッチが足をいためて交代したあとからは、チェコが押しまくる展開に。チェコが1点返してからは(すばらしいヘディングシュートでした! 目の前で見て興奮)押せ押せムードでクロアチアは防戦一方。
とそのとき、クロアチア側のスタンドからピッチ内に発煙筒が次々と投げ込まれ、警官隊がスタンドにどっと押し入った直後にドンドン、と大きな爆発音が。実は私、この試合で騒動が起きるかも、という情報を前日にもらっていたのですが、たかをくくっていました。いや〜〜ほんとだったのね、あの情報、とか妙に感心したりして。
幸いにして、私はチェコ側に近いメインスタンドだったので、逃げようと思えばそれほどむずかしくないな、と思いながら動画撮影なんぞしていました。でも、周囲の家族連れはほとんどその時点で帰ってしまいましたね。
私より上段の後ろの方で観戦していたドイツ人とイングランド人に「どうすべき?」と身振りで聞いたら、彼らはさっさとあいた私のまわりの席におりてきて、「今帰るほうが危ない。大丈夫。もうすぐ試合再開するから、全部終わってから帰ろう」と言ったので、それを信じることにしました。
彼らの言葉通り、15分たって試合再開。そしたらチェコがPKを獲得して追いつき、2−2で試合終了。大喜びのチェコ選手とサポたち、意気消沈でスタンドにぽっかり空席ができてしまったクロアチア側スタンドと対照的でした。
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(試合中断中。クロアチア側のスタンドにはぽっかり穴があきました)

そのまま私はドイツ人、イングランド人と一緒にリヨンまで帰ったのですが、行きはあれほど鼻息荒かったクロアチアサポが、なぜかユニを脱ぐとか裏返しにしてしょんぼり黙っていたのがかわいそうだったです。駅ではリヨン行きの21時発の切符がもう売切れる、とかで切符を確保しておいてよかった、と胸をなでおろしたのでした。
一杯飲んで行く?と同行の面々に聞かれたけれど、なんかもうへとへとだったので帰り、おふろに入って爆睡して現在にいたる、というわけです。
 

一週間、パリでのんびり楽しんでから、いよいよ欧州選手権観戦の地、リヨンにやってきました。EURO欧州選手権がフランスで開催されると決まった6年前から、私はひそかに現地観戦を決めていました。4年に1回のかなりレベルの高い大会を、一度ぜひ生観戦したい、フランスならなんとか言葉が通じるし、なじみのある土地だし、1人でも滞在できるだろう、と考えてのこと。6年越しの夢がかなって、ちょっと興奮気味です。
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(パリのオテル・ド・ヴィル前にはEUROの展示がされていました)
EUROが一国開催されるのがこれが最後になるそうです。次回、2020年大会からは、いろいろな国で開催されるとのこと。それを考えると、今回はさまざまな代表の試合を1箇所で見られる最後のチャンスと言えるでしょう。思い切ってやってきてよかった。
と同時に、1人で海外サッカー現地生観戦できるのは、あと何回もないだろうな、とも感じています。今日、10キロくらいのリュック背負って、25キロくらいのトランクを列車の上階まで引きずり上げながら、ううう、こりゃなかなか重労働、と思いましたよ。アブハジアのエレベーターなしの宿泊所の4階まで、トランク25キロを引きずり上げて、引きずり下ろしたときも「うわ、きつい」と思いましたけれどね。明日はきっと筋肉痛。これから筋肉をできるだけ維持できるよう身体を鍛えたとしても、あと6年後くらいにはそもそも25キロを持ち上げること自体が無理かも。あ、荷物を減らせばいいのか。
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(ソーヌ川です。向かって右側が旧市街)
リヨンはソーヌ川をはさんだ対岸の旧市街が観光名所で、その丘の上に立つノートルダム寺院からリヨン市が見渡せます。明日からのお天気があやしそうだし、試合観戦が入るとのんびり観光をしている時間がなくなるかもしれない、と思って、到着後にさっそく旧市街めぐりをしてきました。
最初はぶらぶらお散歩、のつもりだったのだけれど、ほかの観光客についていくと、なんと30〜40分のかなりの急勾配の階段を登り続けるはめに。登っても登っても頂上が見えない。息は切れるし、汗は流れ落ちるし、またもや思いましたね。こういう観光は、あと10年後には無理かも。
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(こういう階段が延々と続くのです)

登りきったところには美しい公園と絶景が待っていました。そういう感動が待ってなかったら怒ったところでしたね。それくらいきつかった。
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階段をのぼりきったノートルダム寺院からの眺望。絶景です)
 
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(ノートルダム寺院前の公園に橋がかかっています。揺れます、こわかったです)

まだまだいける、と自分を励ましても、やっぱり衰えていくものはあるわけで、それを実感できたことも今回の旅の収穫かもしれません。
反対に、こんなこと無理かも、と思っていたことが、予想外にできることもわかったし。旅は自分の能力をあらたに発見させてくれます。
60歳過ぎたらもういろんな能力がどんどん衰えていくだけだ、とか思っていたけれど、今回の旅で私は、自分がまだまだ成長の余地あるとわかってとてもうれしいです。ええ〜〜その成長したなと感じた一番大きいところは、相手が時間にルースでもいらいらしない、というところです(でも、許せるのは遅刻30分まで。1時間遅れはまだ許せない)

 

いまパリにいます。明後日開幕のEURO欧州選手権のチケットをUEFAから購入したので観戦予定。アブハジアからいったん日本に帰ろうかと思いましたが、帰国して1週間後にまたフランスというのも疲れるのでそのままこちらに留まることにしました。
というわけで、今はパリで借りたアパートで休養中。でも、貧乏性の私はいつも通り朝は7時起床し、洗濯機を回しながら朝ご飯を作って食べ、掃除をしたら9時からなぜかPCに向かって仕事していたり。
でも、外はさんさんとお日様が輝き、目の前の公園では人々が楽しんでいる声が聞こえ、ついに我慢ならず着替えてお出かけしちゃいました。締切までにあと数日あるし〜〜〜
5年間の閉館を経て2014年に新しい場所で開館となったピカソ美術館をのぞき、 ぶらぶらレアールまで散歩。マレ地区の店を冷やかしながら戻り、途中でおいしそうなパン屋さんで明日のバゲットやクロワッサンを買い求め、お惣菜屋さんで夕飯のあれこれを物色し、最後にビールを買って帰路に。
7時過ぎでもまだ明るく、夏の風はさわやかで、人々(おもに観光客)は笑顔でおしゃべりに夢中。街角ではミュージシャンがジャズを演奏していて、アイスクリームを食べながらそれを聞いている人たちがいて。その光景を眺めながら、私はここ数年味わったことがないような 解放感を味わいました。
そのとき思ったこと、なんてぜいたくなんだろう! もちろんフランスにいられる、ということ自体がぜいたくなんだけれど、それ以上にこんなに自由に好き勝手に時間が使えるなんて、 これ以上のぜいたくはないような気がします。
日本にいれば、「○時までに〜〜しなくちゃ」そればっかり。ぼんやりしていると後ろめたさを覚える。今日のごはんは何にしよう? とか、洗濯物をいれなくちゃ、お風呂を洗わなくちゃ、といつも追われています。迫ってくる締切、読まなくちゃいけない本、返事しなくちゃいけないメールやメモ、ついでに趣味の書道や語学のレッスンの締切もあって、何をしていても気がせくばかり。
ところがここにいると、すべてから解放されています。 「〜〜しなくちゃ」と気が急くことが、ない。好きな時間に寝て、好きな時間に起きて、好きな時間に好きなものを誰に気兼ねすることなく食べられる。(貧乏性だから早起きしてしまうのだけれど)
ああ、私はこういうぜいたくな時間を過ごすためにここにいるのだ、と思います。
あと2週間足らず。ぜいたくに時間を使って頭も身体もすっきりさせます。 
では、パリの画像なぞ。

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6:7petit dejeuner2
バスチーユ
 

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