Glamorous Life

グラマラスライフ 実川元子オフィシャルサイト おもしろい本、どきどきする試合や映画、わくわくする服に出会えたら最高に幸せ

2018年01月

FIFA非加盟の国、地域、少数民族、僻地の人々のサッカー協会が参加するサッカー連盟CONIFAが第3回となるワールドフットボールカップを、今年5月末から6月はじめにかけてロンドンで開催します。
1月5〜7日に北キプロス、キレニアで開催された年次総会で、組み合わせ抽選が行われました。また会場や宿泊先などの概要が発表されたので、以下でお知らせします。

大会会期:2018年5月31日〜6月9日
5月30日(水)集合日
5月31日(木)グループステージ第一試合後、開会式
6月1日(金)休養日
6月2〜3日 グループステージ
6月4日(月)休養日&イベントデー
6月5日(火)ノックアウトステージ
6月6日(水)休養日
6月7日(木)順位決定戦&準決勝
6月8日(金)休養日
6月9日(土)順位決定戦&決勝 閉会式
6月10日 帰国日
(試合日程に関しては未定です。変更はあるそうです)

会場
1)Charlton AthleticFC のホームスタジアム The Valley Stadium
http://www.footballgroundguide.com/leagues/the-valley-charlton-athletic.html

2)Sutton UnitedFCのスタジアムGander Green Lane
https://en.wikipedia.org/wiki/Gander_Green_Lane

3)Leyton Orient FCのスタジアムMatchroom Stadium 
https://www.leytonorient.com/news/2016/july/media-information-new/

4)Millwall FCのスタジアムThe Den Stadium
https://www.millwallfc.co.uk/club/getting-to-the-den/

の4箇所が予定されています。
 

参加チーム
 
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グループ1
バラワ(ソマリア南部にある港町から英国にわたった移民がつくったチーム。大会の主催者)
エラン・バニン(英国王室領土マン島のチーム)
タミル・イーラム(スリランカ内戦によって国を追われたタミル人のチーム)
カスカディア(北米西岸、カナダとの国境近くの森林地帯のチーム)

グループ2
アブハジア共和国(ロシア、ソチと隣接した未承認国家。前回大会の優勝チーム)
北キプロス・トルコ共和国(キプロス島北部の未承認国家代表)
フェルヴィディク(ハンガリー北部地域のチーム)
チベット(言うまでもなくチベットの代表だが、多くの選手は欧州に移民している)

グループ3
パダーニア(イタリア北部地域代表。昨年行われた欧州選手権覇者)
セーケイランド(ルーマニアとハンガリーの国境地帯に暮らす少数民族のチーム)
キリバス共和国(太平洋中部に浮かぶ環礁と島々からなる国。地球温暖化で沈んで消滅の危機にある)
マタベレランド(アフリカ、ジンバブエの西部地域を代表するチーム)

グループ4
パンジャブ(パキスタンとインド北部にまたがるパンジャブ地方の代表だが、選手は全員が英国への移民で構成される。前回大会準優勝の強豪)
ユナイテッド・コリアンズ・イン・ジャパン(在日コリアンを代表するチーム)
西アルメニア(トルコ北部のアルメニア人たちを代表するチーム。コーカサス地方の強豪)
カビリア(アルジェリア北部に暮らすベルベル族の代表。カビル語を話し、キリスト教を信仰する)

以上16チームです。次回大会から初めてチーム数が16(これまでは12)に増えました。出場権を勝ち取るためのやり方も変わり、古参ながら出場がかなわなかったチームも多くて総会ではだいぶもめました。総会出席者も「遠い」「ビザが取りにくい」と言うこともあって、スイスで開催された前回60人から大幅に減りましたが、それでも活発な意見交換があって有意義で楽しい総会となりました。以下が集合写真です。
 
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南北を隔てる国境を越えるにはパスポート提示のみでオーケー68A8A8CE-0A06-479C-A057-B7636D08B5CD
今はモスクになっているかつてのカテドラル@レフコシャ
いま北キプロス・トルコ共和国の首都レフコシャにいます。首都は南北で分割されていて、南のキプロス共和国ではニコシアと呼ばれます。首都だけでなく、いたるところで地名が2つあってややこしい。
それも1970年代からの内戦で、たいして大きくもない島が南部はギリシャをバックにキプロス共和国が、北部はトルコをバックに北キプロス・トルコ共和国が支配しているからです。南にもいってみましたが、印象はだいぶ違いました。トルコ文化対ギリシャ(西欧)文化、といってもいいくらいかも。もっと言えば、北はなんだか荒涼、閑散としていて色がないのですが、南は色あざやかな印象です。

キプロス紛争は私が大学生のころから1980年代半ばまで続いていて、かなり記憶に新しいつもりだったのですが、今回初めて訪れて、紛争の傷跡みたいなものはあまり感じられませんでした。せいぜいグリーンベルトという「壁」があるくらい。でも、たったの数日で何がわかるか、と住民からは言われるでしょうね。
なぜにここにやってきたかというと、北キプロス代表がCONIFAのメンバーで、今年の年次総会が北キプロス主催でギルネ(キレニア)で開催されたからです。会議は1月5日から3日続いて7日、日曜に終わり、月曜の昨日は1日観光していました。たぶん、もう一度来るチャンスはないと思うと、紀元前から文明が栄えたというこの島を見ておかないわけにはいきません。といっても、1日ではたいしたところは見られませんでしたが、何となく感じたのは、島が古代よりさまざまな文明の支配・影響を受けて、何層にも積み重なった独特の文明を築いてきたのではないか、ということです。
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北のこういうハゲ山が続きます


キリスト教とイスラム教も混じりあっていて、キリスト教の教会がモスクに改造(転用といったほうがいいかも)されているかと思えば、祈祷している人は少なくてやたらとバーとカジノやノミ屋がある、という。えーっと、飲酒や賭け事はムスリム禁止なんじゃなかったですか? 酒の看板もそこいらじゅうにあるし、がぶがぶウィスキーとかラキという強い酒を飲んでいるし。
今、キプロス島は観光を主産業に育てようと一生懸命だそうで、北と南の海岸にはリゾートホテルがばんばん建設されています。北キプロスにもトルコ人をはじめ(トルコパスポートは「国内」扱いで出入国できます)ドイツや東欧からの観光客が大勢つめかけているそうです(by北キプロス観光局)。私が宿泊したギルネのリゾートホテル「アカプルコ」にも、ドイツからの団体客(たぶん社員旅行)が宿泊してカジノとイベントを楽しんでいたみたいでした。

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海は
めちゃきれいです
 

今回のCONIFAの会議にはいろいろとサプライズがあったので、つぎのエントリーで書きますね。
これからERCAN(エルカン、エルジャン)空港まで行って、アンタルヤに飛ぶのでそろそろ準備をせねばなりません。アンタルヤの友人宅で2泊して日本に帰る予定です。
 



「わたしは、ダニエル・ブレイク」
ケン・ローチ監督はもう80歳を超えているのにこんなにすごい映画を撮る! 
サッチャー以降に見捨てられてしまった人々が、どうやって自尊心を保ち、生き延びようとしているかをあたたかく(でもたいへんにシリアスに)描いています。
2017年春に新宿で鑑賞。大泣きしました。



「でんげい〜私たちの青春」
大阪の在日コリアンの高校が伝統芸能を競う全国大会に出場するまでのドキュメンタリーです。
これまた席から立ち上がれないほど感動で大泣きしました。
とにかく出演者たちのまっすぐな青春が眩しすぎる。 こういう青春があるんだ、と心から羨ましかったです。



「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」
これまたドキュメンタリー映画です。ウクライナの片田舎出身の天才ダンサー、セルゲイ・ポルーニン。19歳で英国ロイヤル・バレエ団の最年少プリンシパルになるものの、23歳で突然退団。その後、ロシアに行って一からデビューし直しまた人気を掴むものの、燃え尽きてダンサーを引退することを決意。
引退記念として友人に振り付けてもらって踊った映像をYou Tubeでアップしたところ、大きな反響を呼んでまた続ける気力を取り戻す、というストーリーです。
天才ゆえの苦しみ、でも踊らずにはいられないその思い、いろんなことを考えさせられました。 
彼が引退を決めて撮った映像がこれ↓



ほかにもあったのだけれど、重くなるのでまずはここまで。 

暮れはおせちだの掃除だのに(いいかげんにしてやめときゃいいのに)明け暮れて、年末のご挨拶をしないままに年が明けてしまいました。
あらためまして、あけましておめでとうございます
2018年が皆様にとって、そしてこの世界に暮らすすべての人たちにとって、少しでも心穏やかに過ごせる一年であることを祈念してやみません。

2017年がどんな年だったかと振り返ると、つぎの一歩を踏み出す前に、スタート台を製作する年だったかな、という気がします。実家を始末したこともその一つでしょうし、2人目の孫の誕生も私に次世代育成について考えるきっかけを与えてくれた出来事でした。
2017年は仕事が暇だったので、かなり本が読めました。と言っても、一時期のように1日に2冊ペースなんてことはもう目が痛くてできません。そういうところで年齢を感じます。映画もかなり見たけれど、1日3本はしごというのは無理になってきました(2本まではいける)
そんな中で印象に残った本と映画をあげておきます。まず今日は本から。

「子どもたちの階級闘争〜ブロークン・ブリテンの無料託児所から」
ブレイディみかこ著 みすず書房

思えばこの本に出会ったことで、私は「子ども(次世代)を育てることこそが、大人(現世代)に課せられた最大の使命ではないか」という思いを強くしたのでした。以前に、子どもを私立の小学校に通わせているママたちから「子どもの貧困って騒がれているけれど、私たちのまわりにはそんな子どもは一人も見たことがない。いったいどういうことなの?」と言われたことがあります。親が属する階級の分断が、子どもの分断につながっていることを思い知らされる一言でした。私立小学校のママたちを無知とかナイーブとかで片付けられない。学校給食だけがまともに食べられる食事で、夏休みになるとやせ細ってしまう子どもを実際に私も知っています。子どもたちが育つ中での階級差をどう縮めていくか。それは私の世代の責任だと思います。
ブレイディみかこさんの本は、出版されているものはすべて読みました。どの本も考えさせられるところが多かったけれど、私の印象に一番強く残ったのは、この本でした。
「チャブ」(オーウェン・ジョーンズ著 依田卓巳訳 海と月社)も何回か読みかえしたほど印象に残った本でした。もう長々と紹介したのでそのブログを読んでいただければ、と。

「小さな美徳」
ナタリーア・ギンツブルグ著 望月紀子訳 未知谷

私が敬愛してやまないイタリアの作家、ナターリア・ギンツブルグのエッセイ集。この本も期待を裏切らず。ナターリアは1916年ユダヤ系イタリア人家庭の末っ子として生まれ、ファシスト政権下で弾圧を受けます。反体制運動にかかわった兄と最初の夫を激しい拷問の末に獄死で失い、自身も3人の子どもを実家に預けて逃亡せざるをえなかったという人です。本書で私がはっと目を見開かされた言葉があるので、少し長いけれど引用します。
子どもの教育については、私は、彼らに小さな美徳ではなく、大きな美徳を教えるべきだと思う。貯蓄ではなく気前の良さとお金に対する無関心、慎重さではなく勇気と危険を顧みないこと、要領のよさではなく率直さと真実への愛、駆け引きではなく隣人への愛と献身、成功願望ではなく存在し、知るという願望を。
 ところが通常、私たちは逆のことをし、小さな美徳を尊重することに躍起になり、その上にすべての教育体系の基礎を置く。そうやって、安易な方法を選ぶのだ。なぜならば小さな美徳にはいかなる身体的な危険もなく、むしろ運命の女神の打撃から守ってくれるから」
このあとに大きな美徳については、いつか子どもたちの魂に自然に湧き出てくるだろうと思い込む一方で、小さな美徳は教えなくてはならないと考える、と続きます。
お金に対して無関心で、危険を顧みずに大事だと思うことには飛び込み、歯に衣を着せずに本当のことを率直に発言し、損得なしに困っている人を助け、社会的地位をあげることやお金を稼ぐこと以上に知的好奇心を大事にする、そういう人を今の世の中はなんと呼ぶかというと「バカ」もしくは「ナイーブ」です。
小さな美徳を口やかましく教えながら、大きな美徳を実践する人を「えらいわねー」とちょっとバカにした口調で評価すること。それを繰り返しているうちに、子どもは大きな美徳にまったく気づかず、それ以上にバカにする人に育ってしまう、という指摘は耳が痛かったです。

「大人に贈る子どもの文学」
猪熊葉子著 岩波書店

この10年ほど児童文学と呼ばれるジャンルの作品を読み続けています。猪熊葉子さんは児童文学研究者であると同時に、すぐれた児童文学を日本に紹介しつづけてきた翻訳者で、猪熊さんの名前が訳者名に記されている本を集中的に読んできた時期があります。とくにローズマリ・サトクリフの「第九軍団のわし」と「ともしびをかかげて」は何回読んでも感動します。
その猪熊さんが大人に向けて語った児童文学の魅力です。たかが子ども向けの本紹介と侮るなかれ。ご本人の読書歴、研究歴もさることながら、紹介されている本の読み方が深いこと。書かれた時代とその時代の子ども観、社会観についての洞察力に感嘆しました。
子どもとどう向き合うのか。子どもの精神世界をどう理解して、豊かにしていくのか。大人にとって、これほどおもしろくてやりがいのある「仕事」はない、とあらためて思います。

映画についてはまた明日。
 

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