土曜日のvs横浜Fマリノス戦については、今、ちょっと触れたくも触れられたくもないので、別エントリーで書きます。水曜日のACLまでに。
今日、書きたいのは今世界を揺るがしている「移民問題」について。もっと言えば、自分たちとは異なるものについて「無視」していてはいけない。それが今の世界なのだ、ということに気づかせてくれる映画についてです。
「扉をたたく人」(2010年制作。クリックしていただくと予告編が出ます)は、私がこの数年で最も心を揺さぶられた映画の一つです。
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妻に先立たれて生きる気力をなくしていた老年の大学教授が、シリアからやってきた不法移民の青年に出会い、彼から「ジャンベ」というアフリカの打楽器のたたき方を教わる。彼のおかげで老教授は久しぶりに閉ざしていた心の扉を開くのですが、青年が逮捕され、不法移民として収監され、老教授の奮闘もむなしく強制送還されてしまう……ざっくりあらすじを書くとこうなります。
現代は"The Visitor"。訪問者、ですが、日本版の題名「扉をたたく人」が映画の趣旨を伝えていて秀逸だと思いました。
普通に暮らしていれば接点がなかったはずの2人が出会い、青年は老年教授の心の扉をたたく。教授がそれに応えたことで、教授自身の気持ちも、そして青年の周囲も動き出します。結末は哀しいし、シリアのその後を知るとよけいにその救いのなさが胸に迫ります。
「普通に暮らしていれば接点がない」という異文化の人たちと、否応なく接点を持たねばならないのが「グローバル化」された今の世界です。
欧州のテロ事件、ISの問題、難民受け入れ問題、移民問題、どれも「私には関係ないから」と無視してはいられないはずなのに、あえてふれないようにして避け続ける。それができなくなったとき、つまり自分の身にその問題が直接的にふりかかったとき、異質な人たちへの反感、憎悪が広がってしまうのではないか。
今、扉はたたかれています。「普通に暮らしている」はずの私たちにだって、異文化の人たちがたたく音は聞こえているはず。
それにどのように応えるのか?
その前に、その音にちゃんと耳を傾けているだろうか?
応えることで自分が大きく変わり、世界の見方が変わるはず。でも、「無視」という冷たい反応が一番重いしこりを残してしまう。この映画はたたく音に応えることの一つの例を示している、と思います。
俳優たちもすばらしい! 
機会があればぜひ、とおすすめしたいです。