日々飛ぶように過ぎていき、あと2日で帰国です。
Facebookには自分のメモ代わりに毎日何をやっているかを、列車内にいるときとか、スタジアムでの試合待ちにiPhoneで書いているのですが、机の前に座ってPCでブログを書く時間がなかなか取れずにここまで来てしまいました。

さて、リヨンにやってきてから3試合を観戦しました。
おもしろい試合もあれば、レベル低すぎと言いたくなる試合もあり、欧州といってもそのレベル差は相当あるな、というのが感想です。クラブチームのトップの戦いのチャンピンズリーグのほうが、国別対抗戦EUROよりもレベルが均等なのかも。
6月13日(月)はスタッド・ド・リヨンでベルギーvsイタリアを観戦。
12日の午後に到着して、一番に私が向かったのは市内中心にあるベルクールのファンゾーン。スタジアムへの最も安全な行き帰りの交通手段を聞きたかったのだけれど、ツーリストオフィスがやっていない!!! ツーリストオフィスが閉じている理由と、どうやってスタジアムに行けばいいかをあちこちでたずねるも、誰も要領を得ない。ベルギーサポがすでに酩酊してチャントわめきまわっているし。
結局、UEFAの公式HPで推薦している通りに、地下鉄とトラムを利用することにしました。
そして13日。不安だったので、開門の18時前に到着できるように17時に市内のアパートを出発。地下鉄車内ですでにテンションマックスのベルギーサポと、彼らに「ビザ野郎、ブッフォンくそくらえ」とかあおられてやむなく応酬するイタリアサポにはさまれながらあっという間にスタ到着。45分でした。近いじゃないか!
スタジアムは、後で知ったのですが、今年1月に完成したばかり。もうそれは見事。吹田スタで浮かれまくっていた私は、その規模、設備、サービスに圧倒されるばかり。

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(開幕前には地元の高校生によるパフォーマンスがあります。へたくそなんだけれど、なんか毎回感動してしまう私)

そもそもこのカードのチケットはカテゴリー1しか とれなかったのですが、なんと前から2列目という近さでした。だが、喜んでいられたのは30分のみ。大雨が降ってその席に座っていられず、やむなく後ろに避難するはめに。隣の席のフランス人(生粋のリヨンっ子。もちろんオリンピック・リヨネーズの熱烈サポ)がいろいろと面倒を見てくれて、ほら、こっちに来たらいいよ、人が来れば移動すればいいんだし、この雨だからみんな試合開始まで来ないよ、ここにいよう、試合開始の9時までにはあがるよ、とか。
このときもですが、その後の試合でも「隣の席に座った親切な人」に私は面倒を見てもらうことになります。EUROで、たった一人で観戦している女は、いくら欧州広しといえどめったに、いや、まったくいません。ましてや「日本から来たんだー」とか言うと、みんな一瞬絶句して「この変人奇人女をなんとか無事にかえさなくちゃ」という気になるらしく(よい方に妄想)、ナイトのごとく面倒を見てくれます。ありがたや〜〜〜
試合はさすがの迫力でとっても楽しかったし、試合後もナイトのおかげで1時間で安全にアパートまで帰ってこられました。 まずは第一関門突破。

次の観戦は6月16日(水)ウクライナvs北アイルランド@スタッド・ド・リヨン。
試合開始が18時からでまだ真っ昼間といっていい明るさだし、そんなに早くスタジアムに行く必要もないか、と市内でランチしてのんびりしていたら、予定していた地下鉄の路線に乗れずに、やむなくわめきまわっていた北アイルランドサポたちと移動するはめになりました。
今から振り返ると、それはそれでとっても面白い体験だったのですが、酩酊状態でテンションスーパーの彼ら(半分くらい裸)になぜかもみくちゃにされながらスタジアム入りしたときには、あまりの熱気に頭の中が溶けそうでした。
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(地下鉄に乗るまでにも大騒ぎ。一緒に踊れとか強制されたけれど、さすがにお断りしました。私、飲んでないから)

スタジアムではまたもやナイト出現。今度はドイツ人の熱烈サッカーファンで、EUROは15試合観戦予定。奥さんがベルギー人で、奥さんの妹がフランス人と結婚してパリにいて、そこを拠点にあちこち行っているのだとか。ドイツとの間を期間中に5回出入りするそうです。なかなか紳士的で話がとってもおもしろく、その後のクロアチアvsチェコ戦の観戦時にもずいぶんと助けてくれました。ありがとう、ユルゲンス。 
それはさておき、試合はおもしろくなかったのですが、北アイルランド「歴史的初勝利」で大喜びだったので、それが見られただけでもいいとします。
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(北アイルランドの歴史的勝利で感涙にむせぶサポ)
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(内容も酷い完敗に呆然とたたずむウクライナサポ)

そして翌日、6月17日(木)クロアチアvsチェコ観戦@サンテティエンヌのスタッド・ド・ジョフロイ・ギシャール
宿泊しているペンションのマダムから、「リヨン→サンテティエンヌ往復のチケットは絶対に事前に買っておいたほうがいい」と言われたので、市内にあるSNCF(フランス鉄道)のオフィスの自販機で前日に購入しました。そしてそのアドバイスがいかに正しかったかを、特に帰りに思い知らされます。
ペンションからほど近いパレーシュという駅から乗車したのですが、駅で待っていたらクロアチアサポとチェコサポが続々とやってきて、プラットフォームのそばの芝生のところでボールを蹴り始めました。それを眺めながら昼食のサンドイッチをかじっていた私の足元にボールが転がってきたではありませんか。おもむろにサンドイッチを置いて立ち上がり、思い切って蹴り返したら、双方のサポから拍手をいただきました。インサイドキックを習得(?)しておいてよかったよ。
サンテティエンヌはこじんまりとした街で、スタジアムも街中にあり、私は市の中心でサポたちを眺めながらアイスクリームなぞを食べてからスタジアム入り。昨日知り合ったドイツ人サポと、彼の友人というイングランド人のおじさんたちと一緒にあれこれサッカー話をしながら試合開始まで時間をつぶしました。そのうちの一人が「俺はこの試合に期待している。きっとおもしろい試合になる。うらやましい。イングランドはろくな試合をしないからな」とか言っていて、思わず爆笑してしまったら、ほかの誰も笑ってなくて「あれ? これマジな自虐だったの?」とどきり。思わず「笑ってしまってごめん」とかバツ悪げな顔で謝ってしまいました。
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(サンテティエンヌ中央駅前)
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(スタッド・ジョフロイ・ギシャール。サンテティエンヌの産業王の名前をもらったのだとか)

試合は期待通りにハイレベル。とくに2点取るまでまったくのクロアチアペースでしたが、中心選手のモドリッチが足をいためて交代したあとからは、チェコが押しまくる展開に。チェコが1点返してからは(すばらしいヘディングシュートでした! 目の前で見て興奮)押せ押せムードでクロアチアは防戦一方。
とそのとき、クロアチア側のスタンドからピッチ内に発煙筒が次々と投げ込まれ、警官隊がスタンドにどっと押し入った直後にドンドン、と大きな爆発音が。実は私、この試合で騒動が起きるかも、という情報を前日にもらっていたのですが、たかをくくっていました。いや〜〜ほんとだったのね、あの情報、とか妙に感心したりして。
幸いにして、私はチェコ側に近いメインスタンドだったので、逃げようと思えばそれほどむずかしくないな、と思いながら動画撮影なんぞしていました。でも、周囲の家族連れはほとんどその時点で帰ってしまいましたね。
私より上段の後ろの方で観戦していたドイツ人とイングランド人に「どうすべき?」と身振りで聞いたら、彼らはさっさとあいた私のまわりの席におりてきて、「今帰るほうが危ない。大丈夫。もうすぐ試合再開するから、全部終わってから帰ろう」と言ったので、それを信じることにしました。
彼らの言葉通り、15分たって試合再開。そしたらチェコがPKを獲得して追いつき、2−2で試合終了。大喜びのチェコ選手とサポたち、意気消沈でスタンドにぽっかり空席ができてしまったクロアチア側スタンドと対照的でした。
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(試合中断中。クロアチア側のスタンドにはぽっかり穴があきました)

そのまま私はドイツ人、イングランド人と一緒にリヨンまで帰ったのですが、行きはあれほど鼻息荒かったクロアチアサポが、なぜかユニを脱ぐとか裏返しにしてしょんぼり黙っていたのがかわいそうだったです。駅ではリヨン行きの21時発の切符がもう売切れる、とかで切符を確保しておいてよかった、と胸をなでおろしたのでした。
一杯飲んで行く?と同行の面々に聞かれたけれど、なんかもうへとへとだったので帰り、おふろに入って爆睡して現在にいたる、というわけです。