本格的に書道に足を突っ込んで(という表現はおかしいか?)そろそろ8年になります。
振り返れば2008年の年末、ガンバがアジアチャンピオンになったシーズンに、どうにかしてかっこいいフラッグを作りたい、ゆくゆくは弾幕も書いてみたい、そうだ、書道を始めようと思って筆や硯を揃えました。そして「30日で書ける書道」なんて入門書を買って独習しましたが、当たり前の話、まったくうまくいきません。「こりゃ誰かに少し教えてもらわなきゃだめかな」とネットで検索して、家の近所にある書道教室の門を叩いたのでした。しっかーし、先生(60代後半のおばさま)に「書道を始めようという動機は?」と聞かれ、ついうっかり「サッカーのフラッグにかっこいい字が書きたいから」と正直に答えたら、先生、理解不能で困惑して固まっちゃったんですよ。当然「世界へ羽ばたけ GAMBA」とお手本を書いてください、というお願いができるはずもなく。書道界とサッカー界、接点ないわ。
そこでまたまたやむなくカルチャースクールの見学に出かけ、今の師匠に出会ったのでした。そのときはフラッグのお手本を何枚か書いてもらったら、もうそれでいいかな、と思っていたのに、3枚書いてもらってもやめる気配なし。というか、3枚書いてもらったあたりから、のめりこんでいきましたね。そのうちフラッグはだんだんどうでもよくなって、ガンバがJ2降格しそうになってますますフラッグ書けなくなって、ようやく書いたのは三冠達成しそうになった年だった、という。
さて、今年で8年たったことになるのですが、ぜんぜん飽きません。最近気づいたのですが、私、飽きっぽくないわ。特に、いったんのめりこむとなかなかやめないどころか、ずぶずぶとはまっていってしまう性格だったんだわ。62年たって気がつきました。 
上達するからおもしろいんだろう、と思われるかもしれませんが、違います(きっぱり)。ぜんぜんうまくならないから、おもしろいんです。やればやるほど、自分の下手さ加減、できなさ加減にあきれてしまう。翻訳にも通じるのだけれど、これで完璧、到達しました、というものではないんですよね、書道って。だからやりがいがある。
書道のどこにそんなに惹きつけられたのか、と自分に問いかけてみました。もちろん「これ!」という答えは出ませんが、自分なりにここかな、と思うのは「シンプルなのに(シンプルだからこそ)複雑」なことでしょうか。
紙(たいてい白)の上に、筆(たいてい1本)に墨を含ませて文字を書く。白の背景に黒のみ。なんというシンプルさ。でも、書かれるものは文字であり、それ自体にメッセージがある。そしてどう表現するかでメッセージの内容は変化する。しかも墨がたっぷり入ったところと、かすれたところを出すことで、立体的な表現になり、その文字(言葉)の印象はまた変える。黒と白の対比をどうつけるという構成によっても、書かれた文字が伝えるニュアンスは大きく変わってくる。
文字(言葉)を筆と墨で書く、というシンプルさの極みでありながら、紙の上に一つの宇宙を作る、その創造主になれるのが書道のおもしろさだと思います。まだまだ宇宙を作るところまではいきませんし、どんな宇宙を作りたいのかもわかっていませんが、書き続けていれば、いつか、宇宙がどこかからおりてくるかもしれない、そんな 期待で来年ものめりこんで書いていきたいです。
最後に今年の毎日書道展入選作品を(ものすごく恥ずかしいけれど)乗せておきます。
 
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