昨日、所用あって大型書店の語学コーナーに行きました。
そこで見たのは、クラクラ〜〜〜めまいがしそうなほど大量の「英語学習本」。世の中には、じゃなくて日本ではこんなに英語学習本が必要とされているのか。就職やキャリアアップに必須とされているだけではなく、英語ができなくては日常生活も送れないほどの勢いで「英語学習」が強要されている……いや、「強要」は単に私の印象です。
「英語学習」に「 」をつけたのは、これって本当に学習するための本なんだろうか、と疑問に思ったから。
今や私のお友達、日本国語大辞典くんに学習とはなんぞや、と聞いてみましょう。
学習 ①学びならうこと。学校などで勉強すること。
   ②教育学で、広くは精神、身体の後天的発達をいい、狭くは、過去の経験を元に新しい知識や技術を習得することをいう。
   ③心理学で、経験によって、過去の心理的、行動的な経験を超えて新たな行動の仕方を習得すること。
  英語に限らず語学の「学習」は①の「学びならうこと」に尽きるのだけれど、学ぶこと以上に「習う」(繰り返し経験することによって身につける。体験する、体得する)のほうに重きが置かれる、と私は思っています。繰り返して身につけるにはたいへんな労力と時間がかかる。体得するためには、数多くの場数を踏まなければならない。
 ところが、本屋の棚にある「英語学習本」の売り文句はこれ!
「たった○○日であなたも英語が話せる」「一日○○分、聞き流すだけでネイティブの英語がわかる」「単語○語で英会話は十分」
正しい意味での語学学習を勧めているとはとても思えないその帯。っていうか、これらの本を手に取って買おうとする読者は「英語が話せる」「英語ができる」基準をどこに置いているのだろう、と私は首をかしげます。TOEICの点数を上げても、英検の級数が高くても、旅行で役立つことくらいしか英語が使えないという人が結構いますもんね。
母語であろうが、異言語であろうが、言葉は数日、数週間、数年「学習」したところで、まったく使えるようにはなりません。それこそ生涯かけて、学習し続けなければならない、と私は思います。語学学習は積み重ね。学んだことをもとに、「新たな行動の仕方を習得」していくことで使いこなせるようになる、のだと思います。
反対に、学習し続けていれば、誰でも「英語ができる」ようになる。英語ができる=英語をコミュニケーション手段にできる、ということですね。自分の言いたいことが言える、相手の言いたいことが理解できてそれに対して反応ができる、メールで用件が伝えられる、新聞や本を読んで理解できる、そういうこと。
 私は小学校1年生から学校で英語を「学習」してきました。今もまだ学習過程中。57年にわたって学習してきて、「英語の力が伸びたな」と実感できたときがあります。そのときの学習法を紹介してみます。あくまで私の学習法であり、普遍性はないかもしれないけれど、参考までに。
第1期 高校1年 丸暗記学習法
英語は好きなのに学校の成績が伸び悩んでいたとき、英語がトップクラスでできる同級生に「どんな勉強をしているの?」と聞いたら「教科書に出ている例文テキストを声に出して読んで丸暗記している」と言われて目からウロコでした。真似してやってみたら、あっという間に成績が上がってびっくり。
声に出してテキストを読む(最低でも10回)→情景を頭に浮かべながら暗記→声に出しながらテキストを見ないで書く→書いたものを教科書と突き合わせて間違ったところをチェックする
これだけ。問題集もやらないし、ノートの見直しも一回くらいしかやらなかったけれど、テストで聞かれていることがよくわかり、ほとんど回答できました。「英語」とはどんな言語なのかがおぼろげながらでもわかった手応えがあったかな。
余談ですが、この学習法を「古文」にも応用したら、これまた成績上がってびっくり。声に出しての丸暗記学習。語学学習の基本かもしれません。
第2期 高校3年 壁紙学習法
いよいよ受験が近づいてきて、ラジオ講座で英語の西野先生だったかが「受験英語は単語数で決まる」と言っているのを聞き、単語帳を一生懸命作ったりしたけれど、作っただけで満足してなかなか語彙が身につきませんでした。あるとき学習机の上に敷いた模造紙の上になかなか覚えられない単語を書き、机の前に座るたびに日本語の意味を言ってみる、というのをやってみました。最初は一日5単語、そのうち7語、10語と増やし、模造紙がいっぱいになったところでベッド脇の壁に貼り、今度は寝る前にチェック。やがて単語ではなく文章(ことわざや熟語中心)も書いて暗記することにしました。
これも効果大でした。その後の全国模試で英語が98点取れたのはこの学習法のおかげ(自慢)
第3期 25歳 冷蔵庫学習法
外資系企業で働き「英語ができる」ことがキャリアに結びついていることに気づいたものの、座って学習することができなかった働く母さん子育て期。学習教材は単語からタイム誌やNYタイムズになり、貼る場所は壁から冷蔵庫へと変わりました。でもやっていることは同じ。声に出して読む、知らない単語を何回も復習する、面白い表現は覚える、その繰り返し。英作文ではなく、英語で文章を書くこと、そして翻訳することを少しずつ学んでいけたのは、冷蔵庫の扉のおかげです。
第4期 60歳 取材学習法
たまに英語で取材して記事をまとめる、ということはやっていましたが、本気で一人でやってみよう、と決意したのが60歳のときに始めたCONIFAの取材でした。取材のアポイントメントをとり、取材したい内容をメールし、録音しながら取材し、それをもとに日本語で記事にし、英文に翻訳して取材者に送る。この繰り返しを3年間やってきて実感するのは、語学力は何歳になっても伸びるんだ、ということ。反対に、やらなかったら伸びないんだ、とも思います。取材を始めた頃の録音をこないだ聞き直したら、やっぱり下手。今年1月の取材の方がずっとこなれているし、聞きたいことが聞けている。
何も取材じゃなくてもいい。旅行でのレストランの注文でもいいし、ホテルのフロントに観光案内を聞くのもいい。とにかく声に出して話してみることで、語学力はアップできるはずです。

語学力は才能でもセンスでもない、と私は思っています。学習にかける時間と労力に比例するだけ。
そして英語学習に向き不向きなんてない。
強いて言えば、母語でコミュニケーションがうまくいかない人は、他のどんな言語でもうまく使えるようにならないかもしれません。そういう向き不向きはあるかな。その場合は、まず母語でのコミュニケーション能力の改善から、でしょうね。

英語学習法の先生でもないのに、長々とエラソーに失礼しました。