独立サッカー連盟 Confederation of Independent Football Associations 略称CONIFAが、PaddyPower(パディパワー)というスポーツくじの会社をスポンサーに開催するサッカーの世界大会が、まもなくロンドンで開催されます。
FIFA非加盟のサッカー協会に所属する代表チームが世界大会で、今回は16チームが参加します。アジア地域からは、スリランカのタミル人たちを代表するタミル・イーラム(選手はカナダ、英国、スイスなどに移民した人たち)、インド北西部のパンジャブ地域を代表するパンジャブ(選手の大半は英国在住の移民たち)、ヒマラヤ北東地域チベットの代表、そして在日コリアン代表のチームが出場します。

私はスウェーデン中部のウステルシュンドという街で2014年に開催された第一回大会を取材したのが縁で、2016年にアブハジアで開催された第2回大会に引き続き、ロンドンで開催される第3回大会も日本から参加する在日コリアンのチーム、ユナイテッド・コリアンズ・イン・ジャパンのお手伝いをしています。

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(CONIFAワールドフットボールカップ第一回大会はスウェーデン中部にある街、ウステルシュンドのスタジアムで開催されました。当時は観客もまばらで、観客よりもジャーナリストのほうが多かったくらいでした)
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(第2回大会の開催地はジョージアとロシアが接しているアブハジア共和国。国をあげての支援を受けた大会はどの試合も大いに盛り上がり、スタジアムは満員でした)

なぜ私がCONIFAという組織に魅せられたのか? なぜボランティアで(つまり自腹で)、この大会を支援しているのか?  いろいろと後付けの理由で答えたりしてきましたが、理由は第一回大会の取材に行こうと思いたったときから変わらずシンプルです。
「世界の見え方が変わるから」それにつきます。私が生きているこの時代、この世界への見方が、もっと深く、もっと広くなる、そんな感じにワクワクするからです。
 2014年、ブラジルでFIFAW杯が開催された年、ブラジルに行こうかと調べたときにはワクワクしなかったのに、CONIFAのこの大会を知った瞬間、「あ、この大会はきっと私の世界観を変えてくれる!」と胸がときめきました。4年たった今も、そのワクワク感は変わっていません。世界はそう簡単には変わらないでしょうが、私の中で世界の見え方は大きく変わりました。変えてくれたCONIFAに感謝です。

 思えば今からちょうど4年前、今大会の組織委員会を率いるポール・ワトソンからCONIFAのことを教えてもらったのがそもそもの始まりでした。ポールに「きっときみの知らないサッカーがCONIFAの大会にあるよ。みんなあたたかく迎えてくれるはず。スウェーデンに行くべきだね。ブラジルに行くよりずっとおもしろいと思うよ」と背中を押され、 CONIFAのホームページで参加メンバーの紹介を眺めたときの興奮は今も忘れられません。
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(ポール・ワトソン。彼が南太平洋に浮かぶポンペイ島にサッカーコーチとして赴任し、チームを作って国際試合に出場できるまで育成したすてきなノンフィクション「Up Pohnpei」(ポンペイ万歳!)について記事を書いたのが彼と知り合うきっかけでした)

CONIFAのHPで見た第一回大会参加チームには、一つとして知っている固有名詞がありませんでした。マン島のエラン・バニン、 タミル・イーラム、パダーニア、アブハジア、サウスオセチア、クルディスタン……取材旅行に出かける前、一つひとつのチームの来歴や現状を調べるうちに、好奇心が激しく揺さぶられて、武者震いしたのを今も覚えています。
 そして大会で参加チームの人たちから実際に話を聞いて思ったのが、私はなんて、浅くて狭い世界しか知らなかったのか!  ということでした。
 世界は広い、というより、世界はメディアで報道されたものから得た情報や、本を読んで知った知識だけで判断できないほど多面的なんだ、というのが私にとっては衝撃でした。
 ○○国に住んでいるのが○○人、なんてことは決して言い切れない。そもそも○○人の定義はどこにあるのか、ということをあらためて考え直さなくてはいけない。人、モノ、情報が、国境を超えて往来するグローバル化した世界では、国や民族に対するとらえ方を変えなくてはいけない。私自身をとっても、これまで疑問なく受け入れてきた、日本人、日本国籍、というものについて、それが「本質」なのか、それとも「身元保証」の一つに過ぎないのか、とか考えたのです。日本人というのは、私の中にたくさんあるアイデンティティ(本質、身元、個性)の一つに過ぎないのではないか。ナショナリティって何だろう? アイデンティティはどこにあるのだろう? と大会後にいろいろと考えるようになりました。
 そしてCONIFAの意義にあらためて気づいたのです。
 いろいろなアイデンティティを持った人たちが、お互いのアイデンティティを尊重して、サッカーを通して交流する場を作る、それがCONIFAの意義です。
 CONIFAの活動にかかわったおかげで、単なるサッカーファンの(還暦すぎたおばさんの)私にもたくさんの嬉しい出会いがあり、世界の見え方が大きく変わりました。サッカーって本当にすばらしいな、とあらためて思っています。
 はい、ここでPRです。
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CONIFA PaddyPower World Football Cup in London
5月31日開幕〜6月9日 決勝戦&閉会式
会場は大ロンドンのスタジアム
大会概要およびチケットについては↓
http://www.conifa.org/en/wfc-2018/

実況放送もインターネットTV で予定されています(視聴方法や時間など詳しいことはまたお知らせします)