2015年に英国で制作された「未来を花束にして」は1910年代、参政権をはじめとする女性の人権を獲得するために闘った女性たちを描いた映画です。とてもいい映画で印象に残ってはいたのですが、遠い英国の一昔前の話だし、といまひとつピンと来ていませんでした。映画でメリル・ストリープが演じるエメリン・パンクハーストや、その娘のシルヴィア・パンクハーストについて、以前に本で読んではいたのだけれど、我が事としてとらえるのがむずかしかったのです。
ところが、このたびロンドンを訪れて、にわかに女性の人権獲得に力をつくした女性たちの力が身近に感じられるようになっています。
その理由の一つは、英国の国会隣の公園にエメリン・パンクハーストの立像を見つけたこと。映画では過激な活動家で、暴力に訴えて投獄される女性として描かれていましたが、実際のパンクハーストは映画以上に過激活動家だったらしいです。そんな女性の立像を国会の隣に建てるところが英国の懐の深さ、だと思いました。
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そして、国会に面する公園にガンジーやチャーチルと並んで、同じく女性の人権獲得につくしたミリセント・ギャレット・フォーセットが「勇気はいたるところで 勇気を呼び覚ます」というプロパガンダを掲げた像を見つけたときには、感激しました。しかもその像には、彼女とともに運動に身を捧げた女性たちの写真が埋め込まれているではないですか。
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そしてそして、国会前ではパンクハーストやフォーセットの運動を継続している団体が「人権を守るためには声を上げ続けなくてはならない」という演説をしていました。そしてその横では「ブレクジットに反対!」という団体も抗議集会をしていたりして。
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(ロンドン観光に来た家族連れがエメリン・パンクハーストの「女性参政権を求めるデモ行進」を再現すべく運動している団体の演説に耳を傾け、お母さんがえらく感銘を受けた様子で子どもたち、とくに娘に「一緒に写真を撮ってもらいなさい」とうながしたところを私も撮らせてもらいました)

新聞を開けば、パンクハーストの記事が掲載されているし、エジプトでセクハラを訴えた女性活動家を支援する声明が出されているし、英国の人たちの権利意識、ぜひとも守られなくてはならない人権については、ちゃんと大きな声をあげる、という姿勢がうかがわれてとても励まされます。
100年以上前の活動家たちの思いや力や勇気を継続していくことのエネルギーに脱帽です。 そして「勇気は勇気を呼び覚ます」という言葉を掲げている女性の活動家の像を、国会のまわりに建てるところもすごい。
英国、あなどれません。