2008年、ガンバがACLで優勝してアジアの頂点に立ち、マンチェスター・ユナイテッドに3−5の試合をし、世界の注目を集めた年末、私は「このまま世界にはばたくガンバを応援するためにゲーフラ作らなくっちゃ。そうだ、書道をやろう」とカルチャースクールの書道クラスに入りました。その前に個人で教えておられる別の先生のところに行ったのですが、なんだかピンとこなくて、というか、その先生が「ゲーフラを書きたいために書道をする」ことをまったく理解してくれず(ま、ふつうは理解しがたいですよね)、やむなくカルチャースクールへと足を運んだのです。
今年の年末で、ちょうど10年経ったことになります。この10年、ガンバは山あり谷ありの激動でしたが、私の書道は飛躍はしないものの、山をフーフー言いながらではありますが着実に登っている感じです。
始めて間もなくから、先生たちから「書道は線だ!」と言われ続けてきました。今も言われます。「線を引くこと」がこれほどまでにたいへんなことだとは書道始める前には思ってもみませんでした。始めてから1年経ったころ、 先生に「どうやったら線が引けるようになるんですか?」と聞いたことがあります。「やり続けるしかないね」と即答した先生。「どれだけ頑張って、毎日書き続けたとしても、線が引けるようになるまで最低でも10年はかかる」
10年か〜そんなにかかるのか〜とそのときは思ったのですが、10年はあっという間に経ってしまい、私はいまだにいい線は引けていません。 
2009年3月から、毎月出される課題を出すようになり、9年9ヶ月、117回、一度もさぼることなく提出してきたことがちょっと自慢です。2010年1月からは、条幅(半切サイズ)の課題にも取り組むようになり、こちらもほぼ毎月提出して来ました。2009年の創玄展から公募展に作品を提出することも始め、創玄展、毎日展と年2回の応募を続けて、入選してきました。師範を取得することを目的にはしていないけれど、わりに順調に段級はあがり、今年は準師範まできました。線は引けずとも準師範にはなる、というわけです。
「どれくらいの頻度で書いているのか?」とよく聞かれるのですが、稽古には週2回通い、自宅で1回書くことを基本にしています。もちろん仕事や家のこともあるので、お稽古に行けないこともあるけれど、できるかぎり週3回は筆を持つようにしています。最近ではガンバの試合より、飲み会より、ときには孫預かりより書道を優先して、週3回を死守しているのです。
始めたときには、これほどまでに打ち込むようになるとは思ってもみませんでした。少しマシなゲーフラが書けるようになったらそれでいいや、と思っていたのです。それがなんということか、時間も労力もお金もつぎ込み、いい作品が書けないと落ち込み、少しほめられると有頂天になる、という打ち込みよう。
書道はものすごく体力を使います。からだの柔軟性とリズム感がないとできないのです。先生から「書道は身体芸術だよ」と言われたときには「え?」と思ったのですが、あれは本当でした。始めてから2年くらいはしょっちゅう筋肉痛と腰痛に悩まされ、「からだの動かし方がわかっていない」と言われ続けて、ついには太極拳を始めたくらいです。(その太極拳もすでに8年。ここ最近はほぼ毎日やるまでに)先生から「紙の上で走れ! 足が動いていない! リズムよく動けていない!」とかさんざん言われ続け、ああ、ほんと身体芸術だわ、と今も実感しますね。だからからだの手入れを怠らず、筋力を鍛えてできるだけ長く書き続けていたい、と願っています。まだまだ書道の山を登り続けていきたいから。
単なる趣味に過ぎないのだけれど、今では「書道にめぐりあって本当によかった」と思っています。この年齢になっても、まだ伸びしろがあると実感できて、高い目標が持てる趣味に出会えて本当に良かった、と幸せをかみしめながら筆を持つ、と(大げさ)。 
またあらたな気持ちで、つぎの10年を始めようと昨日は筆をゆっくりと洗いました。 
 
IMG_1382