きのうは久々にサッカー日本代表戦をテレビで見ました。2022年カタール開催予定のFIFAワールドカップ2次予選、vsミャンマー戦。
富安選手と橋本選手に好印象を持ちました。いや、好印象どころではないな。ほかの選手に比べるとあまり見たことがなかったせいかもしれませんが、「え! 日本代表にこんなすごい若手がいたのか!」という驚きがあった、というのが本当のところ。相手がミャンマー代表ということを差し引いても、この2選手のテクニック、落ち着きと積極性がすばらしい。
反対にうんざりしたのが、解説と実況です。
久保、くぼ、KUBOって、いったい久保選手に何の恨みがあってそこまで名前を連呼するのか、と言いたくなりました。
久保選手はたしかにすばらしい逸材だと思います。それは認めます。
でも、これからでしょ? たしかに今もテクニック、賢さはすごいと認めますが、名実ともに世界のトッププレーヤーとなるためには、まだまだ足りないところもいっぱいあると思うのです。ま、あくまで久保選手をFC東京とかコパ・アメリカの数試合を見ただけの私の意見ですが。
逸材が逸材のままに終わるか、それとも大きく成長して世界的プレーヤーになるか、という大事な時期に、メディアが妙な煽り方をしたことが足を引っ張るって事例が、日本だけでなく世界を見回しても、いっぱいあるんですよね。デビューから1年くらいは「逸材」の片鱗を見せていて、メディアにさんざん持ち上げられたけれど、その後消えていった選手はいっぱいいます。
永遠の逸材で終わってしまった選手のデビューから消えるまでをつづったノンフィクションをこないだ書評しました。
"The Next Big Thing~How Football's Wonderkids Lose Their Way" by Ryan Baldi
(「フットボール批評の洋書案内で紹介しています)
直接の原因は伸びなやみだったり、怪我だったり、クラブや監督とうまくいかなかったり、家族がろくでなしで足を引っ張ったり、本人がプレッシャーに負けて道を踏み外したり、するのだけれど、遠因が煽るだけ煽って消費してポイ捨てするメディア、というのはもうお決まり……という内容です。
メディアがスターを欲しがるのはとてもよくわかります。スターを出さないと「売れない」ですものね。「視聴率とれない」ですものね。
でも、煽って、消費するだけしまくって、ちょっとダメだったり飽きたら斬り捨てるって、それこそが逸材を逸材のままで終わらせてしまうやり方、と私は思います。
メディアが「大人」として若手の逸材に対してとるべき姿勢は、消費するためのスターにしないこと。それに尽きるんじゃないでしょうか。
いいプレーにたいして称賛するのも、ミスに対して批判することも、どちらもとても大事なんだけれど、メディアはちゃんと何がよいて、どんなミスをしたのか、そしてそれが今後の成長にどうつながっていくのか、という視点で伝えてほしい。ただ、わーわー一プレーごとに絶賛しているだけじゃ、サポーターと一緒です。
大成しなかった「逸材」に「所詮、それだけの器だった」だけで終わらせるのは、本当に失礼だと思います。消費物じゃなくて、たいせつな人間なんですから。
というわけで、私は昨晩ピッチに立っていた選手たちに対して、年齢に関係なく、もっともっと成長していく姿を期待して、また代表選を見ようって 気持ちになりました。
ただし、テレビ観戦だったら実況や解説が聞こえないようにしよう。