5月11日(月)
 高齢者施設にいる母は、外出は隣の公園を散歩する以外禁止で、 大勢が集まるのはダメという理由で、囲碁教室や麻雀クラブも中止。朝の体操でさえも今は行われていないとか。一人でやれることしかできないので、読書とテレビ視聴しかすることがない、ものすごく退屈で、孤独を感じるという。
「それなら本を送ろうか? 読みたい本はない?」と聞くと、「活字を読むと頭が痛くなるから、いらない」と言われてしまった。「それじゃDVDで見たい映画はない?」と聞くと、「DVDデッキの使い方がわからない」。うーん、朝からずっとワイドショーでコロナ情報を見続けていると思うとゾッとする。
 家事をやらないですむ、というのはいいようだけれど、まだ元気な高齢者が家事いっさいをアウトソーシングしてしまってやる必要がなくなり、しかもみんなで集まってやる趣味もダメ、となってしまったら、これはするべきことも楽しみですることもなくなって、生きがいも張り合いもなくなってしまう。そうでなくても曜日や時間の感覚が失われてしまう高齢期に、一人でぽつんと部屋にいると老化はいっそう加速するだろうなあ。心配だ。
 イタリアでもアメリカでも、クラスターが発生して、大勢亡くなっているのは高齢者施設だという。日本でも高齢者施設でクラスターが発生した。AC(After Corona)になったら、感染症が流行したときに、重症化のリスクが高い高齢者の対策についてきっと議論が起こるはず。ただ感染を防止する、というだけでなく、ステイホームになった高齢者がどう生活と生きることを継続していけるかも考えないといけなくなるだろう。
 私も高齢者の一人として、感染症から身を守る術だけでなく、ソーシャルディスタンスを取らざるを得ない状態に置かれたとき、退屈と孤独からどうやって自分を救っていくか、今からしっかりと考えておかねば。
 夫もそれは痛感しているらしく、私が貸してあげた樋口恵子さん著『老〜いどん』を熟読しておりました。
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 私にもヨタヘロ期はきっとやってくるし、調理定年もいつかくる。それをできるだけ先延ばしにするために、早朝太極拳道場(最近は公園で行われているラジオ体操にも参加している)と家事を怠らない生活習慣は欠かせませんな。

夕飯は、ヒレカツ、キャベツその他野菜のコールスロー、豆腐とアスパラガスの茎の味噌汁、玄米ご飯、大根の漬け物

5月12日(火)
『愛の不時着』は4話で飽きてしまった。もう少し恋愛エネルギーが湧く時期になったらまた見よう(→いつだよ?)ちょっと漫画チックなんだよね。それと、どうしても主人公の女性に感情移入できない。どうしてこれがフェミニズムドラマなのか、まだわからない。もう少し我慢してみてみるかな。
 そこで『コンテイジョン』を視聴。スティーヴン・ソダーバーグ監督。2011年映画。すごいなあ、ソダーバーグ。ここまで「予言」していたわけか。SARSの流行にヒントを得たとはいえ、ワクチンをめぐる各国間の攻防とか(アメリカ映画だから仕方ないけれど、きわめてアメリカ的なやり方で成功しましたっていうのがちょっと気に入らない)、経済と感染症の食止めとの攻防とか、ほんとドキュメンタリー映画を見ているようなストーリー。
ただ、ソダーバーグらしく、最後に掃除のおじさんの子どもに自分のワクチンを射ってあげるというエピソードで終わるところは、「映画」らしくてほのぼのしていた。
Netflixはオリジナルのドキュメンタリーがおもしろいと聞いたので、仕事のためのお勉強もかねて『フェミニストからのメッセージ』を見る。たぶん私がまさにこのドキュメンタリー映画がテーマとしている70年代のWomen's Liberationに心躍らせて、怒りを共有した、フェミニズム第二波世代だったこともあって、めちゃめちゃ共感して感動した。(翌日にメモを取りながらもう一回見たほど)

 シンシア・マカダムスが70年代女性解放運動に関わった女性たちを撮った写真集を題材に、そこに登場するした女性たちが当時のこと、そして今(2018年)の自分たちについて語る、という内容。アーティスト、女優、歌手、バイオリニストなどなど、今も現役で活躍している女性たちが登場する。まあそういうキャリアを積んできた女性たちだから言えることなのかもしれないけれど、自分たちがやってきたことは良かったこともあるけれど、失敗もいっぱいある。21世紀になっても女性たちはまだ平等と公正な扱いを訴え続けなくてはならないのか、と落胆することも多い。だからこそ、私(たち)はまだまだフェミニズムを叫び続けなくてはならない、と言っていたのが印象的。
 もう一つ、黒人女性たちが「70年代の女性解放運動は、白人中流以上の階級の女性たちしか視野に置いていなかった。人種、階級、教育レベル、宗教全てを超えて、世界中の女性たちの平等と公正のための闘いは始まったばかり」という言葉も重かった。

夕飯は、鯵といわしのフライ(2日続けて揚げ物を食べてしまった)、コールスロー、ホワイトアスパラガスの蒸し煮

5月13日(水)
 COVID19で外出が制限される中、ニューヨーク・タイムズがリスニングのプログラムを増やしている。その中で私のお気に入りは"Sugar Calling"という番組だ。シェリル・ストレイドという作家が、80年代、90年代に活躍した(もちろん今も活躍中)大御所の作家たちに電話をかけて、現在のこの状況をどう見るか、その中で私たちはどうやって生き延びればいいのか(作家たちの大半は第二次世界大戦を経験している)、そして代表作の中から視聴者へのメッセージになるような文章を選んで朗読してもらう、という内容だ。
 25分ほどの番組なのだが、内容はとても濃い。これまで登場した作家は、マーガレット・アトウッド、エイミー・タン、ジュディ・ブルーム、アリス・ウォーカーなど(他にもいるけれど、とりあえず私が好きな作家を並べた)。一回聞いただけではよく内容がつかめないこともあるので、お気に入りの作家の回は2回、3回と聴く。
 マーガレット・アトウッドが、自身がかなり過酷な幼少期を送ってきた話をして「どんな時代にも、たいへんなことはある。それでも女の子たち! 腕まくりして頑張るのよ!」という言葉に励まされた。エイミー・タンが話す両親が移民してきたときの話とか、軽ーく笑って話しているけれど何回も聞くうちに、それはもう小説ではないですか、と言いたくなるほどドラマチック。アリス・ウォーカーの回では、2回目に聞いたときの「どんなことがあっても、それに立ち向かうのよ!」という言葉が重くて思わず涙が出た。
 朗読っていいなあ。作家の朗読会には1回だけ行ったことがあるのだけれど、自分の作品を読む作家の声dと表情がとても心に残った。ACにはぜひ行ってみたい。

夕飯はイワシのチーズパン粉焼き(いったい何回目かというくらいこの料理ばかり食べている!)、ナスの煮浸し、おかひじきのゴマサラダ