今、日経新聞朝刊で山本耀司さんが「私の履歴書」を連載されています。毎朝、飛びつくように読んで、「あの時代」を懐かしがっています。そういう人は多いのではないかな?
私は1973年から1992年まで会社でファッション関連の仕事をしていました。数ヶ月間別の会社で働いて離れたこともあったけれど、最後の会社を辞める1992年まで各シーズンごとのトレンドを追いかけていたし、デザイナーの動向も逐一目を光らせていました。会社を辞めてからもファッション関連の取材をしたり記事を書いたり、欧米中心ですがファッション業界の本を書いたり翻訳したりもしてきました。 ライターをやっていく上で、「女、子供、ファッション」を柱にすると決めていて、公言もしていました。
そんな私が一番ファッションに熱かったのは、1978年から1987年くらいまで。高田賢三さんや三宅一生さんの次の世代の日本のデザイナーがパリコレに進出し、日本ではTD6が解散し、1985年に東京コレクションが始まった頃。その頃も私にとって、山本耀司さんと川久保玲さんは雲の上の憧れの人でした。今でも悔やんでいるのは、二人が東京コレクションに加わって、パリコレに大きな衝撃を与えた頃にY'sやコム・デ・ギャルソンの服を購入して着こなすことができなったことです。30代の私は子育て真っ最中で、保育園にコムデやワイズを着て子供をお迎えにいく勇気がなかったし、そもそもお金がなかったし、二人の服の思想を理解もできていなかった。
ワイズやコムデの服が買えて着られるようになったのは、50代になってからです。経済的余裕ができたし、背伸びしないで「いいな」と思えるようになったし、着て歩いても変に自意識過剰になることもなくなった。
それでもワイズやコムデを着るときは緊張します。心地よい緊張感なのだけれど、ユニクロを着ているときにはまったく感じない緊張感です。誰かに見せるための服というのもあっていいし、着心地の良さを楽しむ服ももちろん必要です。でも、1970年代から1990年代(高級ブランドブームの前まで)ファッション業界の片隅にいた私としては、自分の精神/身体と服との間に生まれる緊張感が忘れられない。
服はどんどんカジュアルになり、しかも外出がなかなかできなくなっている今、そんな緊張感を生むような服などこれからすたれていくのかもしれません。でも、1970年代から1990年代までのあのめくるめくようなファッションの時代を知っている私としては、せめて一週間に一回くらいは緊張感を持って服を着たい、と思うのです。
私は1973年から1992年まで会社でファッション関連の仕事をしていました。数ヶ月間別の会社で働いて離れたこともあったけれど、最後の会社を辞める1992年まで各シーズンごとのトレンドを追いかけていたし、デザイナーの動向も逐一目を光らせていました。会社を辞めてからもファッション関連の取材をしたり記事を書いたり、欧米中心ですがファッション業界の本を書いたり翻訳したりもしてきました。 ライターをやっていく上で、「女、子供、ファッション」を柱にすると決めていて、公言もしていました。
そんな私が一番ファッションに熱かったのは、1978年から1987年くらいまで。高田賢三さんや三宅一生さんの次の世代の日本のデザイナーがパリコレに進出し、日本ではTD6が解散し、1985年に東京コレクションが始まった頃。その頃も私にとって、山本耀司さんと川久保玲さんは雲の上の憧れの人でした。今でも悔やんでいるのは、二人が東京コレクションに加わって、パリコレに大きな衝撃を与えた頃にY'sやコム・デ・ギャルソンの服を購入して着こなすことができなったことです。30代の私は子育て真っ最中で、保育園にコムデやワイズを着て子供をお迎えにいく勇気がなかったし、そもそもお金がなかったし、二人の服の思想を理解もできていなかった。
ワイズやコムデの服が買えて着られるようになったのは、50代になってからです。経済的余裕ができたし、背伸びしないで「いいな」と思えるようになったし、着て歩いても変に自意識過剰になることもなくなった。
それでもワイズやコムデを着るときは緊張します。心地よい緊張感なのだけれど、ユニクロを着ているときにはまったく感じない緊張感です。誰かに見せるための服というのもあっていいし、着心地の良さを楽しむ服ももちろん必要です。でも、1970年代から1990年代(高級ブランドブームの前まで)ファッション業界の片隅にいた私としては、自分の精神/身体と服との間に生まれる緊張感が忘れられない。
服はどんどんカジュアルになり、しかも外出がなかなかできなくなっている今、そんな緊張感を生むような服などこれからすたれていくのかもしれません。でも、1970年代から1990年代までのあのめくるめくようなファッションの時代を知っている私としては、せめて一週間に一回くらいは緊張感を持って服を着たい、と思うのです。
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