夏が嫌いです。
 いやちがうな、嫌いなのは夏ではなく暑さと湿気です。
 最近はすでに5月くらいから暑さと熱気が襲ってくる気候なので、本格的な夏が始まるはるかに前から「あ〜〜〜もうこの天気にはうんざりだわ」とため息をついてばかりですが、地球のどこにいっても気候は厳しそうなので、いまいるここで踏ん張ってこの季節を乗り切るしかありません。
 踏ん張る、といえば、何かトラブルがあったり、腹が立つことがあったり、何もなくてもただうんざり気分におちいったとき、すぐに「逃げ出す投げ出す放り出す」の3つの簡易解決策に走りたくなります。がんばらなくちゃという強い気持ちが持ちにくくなっている。心の片隅から「もうやめちゃえば〜〜〜」「無理することないんじゃない?」という悪魔(たぶん悪魔。少なくとも天使ではない)の甘いささやきが聞こえてくる。
 たとえば書道の毎月の課題作制作を前にしたとき。
 たとえば新しい企画を出してみようかと考えたとき。
 たとえば面倒な人間関係のトラブルに巻き込まれたとき。
 悪魔はしたり顔でつついてくるのです。
 「別に今月だけ休んだってどうってことないよ」「もうあなたは十分にがんばってきたんだから、少しゆっくりしたらいいじゃない?」「年齢を考えたらいまさらそんな大それたプロジェクト、最後までやり遂げられるの?」「そもそも、あなたの能力じゃ、それやるのって無理じゃない?」
 悪魔さん(要するに甘え気分の自分)のささやきに負けそうになるとき、歯を食いしばりながら自分に言い聞かす魔法の言葉。それは……
 「踏ん張れ、わたし」
 いまの私に必要なのは「がんばれ!」というエールではなく、「よくやってる!」という褒め言葉でもなく、「踏ん張れ」なんだと思います。
 逃げ出す、投げ出す、放り出す、それは簡単な解決策のように思えるけれど、いまの私はきっとその解決策を選んだことをずっと後悔するのが見えている。
 なんとかしようともがいて、たとえ結果が満足のいくものでないことがわかっていても、できるだけのことはやりたい。
 逃げ出したくなったその場で踏ん張れるだけ踏ん張って、それでもダメならあきらめもつく。
 そう思って、今日も自分に声をかけます。
 踏ん張れ、自分。
 踏ん張れ、わたし。 

 それにしても、暑いのは苦手です。