先日、またまた老いに関する本を読んでいたら、「はて?」(寅子さんの真似が最近のマイブーム)という箇所があった。そのまま引用するのは気が引けるので、要約すると
「年齢にふさわしい服装をしましょう。あきらかに70歳を超えているのに、30代と同じような若造りでTシャツにジーパンにスニーカーという格好をしているのはイタイ人です」というの。
はて????
 違う方向でツッコミを入れておくと、ジーパンといっている時点で、著者(医師)が服に興味がない人なんだろうなあと推察する。わからんけれど。
 また美容院で読んでいた週刊誌に「いい歳してロックバンドの追っかけをして、ロックTシャツを着ている中高年女性はイタイ」というような文言があった。
はて???????
 たぶん私はこういうことを書く人たちの視点を通せば、とってもイタイばーさんと見えるだろう。
 ロックバンドじゃないけれど、推し(もちろんガンバ)のレプリカユニを着てますけれど、イタイですか?
 ジーパン(苦笑)ではないけれど、40代から履いているデニム地のパンツをいまもはいていますけれど、何か?
 70代に突入して私は肩の荷をおろしたみたいにホッとしたところがある。
 その理由のひとつが、自分が着たいものを着ることに躊躇がなくなった点だ。
 派手と思われないかな? 70代らしくない? 背伸びして若造りしていると思われる? 
 そして「こんな服着てイタイ人と思われないかな?」
 ……というような躊躇がなぜか消えましたです。
 だって気に入った服に出会って感動し、「わ〜〜この服着たい!」と思えるのってとてもすごいことじゃないだろうか?
 そしてすてきな服を入手できるだけの経済力があって、体力があって、姿勢も体型もほどほどに維持できていることもすごいことだと自分で思ってる。
 よく「そんな服を着ていくところがない」という人がいるけれど、着ていくところをつくればいいことだと私はひそかに思う。おしゃれをしたいけれど、あれこれ周囲からいわれるのがいやだという人たちをSNSでこっそり集めて、オフ会でも開いてファッション話で盛り上がる場をつくるのでもいい。まあね、いうのは簡単だけれど、実際に実行するにはエネルギーがいるからそう簡単ではないだろうが。
 私? 1週間に2回くらい気に入った服を着て、ふだんよりちょっとがんばってお化粧して、「今日は特別なお出かけなんですぅ」と気合いを自分に入れて、電車にのって都心に出て、映画見たり美術館にいったりしている。ひとりで。
 服に興味がないし、おしゃれなんて別にしたくない、というのも立派な選択だから、そういう人のスタンスは尊重している。
 だから何歳になってもおしゃれしたいという人のことも放っておいてほしい。
 まあね、イタイといわれても別にいいやと思えるようになった70代万歳!
 あたしは痛くもかゆくもない、と気張っておこう。