帰りのモノレールのなかで同志がきっぱりと言いました。
「こんな筋書き、誰が書ける? 映画でも舞台でも、90分の最後の最後にこんな結末持ってくることはできんで」そして一人、深く頷いて「誰も予想できん結末で人を感動させたり、立ち上がれんほど落胆させたりできるのは、スポーツだけや」
まったく異論なしです。
試合が始まる前、もとガンバにいた白井陽斗が札幌に移籍後初スタメンだと知ったとき、口に出してはいけないと思いつつ思わず「元ガンバの選手にゴールを決められちゃったりしてね。ほら、ガンバ、初モノに弱いやん」と言っちゃいました。ごめんなさい、ごめんなさい。言霊の存在を忘れていました。
前半7分、福岡がペナ脇で白井にボールを奪われて、ズドン! 先制点を与えてしまったではないですか。福岡もアカンけど、私もなあ……口に出してはいかんことを口に出してしまったと激しく後悔。
坂本一彩や山田康太のクロスバー直撃シュートがはいらなかったのも、ボール保持率がおそらくガンバ6割くらいで札幌を圧倒していても得点できなかったのも、もしかしたら不用意な発言をしてしまった私にも責任の一端があるかも(いや、ないけれど)。私もなめてたんかも、という気分でどんどん凹んでいって90分ほどたちました。
いよいよロスタイムに入ってあ〜〜あ〜〜〜またガンバクラップできないのか、ため息をつき、周囲でばたばたと人が帰り始めるのを横目に、まあ、せっかく大阪まで来たんだから最後まで見ようか、と思い直していたそのとき、同志が「あれ? PK確認中やて」と電光掲示板を指差しました。
そしてカタールの審判が出てくると、指さしたのはペナルティスポット!
試合前に「VARが入るから試合がおもしろくなくなる」なんてことを言っていたのだけれど、すみません、反省します。昨日にかぎってはVARありがとうでした。
宇佐美がペナルティスポットにボールを置き、じっとボールをにらんで立っている間、おそらく10秒ほどだったと思うのですが、その緊張感に耐えきれず「もう見ていられない」と目をつぶった瞬間、スタジアムが揺れました。同点!
目を開けたときには、すでに宇佐美ボールを抱えてセンターサークルめがけて走っていました。
「逆転するぞ!」とおそらくチームメイトにもベンチにも観客にも宣言していたのでしょう。
そしてその4分後、宣言どおり見事なゴールを決めたのでした。
宇佐美も泣いていたそうですが、スタジアムにいた8割くらいが涙腺決壊しそうだったのではないでしょうか。札幌サポーターを含めて。
はい、もちろん私も目尻に水が……。今日になってもまだ思い出すたびに泣きそうです。
10試合ぶりの勝利。長かった。そしてこれでチームのベクトルが上を向くかどうか、確信はできませんが、少なくとも昨日、スタジアムで最後まで試合を見届けたおそらく2万3000人ほど(きのうの観客数は2万4500人ほどだったのでは?)はこの試合を長く忘れられないのではないかと思います。札幌のサポの方たちも含めて。
シーズンはまだ続きます。この試合を思い出にするのは早すぎる。つぎは10月18日のvs川崎戦。気を引き締めて臨まねば。
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