昨年(2024年)観たなかで一番だったのは(古いけれど)「Perfect Days」でした。もうすべてが私のツボにハマりまくり。音楽はもちろん、役所広司の渋い演技も、脇役たちも、とにかく好き。もう一度見たい、と思わせる映画はなかなかないけれど、「パーフェクト・デイズ」は毎年1回くらい観たいと思ってます。
そして1月と2月は毎年ですが映画を見る時間的余裕があるので、20日間に映画館で2本、配信で3本(ドラマも入れると7本)見ました。
印象に残った映画の記録を残しておきます。
「ブラックバード、ブラックベリー、わたしはわたし」
吉祥寺UpLinkで観賞
ジョージア映画です。ジョージアの山奥の村で小売雑貨店をほそぼそと営んでいる48歳の女性エテロは、父親と兄のケアに追われてこれまで性体験なし。母親が彼女を産んで亡くなったことで、父親は腑抜け野郎になり、兄はロクでもない放蕩野郎で、生活のあれこれはすべてエテロがまわしていた。父も兄も亡くなり、ひとりになったエテロは、周囲が寂しいだろうとかいろいろと言ってくるなかで実はとても自由で晴々とした気分で日々を送っていた。
楽しみは野生のブラックベリーを摘んで作ったジャムを食べること。ある日、川縁の崖の上でブラックベリーを摘んでいたところ、ブラックバードと目が合い、みとれているとバランスを崩して崖から落ちてしまう。必死に岩にしがみついて崖を這い上って九死に一生を得たエテロは、初めて死を意識した。
店に戻って傷の手当てをしているところに売り物の日用品を配送してきたおじ(ぃ)さん(たぶん50代)にいきなり激しく迫り、店でセックスをする。びっくり仰天のおじさんだけれど「きみも私のことが好きだったのか」とか言って、ちゃんと応じた。おじさんがトラックで去っていったあと、パンツのなかに手を突っ込んだエテロが「48歳にしてやってしまった」という満足そうな表情がとてもいい。
孫もいるそのおじさんは恋に恋するロマンチストになっちゃって、愛の詩をつくって送ったり、秘密のピクニックデートに誘ったり「これが最後の恋なんだ」とか「トルコにいって一緒に暮らそう」とか迫ったりする。エテロも適当に応じているのだけれど、いまさら誰かのためにごはんを作ったり、掃除をしたりする気は毛頭ない、とおじにはっきり言っちゃう。
エテロ、美人じゃないしスタイルも悪い。だから男に振り向かれない、結婚できないんだ、と村の女たちからはさんざんな言われよう。彼女たちから「タライみたいなお尻だよね」「子どもがいないと寂しいよね」「男を知らない処女は欠陥がある」など言われると、そのたびに「子どもがいたって、結婚していたって、幸せそうな女を私は見たことがない。ひとりで気楽に暮らすのが一番」とさわやかにエテロに反論されると、みんな黙ってしまう。
独身をさっそうと楽しんでいたエテロだったけれど、あるとき体調不良になって「もしかすると、悪い病気かも」と不安の塊になり、死を覚悟して身辺整理を始めるのだけれど……そのあとは大いにネタバレになるから書きません。
鑑賞後に私は「そうか〜『女の一生』は人それぞれなんだなあ。世間の『こうあるべき』なんてものに惑わされたらいかん。いまの自分にもっと自信をもって生きていくぞ」ととても気持ちよく(でもいろいろと考えながら)帰ってきました。
映画館で見たのはもう1本。
「侍タイムスリッパー」。友人が「おもしろいっていうよ。見ようよ」と熱く誘ってくれたおかげでTOHOシネマズで観賞。幕末の侍が現代にタイムスリップして、いまは廃れようとしている時代劇で斬られ役になる、というあらすじです。主演の山口馬木也の殺陣(も演技も)がとにかくうまかった。脚本がよくできてた。面白かったです。
配信ドラマではいまさらですが「地面師たち」「不適切にもほどがある」をインフル回復期に一気見。どちらも昨年ヒットしたのがよくわかるおもしろさでした。古いですが「ちはやふる」も3話一気見。こういう青春一生懸命ドラマが私は好きなんだなあ。
いまは「阿修羅のごとく」を見ているところ。向田邦子ってやはり偉大な脚本家だった、宮沢りえ、ますます凄みを増している、と一話ごとに感心しています。
配信映画では「ホールドオーバーズ」がよかった。ぜひともおすすめ、というほどではないけれど、ほろりとくる映画でした。1970年代のアメリカ、今ほどじゃないけれど、差別と暴力の時代だったんだなあ、と。
そして1月と2月は毎年ですが映画を見る時間的余裕があるので、20日間に映画館で2本、配信で3本(ドラマも入れると7本)見ました。
印象に残った映画の記録を残しておきます。
「ブラックバード、ブラックベリー、わたしはわたし」
吉祥寺UpLinkで観賞
ジョージア映画です。ジョージアの山奥の村で小売雑貨店をほそぼそと営んでいる48歳の女性エテロは、父親と兄のケアに追われてこれまで性体験なし。母親が彼女を産んで亡くなったことで、父親は腑抜け野郎になり、兄はロクでもない放蕩野郎で、生活のあれこれはすべてエテロがまわしていた。父も兄も亡くなり、ひとりになったエテロは、周囲が寂しいだろうとかいろいろと言ってくるなかで実はとても自由で晴々とした気分で日々を送っていた。
楽しみは野生のブラックベリーを摘んで作ったジャムを食べること。ある日、川縁の崖の上でブラックベリーを摘んでいたところ、ブラックバードと目が合い、みとれているとバランスを崩して崖から落ちてしまう。必死に岩にしがみついて崖を這い上って九死に一生を得たエテロは、初めて死を意識した。
店に戻って傷の手当てをしているところに売り物の日用品を配送してきたおじ(ぃ)さん(たぶん50代)にいきなり激しく迫り、店でセックスをする。びっくり仰天のおじさんだけれど「きみも私のことが好きだったのか」とか言って、ちゃんと応じた。おじさんがトラックで去っていったあと、パンツのなかに手を突っ込んだエテロが「48歳にしてやってしまった」という満足そうな表情がとてもいい。
孫もいるそのおじさんは恋に恋するロマンチストになっちゃって、愛の詩をつくって送ったり、秘密のピクニックデートに誘ったり「これが最後の恋なんだ」とか「トルコにいって一緒に暮らそう」とか迫ったりする。エテロも適当に応じているのだけれど、いまさら誰かのためにごはんを作ったり、掃除をしたりする気は毛頭ない、とおじにはっきり言っちゃう。
エテロ、美人じゃないしスタイルも悪い。だから男に振り向かれない、結婚できないんだ、と村の女たちからはさんざんな言われよう。彼女たちから「タライみたいなお尻だよね」「子どもがいないと寂しいよね」「男を知らない処女は欠陥がある」など言われると、そのたびに「子どもがいたって、結婚していたって、幸せそうな女を私は見たことがない。ひとりで気楽に暮らすのが一番」とさわやかにエテロに反論されると、みんな黙ってしまう。
独身をさっそうと楽しんでいたエテロだったけれど、あるとき体調不良になって「もしかすると、悪い病気かも」と不安の塊になり、死を覚悟して身辺整理を始めるのだけれど……そのあとは大いにネタバレになるから書きません。
鑑賞後に私は「そうか〜『女の一生』は人それぞれなんだなあ。世間の『こうあるべき』なんてものに惑わされたらいかん。いまの自分にもっと自信をもって生きていくぞ」ととても気持ちよく(でもいろいろと考えながら)帰ってきました。
映画館で見たのはもう1本。
「侍タイムスリッパー」。友人が「おもしろいっていうよ。見ようよ」と熱く誘ってくれたおかげでTOHOシネマズで観賞。幕末の侍が現代にタイムスリップして、いまは廃れようとしている時代劇で斬られ役になる、というあらすじです。主演の山口馬木也の殺陣(も演技も)がとにかくうまかった。脚本がよくできてた。面白かったです。
配信ドラマではいまさらですが「地面師たち」「不適切にもほどがある」をインフル回復期に一気見。どちらも昨年ヒットしたのがよくわかるおもしろさでした。古いですが「ちはやふる」も3話一気見。こういう青春一生懸命ドラマが私は好きなんだなあ。
いまは「阿修羅のごとく」を見ているところ。向田邦子ってやはり偉大な脚本家だった、宮沢りえ、ますます凄みを増している、と一話ごとに感心しています。
配信映画では「ホールドオーバーズ」がよかった。ぜひともおすすめ、というほどではないけれど、ほろりとくる映画でした。1970年代のアメリカ、今ほどじゃないけれど、差別と暴力の時代だったんだなあ、と。
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