Glamorous Life

グラマラスライフ 実川元子オフィシャルサイト おもしろい本、どきどきする試合や映画、わくわくする服に出会えたら最高に幸せ

読む快楽

 先日のダービーについて何か書く気にはとてもならず、代わりに、といってはなんですが、トークイベントのお知らせをしてもうしばらくガンバのことは目に入れない、ましてやそれについて何か書いたりしないようにしようと思っていました。
 でも、ふと目にとまった「ロスタイムは7分です」さんのコラムに、とても共感したところがあったし、長年ガンバサポを名乗ってきて、ピッチ内外での騒動について何も言及しないのはサポとしてどうかと思ったので、書いてみます。
「ロスタイムは7分です」さんのコラムはこちら↓
https://7additionaltime.com/archives/8692
「分断されるサポーター、レアンドロ・ペレイラ選手と昌子選手の口論を事例に」というタイトルで書かれたこのコラムで私が共感したのは、この部分(すみません、勝手に引用します)

 “バズる”のは強い意見だ。最近は「論破」という言葉をよく見聞きする。戦う人に支持が集まる世界。ネットで何かを発する時、常に問われている気がする。
「で、お前は味方なの?敵なの?」

 私はTwitterもインスタグラムも利用していない。いや、一応アカウントは持っているし、たま〜〜〜にのぞくし、拡散を頼まれてリツイートをすることもある。
 でも、基本姿勢として「できるだけ見ない」「自分からは発信しない」。Facebookは利用するし、発信し、コメントもつけるのに、Twitterやインスタはなぜやらないのか? 意図的ではない。自然に足(目か?)が遠のいてもう何年にもなる。
 理由は「ロスタイムは7分です」さんのいうとおり、敵と味方にくっきり線を引き、正しかろうがまちがっていようが、強いわかりやすい意見に支持が集まるのが耐えられないからだ。
 自分とは相入れない意見の人を、「おまえは間違っている!」「おまえは敵だ!」と指差しし、糾弾 し、相手が消えるまで「論破」するのを見ているのが、息苦しくなるくらいストレスだ。私自身や、私が出した本や書いた記事、インタビューで答えたことに対して、根拠レスなバッシングを受けたこともある……そうだ。わざわざ教えてくれる人がいるのだけれど、私は見ていない。
 マジョリティ/マイノリティ(多数派/少数派)、支配者/被支配者とくっきり線が引けるものなのだろうか? 多数派の意見だから正しくて、少数派だから間違っている、なんてそれは民主主義ではないはずだ。正否の線引きなんて、状況と置かれている立場によってまったくちがってくるだろう。私のほうが声が大きく、「論理」立っていて、こんなに支持してくれる人が大勢いるのだから、私の意見こそ正しくて、間違っているほうは黙っていろ、という姿勢は独裁者のものだ。
 サッカーのことにかぎらない。会社で、学校で、家庭で、夫婦で、パートナー同士で、親子で、きょうだいで、地域コミュニティで、そしてインターネット空間で、「あなたがまちがっている」「おまえが悪い」と個人を指差し、糾弾するのではなく、また指差された個人を「私が悪かった」「間違っていました」と謝らせるのではなく、お互いの意見に耳を傾けて、そういう考え方もあるのか、と理解した上で、「それでも私はこう考える」と言える社会。私が目指しているのは、そういう社会だ。
 サポーターとして、パートナーとして、友人として、母親として、私は「相手の意見に耳を傾ける度量の大きい人間」になることを目標にしている。道は遠いけれど。

 というようなことを、実は私は2年間にわたるフェミニズムの取材を通して学びました。(すごいなこのほとんど強引ともいえるもって行き方)フェミニズムは「炎上案件」なのだそうです。フェミニズムとひと言出すだけで「あっち側の人」とか言われるそうです(SNSを見ない私はすべて「そうです」しか言えないのだけれど)
 でも、フェミニズムを知ると「私が悪いのではなく、相手が間違っているのでもなく、制度や社会に問題があるし、変えていくことが(私でも)できる」とわかってくる。すると、とても気が楽になるし、パートナーとの関係も、上司との関係も、ふしぎとざらざらからすべすべへと変わっていくのです。少なくとも私は。
そういう意味でトークイベントです。

「フェミニズムってなんですか?」刊行記念
「きっとあなたにも必要なフェミニズム」
 6月18日(土)15時〜17時
https://atta2.weblogs.jp/ryushokan/25-トークショー/
詳しくは↑
申し込み・お問い合せ:隆祥館書店 TEL:06-6768-1023 

住所:大阪市中央区安堂寺町1-3-4 谷町6丁目⑦番出口向かい

Eメ-ル:ryushokan@eos.ocn.ne.jp

主催:隆祥館書店        協力:文藝春秋

(ここを見ていらっしゃるのはガンバサポの方が多いと思うのですが、イベント終了後、パナスタまで横浜FM戦にご一緒するっていうのはどうでしょう?(これまたすごい強引なお誘い……我ながら苦笑) 

2020年4月から2年間にわたって、VOGUE CHANGEというWebで「VOGUEと学ぶフェミニズム」という連載のライターをつとめてきました。このたびそれがまとまって文春新書から出版されました。
「フェミニズムってなんですか?」著者は清水晶子さん。フェミニズム/クィア理論の研究者です。
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2年間、毎月さまざまなテーマで清水さんにお話を聞き、それをまとめ、編集者の松本さんと清水さんががっつり手を入れてより包摂的(インクルーシブ)にわかりやすくなり、より発展的なビジュアルを入れてアップされてきました。
この2年、私はこの仕事のおかげでフェミニズムのことをじっくりと知ることができ、おおげさではなく世界の見え方が変わりました。
ありがたいことに19回毎回閲覧数トップの人気ページになりました。いろいろな意見が寄せられ、なるほどそういう考え方、見方もあるのかとそちらも勉強させられました。

発刊記念として、大阪の隆祥館という本屋さん(このブログでも紹介した「13坪の本屋の奇跡」)でトークイベントを組んでくださることになりました。
清水さんは残念ながらリモートでの登壇となりますが、私は大阪の現場からリアルで参加させてもらいます。
大阪のみなさま、よろしければぜひ足をお運びください。(vs横浜FM戦に間に合いますよ)大阪には行けないという方は、リモート参加も可能です。詳細と申し込み方法は以下に。

テ-マ『きっとあなたにも必要なフェミニズム』
「フェミニズムってなんですか?」発刊記念イベント
 
ゲスト  ライター(聞き手)・実川元子さん  著者・清水晶子さん
今回は、実川元子さんの問いかけに、清水晶子さんにお応えいただく形で進めていただきます。
開催日 : 2022年6月18日 土曜日
時間 : 15:00~17:00 
隆祥館書店多目的ホ-ルからリアル&リモ-トで配信
(要予約・事前購入制とさせていただきます。申込み順)
隆祥館書店多目的ホ-ルにて、リアル(限定50名) &リモート(定員100人)トークイベント
隆祥館書店からリモ-トで配信
リアルトークイベント
●費用:3,500円(内訳:参加2,422円+本代『フェミニズムってなんですか?』1,078円)
リモート・トークイベント
●費用:3,300円(内訳:参加費1,722円+『フェミニズムってなんですか?』1,078円+送料及び手数料500円)
本無しリアル
●費用 : 3,000円
本無しリモート
●費用: 2,500円
※ リモ-トでの申込者には、後日アーカイブ動画もお送りします。当日ご都合が合わない方も、ぜひご参加ください!
(要予約・事前購入制とさせていただきます。申込み順)
*振込先 三井住友銀行上町支店 (普通)1353923
カ)リュウショウカンショテン
※ リモート・トークイベントに、参加ご希望の方は、あらかじめZOOMのインスト-ルをしておいて下さい。
※ 参加者は、弊社が送付するメールに記載のアドレスからzoomにご参加いただき、開始時間までにIDとパスワードをご入力のうえお待ちください
※ 店頭もしくは、メ-ルで、お名前・ご住所(郵便番号含む)・お電話番号を明記の上、お申込み下さい。(メ-ル送信及び遠方の方への送品のため)
※ お申し込みの手続きを完了しているのに、こちらからの連絡のない場合は、恐れ入りますが、トラブルを避けるためにもイベントの3日前までにお電話にて、ご一報いただけますようお願い致します。
申し込み・お問い合せ:隆祥館書店 TEL:06-6768-1023 
住所:大阪市中央区安堂寺町1-3-4 谷町6丁目⑦番出口向かい
Eメ-ル:ryushokan@eos.ocn.ne.jp
主催:隆祥館書店
協力:文藝春秋



2004年に出版された拙訳書『ザ・ハウス・オブ・グッチ』(サラ・ゲイ・フォーデン著 講談社)が映画化され、来年1月14日から日本で公開されます。
このたび文庫化+電子書籍化されることになり、いま校正に励んでいるところです。単行本のときに翻訳原稿を入稿したら、編集者から「このままでは700ページ近くなる。なんとか削ってほしい」と言われて、四苦八苦して削り、著者の同意をもらってあらすじは変えないように整えたのですが、このたび映画化、文庫化にあたって、削った箇所を少し戻し、かつ17年前から大きく変わった業界と世界を踏まえて修正を入れています。うーん、なんというか、ただ翻訳するよりも苦労しているかも(愚痴です)。削った箇所を戻したからというだけでなく、やはりかなりボリューミーで、結局上下巻となりました。
でも、訳者の私が言うのもなんですが、非常におもしろいです。ノンフィクションだけれど、極上エンターテインメント。映画化されて当然だと思う。今までも何回も映画化の話が持ち上がっては、殺人事件が絡んでいるのでむずかしかったと聞いていますが、結審して服役して、すべて一応かたがついたから映画化できたんでしょうね。

そしてその映画。
リドリー・スコット監督で、主演はなんとレディ・ガガ。もう一人の主人公を演じるのはアダム・ドライバー。グッチ家の面々を演じるのは、アル・パチーノ、ジェレミー・アイアン、ジャレット・レト(怪優ですわ、相変わらず)。それにサルマ・ハエックなどいまをときめく名優ずらりでゴージャス! さすがグッチ。
音楽はBlondieの”Heart of Glass"。うーん、70年代ですね。(これ歌ったとき、デボラ・ハリーは33歳だったって知ってました? で、70代後半のいまも現役で歌ってるって。すごいわ)
映画のTrailerを貼りつけておきます。Blondieが響き渡るので要注意です。

ああ、この機会にダナ・トーマスが書いた"Gods and Kings: The Rise and Fall of Alexander McQueen and John Galliano"も映画化されないかなあ。
https://www.amazon.co.jp/Gods-Kings-Alexander-McQueen-Galliano/dp/1594204942 
アレクサンダー・マクウィーンとジョン・ガリアーノの盛衰を描いたすごくおもしろいノンフィクションなんだけれどな。 とさりげなく売り込んでみる。 

一年12ヶ月で最も私が苦手とする月が8月です。暑いのが苦手。お盆休みがあるために仕事の締め切りが繰り上がるのが嫌だ。たいてい世間が海だ山だと浮かれているときに、ひたすらPCに向かわねばならないのがうんざりだ……とか思っていましたが、今年は新型コロナウイルス感染者(陽性者)が急増し、重症者も増加して医療体制が逼迫している状態がずっと続いたために、少なくとも世間は夏休みだといっても騒ぎはなく、それはそれで寂しくつまらないと感じた8月でした。コロナ感染で苦しまれている方のニュースを目にすると辛いです。例年にも増して、心浮き立たない8月でした。
ウォーキングのことを書いたきりずっと放置だったので、8月に思ったことを書いて夏を締めたいと思います。
まずガンバですが、試合を見ていない私が何かを言う資格はありませんが、どうやらダメダメなようで、ため息です。川崎選手は移籍したみたいだし、楽しみな選手は怪我ばっかりだし、しかも点がとれないとなると、いったいどこに希望を見出したらいいのかわからないうちに8月が終わってしまいます。私のDAZN復帰はまだ先だな。
今年は最近5年ほどで最も仕事が忙しい8月でした。朝10時から夕方6時まで昼ごはん抜きでひたすらキーボードを叩く毎日で、久しぶりに腱鞘炎になりかかっています。ちょっとやばいです。

最後に読んだ本も記録として記しておきます。

「食べる時間でこんなに変わる時間栄養学入門〜体内時計が左右する肥満、老化、生活習慣病」
柴田重信著 講談社ブルーバックス
むずかしいことはさておき、朝4、昼3、夕3の割合で食べて、朝にタンパク質を意識してとることだけは始めた。肝臓や肺などの臓器にも時間遺伝子があるとは知らなかった。

「彼岸花が咲く島」
李 琴峰著 文藝春秋
芥川賞受賞作だということを読み終わって知ったけれど、賞にふさわしい作品。ファンタジー、ではあるのだけれど、ノンフィクションといってもいいほど今の世相を描いている。どこの島が舞台なのだろう、と沖縄と台湾の間にある島を探してしまったりした。

「リンバロストの乙女」
ジーン・ポーター著 村岡花子訳 河出文庫
読書会の課題図書で読む。昔読んだときとまるで印象が異なった。女性の教育、自然と開発のあり方、社会格差など、現代まで続く問題が提起されている少女小説とは気づかなかった。

「あのこは貴族」
山内マリコ著 集英社文庫
衝撃的な小説だった。地方出身でがんばって勉強して慶応に入ったけれど、学費が続かず風俗の店で働くようになった女性と、東京の山手出身のお嬢様で幼稚舎から慶応、結婚だけが女性の生きる道だと信じていた女性が、一人の男性を介して知り合う。二人の道はもちろん交わらないのだけれど、でもお互いの生き方に影響を受けて、二人ともこれまで想定していたのではない生き方を選ぶ。映画化もされていて、ぜひ見たいと思っている。


「生命誕生〜地球史から読み解く新しい生命像」
中沢弘基著 講談社現代新書
この地球に生命が誕生し、植物や動物に進化していったのはどれほどの奇跡なのかがやっとわかった。だが永遠はない。いつかこの地球上から生命が消えていくであろうことも薄々わかった。難しいのだけれど、読ませる。最近理系の本を意識的に読んでいるのだけれど、この本は理系から遠く離れた私でも読めたし、理解がきちんとできたとは言わないが、読みながら衝撃を受けた。月や星を必死に見るようになったのもこの本の影響が大きい。

「赤い魚の夫婦」
グラダルーペ・ネッテル著 宇野和美訳 現代書館
メキシコの作家が動物(魚、猫、蛇など)を主役の分身?に据えて人間関係を描く。妊娠によって揺れる夫婦関係を赤い魚に投影させたり、仕事のチャンスをふいにしそうになる自分の妊娠とペットの猫の妊娠を重ねたり、ゴキブリを通して伯母と母との関係を見据える少年とか……。「本当は喜ばしいことであるべきなんだけれど、裏側にはそうではないざらりとしたものがある」ことを登場する動物たちが語っているある種のホラー。いや、ほんとおもしろかった。

最後の最後まで「不祥事発覚」「辞任」で何回もつまずいて転びそうになりながらの大会ですが、今日開幕ですね。
でもコロナ感染拡大で東京で1日2000人近い感染者が出ている下で開かれることだけが問題ではありません。オリンピックはもうかなり以前からそのあり方に大きな疑問が投げかけられてきました。
そもそもオリンピックは始まり(1896年@アテネ)から、帝国主義的、人種差別的、性差別的なスポーツイベントで、その体質が今も根強く残っていることが長らく批判され続けています。
ある特定の人種(白人)、ある特定の性(男性)、ある特定の民族(欧米「先進国」)に属する人たちが、自分たちの身体的優位をそれ以外の「文明化されていないと自分たちが考える人たち」に誇ろうという意図で開かれてきたことは、歴史が明らかにしています。実は「平和の祭典」「人類みな平等」という看板は、IOCがブランド維持のために掲げているだけで、戦争や紛争や政治的問題が起こるとたちまち「中止」になったり、「抗議のために不参加」の国が出てくることがいったい何回あったことか。
コロナ禍下で行われる今回の東京オリンピック。
オリンピックだけでなく、スポーツの国際的なメガイベントがこれからどういう方向に向かっていくのかをあらたな視点から考えるヒントがつまっている対談です。否応なく時代は大きく変わろうとしていることを感じさせます。


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