「小林カツ代の「おいしい大阪」」
小林カツ代著
文春文庫
何年か前にお手伝いさせていただいた本が文庫化されました。
(もとは「小林カツ代はこんなにいろいろ食べてきた」)
「小林カツ代キッチンスタジオ」のご協力でレシピがつき、ケンタロウさんが解説を書いていらっしゃいます。
読み直すと、昭和はじめの大阪の景色、におい、喧騒があらためて感じられて、とてもあたたかな空気に包まれます。そしてまた、食べ物が全部おいしそう! この本の取材で小林さんと大阪を一緒にまわったとき、こんなにおいしいもんが大阪にはあふれているんだ、と感動したのですが、それはひとえに小林さんの食に対する深い見識と、おいしいもんをおいしいと表現なさるそのお人柄のおかげだったな、と思いました。
この本にかかわれて、小林さんとひとときをご一緒できたことを、とても光栄に思っています。
いい本です。またね、イラストがすばらしい!!あまりにもおいしそうで、ごっくんとのどがなります。1点、食堂のメニューのページをのせました。なすの煮付けなんか、もうこれ以上ないほどのつやで描かれてます。
ぜひお手にとってごらんくださいね。
大阪にはおいしいもんがいっぱいや!
左の新刊案内でもご紹介していますが、女の子ための仕事ガイドシリーズ 第8巻が出ました。
「クリエイターになりたい」
理論社
文章、絵、音楽、コンピューターそれぞれの分野でのクリエイターを紹介しています。
私はコンピューターの章を担当。
毎回この仕事をするたびに、一流の仕事をしようと志している女性たちは、言葉をもっているなあと感動します。
仕事に対してだけでなく、家族についても、友人についても、生活することにも、真正面から取り組んでいて、それでいて肩の力が抜けている。悩みも多いのだろうけれど、それさえも楽しんでいる方々ばかりです。
今回もそんなきらきらする女性たちを20人近く紹介しています。
そしてもう1冊。前のブログでも紹介した
「天才シェフ 危機一髪」
日経BP社
世界のカリスマシェフたちが働くレストランの厨房での裏話が楽しいコラム集です。
新刊出ました!
「天才シェフ 危機一髪――世界一流レストランの舞台裏で起きた40の本当のお話」
キンバリー・ウィザースプーン/アンドリュー・フリードマン著
実川元子/松野泰子訳
日経BP社
「サウンド・バイツ」につづいて、また食べ物本です。
世界の一流レストランのカリスマシェフたち――<エル・ブジ>フェラン・アドリア、<バッボ>マリオ・バターリ、<レ・アール>アンソニー・ボーディン、<チェントリーレ>ピノ・ルオンゴ、<シドニーズ・ロックプール>ニール・ペリー、<ル・ベルナルディン>エリック・リパートなどなど――が語る、これまで経験した肝を冷やすエピソードの数々を集めたコラム集です。
修行に行った先(たいていフランスの三ツ星レストラン)で言葉ができないために失敗したりイジメられたり、オーナーやホールのスタッフとケンカしたり、超有名人の予約をうっかり断ってしまったり、もちろん料理をこがしたり、予定していた材料が配達されなかったり、といった「ありきたり?」の失敗も数々披露されています。
レストランは舞台のようなものだ、と一人のシェフが言っていますが、まさにそのとおり。でも、舞台に立つのは客です。料理は小道具。それを総合的に演出するのが、シェフ。給仕長が舞台監督。客たちがのびのびと演技して、楽しい数時間を過ごせるように、演出家と舞台監督は見えないところで汗をかきまくる。そんな様子がよくわかります。
40編のどれもが刺激的スパイスがきいていて、それでいてさらりと読めて、後味もよい!
おなかがすいているときにも、満腹のときにも、ちょっとつまみたいなという気分のときにはぜひどうぞ!
株価が暴落した。
バブル崩壊以来の下げ幅。
私がフリーランスになってまもなくバブルが崩壊し、失われた10年が始まった。
よくこんなときにライターだの翻訳だの、誰がどう見てももうからない仕事を始めた、と自分でも思ったものね。いや、あのころは世間知らずでありましたゆえ、今一つわかっていなかったかも。
それからすでに18年たち、出版不況は延々と続き、モノを書いておカネがいただける場所は紙からしだいにネットへと移行し、でもネットでのモノカキの職業としてのビジネスモデルはまだ確立しておらず(というかモデルもなにも存在しておらず)、言葉はどんどん空虚にネットのヤミに消えていくものとなり、そこにやってきたこのアメリカ版バブル崩壊の余波で、今度こそどうなってしまうんだろう、と不安ばかりがつのる。
私は基本的にものすごいオプティミストなんだが、小心者なので何かあるとひどくペシミストになる。
モノカキになったばかりのころは、モノカキの仕事がまったくなくなったらほかの仕事をしようと考えていた。
でも、自分ではよくわかっている。私はモノカキ以外の仕事ができない。ほかの仕事は無理だ。考えてみれば、幼稚園のころから「本を読む」「文章を書く」以外のことには興味もなかった。性格がまじめだから、学校の勉強は手を抜かなかったし(でも夏休みの計算練習帳とか、家庭科でブラウスを縫うとか、そういうのは大胆にもいっさいやらなかった)何しろ文字を読んでいさえすれば幸せだったので、物理だろうが化学だろうが教科書はもらったその日から読み始めて、たいてい春休み中に読み終わるというような人だったから(理解はまったく別。ただ読んでいただけ)成績はそこそこだったが、国語と英語と歴史以外はまったく興味がなかった。
会社勤めは楽しかったし、大好きだったけれど、事務系の仕事は得意でなかった。よくモノをなくしていたし。たぶん興味がなかったのだと思う。それでも長く続いたのは、文章を書く仕事だったからだ。
だから、年齢とかそういうことに関係なく、私はモノカキ以外の仕事はできない。一生これをやっていくしかない。でも、はたして私が死ぬまで(78歳で死ぬつもりでいる)モノカキという職業が成立しうるかどうか、はなはだ不安だ。
そんな不安にさいなまれる今日の私はペシミスト。
ま、悩んでいてもしょうがない。
書き続けるしかないからね。
夕飯はポテトグラタン、プチトマトのサラダ、鶏肉のポトフ。
関係ないけれど、ごはんのとき、レーシックの手術をした娘が、視力がいきなり1.5になって、何もかも見えすぎてぎょっとするといっていた。視力があがると、そりゃ世界も変わるだろうなあ。



