読む快楽

活字中毒患者です。朝15分読まないと起き上がれない。最低1時間読まないと眠れない。夢中になって読んだ本を教えずにいられない。おもしろい本、 常時募集中!

昨年から書道教室に通い始めた。

楽しい! いま、私のストレス解消は筆で字を書くことだ。

パソコンで字を書くより、はるかに楽しい。(あたりまえか)

「蘭亭叙」の臨書にやっと足を(手を)踏み入れたくらいなので、まだまだ「これを書きたい!」といって書ける段階ではないのだが、いつか書いてみたい文字を探すのが、これまた楽しい。

「新唐詩選」とか「万葉秀歌」などを広げ、いつかこの詩や歌を書いてみたいなあ、どんな字で書こうかなあ、などと妄想をふくらますのが、最近の仕事の息抜きだ。(そういう本の下にあるのが、仕事の英語の本っていうのがなんともだが)

書いてみたい漢詩のひとつ。

閨 怨(王昌齢)

閨中少婦不知愁

春日凝粧上翆樓

忽見陌馬楊柳色

悔教夫婿覓封候

若い妻(少婦)は夫がどこか遠くに兵士として出征中、何も考えることなく、何も思い煩うこともなく(不知愁)毎日お化粧し、着飾ってふわふわ過ごしている。

春でお天気がいいので、すっかり気分がよくなっていつもより濃い目に化粧をし(凝粧)、なんとなく二階(翆樓)にあがって外を眺めてみた。

そしたら目に入ったのが青々とした川の土手。いつの間に柳の木々の緑があんなにこくなったのだろう。

それを見ていたら、なんだか悲しくなった。

夫には「出世して、えらくなって帰ってきてね」なんていって送り出したけれど、なぜあのときとめなかったのだろう。

今頃になって悔やんでしまう......。

という内容。(岩波新書「新唐詩選」 吉川幸次郎氏の解説)

わかるなあ、この心情。

自然界は命が燃え立つような季節を迎えていて、なんとなくそれに浮かされて自分も着飾ってみたものの、春の勢いから一人取り残されていることに気づいてむなしさがつのるばかり、という気分。

こういう詩を書いてみたいですなあ、春には。

 

「自然体――自分のサッカーを貫けば、道は開ける」

遠藤保仁著

小学館101新書

 

遠藤保仁(敬称略)はいまやサッカーファンならずと名前を知っている超有名サッカー選手である。私にとっては、彼(と山口智)の加入がガンバの大きな転機になった、という意味で偉大な選手である。

1999年のワールドユースで大活躍したものの、遠藤選手の日本代表選手としてのキャリアはけっして順調ではなかった。トルシエ元監督にはどうも嫌われていたらしく、(その理由についても、ヤット=遠藤選手はちゃんと本書のなかで自分なりに分析して書いている)シドニーオリンピックではサブにさえも入らず観客席で観戦した。2002年のワールドカップにも選にもれた。北京オリンピックは、病気で辞退せざるをえなかった。

私はヤットがジーコ元代表監督のもとではじめて代表戦に出たときのことをとてもよく覚えている。国立競技場で19番の背番号で出場したヤットに、やたらと興奮した。これで彼が代表に定着するに違いない、と期待した。その後アジア杯やコンフェデでもレギュラーで出場していたが、2006年のワールドカップではフィールドプレーヤーで唯一、ピッチに立てなかった。その理由についても、ヤットはまた自分なりに分析して書いている。

オシム元代表監督のもとでは主軸の選手となり、いまや代表は遠藤選手抜きには試合にならないほどだ。遅咲き、とか、運が回ってきた、とか、いまのヤットについていろいろ周囲は言うけれど、この本を読むと、彼は自分なりに「どうしたら試合に出られるだろうか?」と分析し、考え、努力して今のステータスを勝ち取ったのだとわかる。

ヤットは「がんばる」とか「(代表やスタメンに)くらいつく」とか、そういう言葉も態度も「自分らしくない」と思っている、と口に出しても言っていたし、態度にも出していた。よく言えばクール、悪く言えば淡泊だった。2006年まで、ガンバの試合でもいいときと悪いときの差があって(チームとしての出来不出来の問題が大きかったが)、悪いときには運動量がなくて、「がんばらない」ヤットに私はずいぶんいらついた。だが、2007年ごろから出来不出来の差がなくなってきた。とくに昨年、病気で倒れたあとからはプレイが変わった。球際が厳しくなったし、がんがんシュートを打つようになったし、得点したあとにものすごく喜ぶし、はしゃぐし、そういうヤットを見て変わったなあ、と思っていた。

何が彼を変えたのか? ヤットは本書のなかで病気をしたことや人との出会いやつらかった経験などいろいろ挙げているのだが、なんといってもイビツァ・オシム前代表監督だ、という。走ることもたいせつさ、考えること、そしてサッカーは「気持ち」が決めてとなること。それをオシム前監督から教わった、のだと言っている。その部分を読んで、ヤットはクレバーなだけでなく、感性が豊かで、ふところが深い人なのだなあ、と思った。なぜなら、オシムさんは「(こういうときに)走れ」とか「気持ちを出せ」とか、直接的な言葉でアドバイスする人ではないし、ほかの監督のように露骨ながむしゃらさを買うような人ではけっしてないから。オシムさんが伝えたかったことを、たぶんヤットは非常に的確につかんで、自分のなかで消化して変わった。そこが彼の人間性なのだと思う。

息子といってもいいほどの年齢の人が書いていることだけれど、私は教えられたことがあった。「成長したい」(もっとうまくなりたい、もっと強くなりたいなど)という気持ちを失ってしまったら、その時点で人は退歩していく、ということ。年齢や置かれた環境や自分の能力の見極めなど、「成長する」ことをあきらめるいいわけは山ほどある。でも「今の自分よりもっと上の人間になりたい」という気持ちをけっして失ってはいけない、ということ。あたりまえなのだけれど、10年間わりに間近で見続けてきた選手に言われると、ああ、ほんとにそのとおりだ、と勇気をもらった。

素朴な言葉で訥々と語られているのだけれど、遠藤保仁という人を少しでも知っている人にとっては、きっと興味深いはずだ。ガンバサポなら、即本屋に走るべき。

昨晩は娘の友達が遊びに来ていました。

大学3年生で、ひじょ?にきびし→シューカツチュ?(こんなイントネーションでしゃべってた)

「今日は〇〇(→娘の名前)ママにエントリーシートをお手伝いしてもらおうと思って」と広げ、「最近読んだ本と映画、それぞれ3つずつ、何を書けばいいですか?」......って、それ、私に聞いてどうすんだ??

でもやさしい私は、マスコミ系企業2社それぞれに受けそうな本や映画を教えちゃいましたよ。で、その本やDVDを貸して「面接までに必ずチェックするように」と厳命しました。もちろん、自分の本を1冊ずつ入れました(苦笑)

「サウンド・バイツ」「エンパイア」。サブカル(死語)系も出すところと、経済ものが強いところだったんで。ポイントも教えた(というより私が書いた)

そこで娘が一言。

「ママがいま受けたら、きっとその会社受かるね」

あのね、私が受けてどうすんのよ。

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motoko
 人生でたいせつなものは本とサッカーと料理とファッションに教えてもらった、などと言ってみたいモノカキの日常

PROFILE

 職業はモノカキ/翻訳業。書いていきたいテーマは「女」「子ども」「衣食住」。得意技はなんでも一晩寝ると忘れること。

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