読む快楽

活字中毒患者です。朝15分読まないと起き上がれない。最低1時間読まないと眠れない。夢中になって読んだ本を教えずにいられない。おもしろい本、 常時募集中!

「英国のダービーマッチ」 ダグラス・ビーティー著(白水社刊。9月予定)

の初校がようやく終わりました。

ふ~。

自分も相当のサッカーバカだと思っていましたが、いやいや、英国にはとんでもないサッカーバカがゴマンといるのだ、ということがわかってしまいました。首相や大臣も自分が生まれた街のサッカークラブのファンで、ダービーマッチには何をさておいてもいく、というところ。(マンガを読む首相とはちとちがう)

友人も、家族も、学校も、もちろん職場もサッカークラブに結びついている。

そういう話です。

ところが、実は主題はサッカーではない、ということに読み終わって気づきます。

主題は、「土地の記憶」。

私たちが生まれて、育って、暮らしている土地には、長い長い歴史によって育まれてきた記憶があります。その記憶がよみがえって、いきいきとした姿となって立ち現れるのが、英国ではダービーマッチだ、というのです。サッカーと結びつくことによって、そしてライバルクラブとの差異化をはかろうとすることによって、人々のなかに「土地の記憶」がより鮮明に刻みつけられていく。

私にとっての「土地の記憶」とはなんだろうか、と訳しながら考えました。

週末に韓国にいってきて、えらく疲れました。

暑かったです。毎回、韓国に行くたびにおなかをこわします。韓国料理が合わないのかなあ。

初校も終わったし、ちょっと一息......なのですが、ここで気を抜くとずるずるいきそうなので、休まないように、と思っています。

 

ビール大好き、お酒大好き。でも、お酒はやめられます。去年、3か月ほど禁酒したあと、気づくと飲んでいない、という日も多いです。

甘いもの、大好きです。でも、別に食べなくても平気だし、そもそもケーキやアイスクリームなどは、たまーにしか食べません。スイーツ食べ歩きなんて、やったことないし(本当に私は甘いものが好きなのだろうか?)

起きたらなんとなくPCは立ち上げますが、ネットもメールも見なくていいといわれれば、喜んで見ないです。全然平気。

テレビも音楽もなくてもOK。そもそも音楽はまったく聴いてないし。

性格がまじめなので、仕事や運動や家事は毎日やっていますが、やるな、といわれたらやらないかもしれません。(でも誰も言ってくれないからなあ)

でも、どうしてもどうしてもやめられないことがあります。

それは、本を読むこと。

本を読んではいけない、といわれたら、私は「ならば死ねというのですか」と迫るでしょう。たとえ「本を読んだら逮捕・起訴」といわれても、読まずにはいられない。留置所への差し入れは、刑期が延びるのを覚悟で本でお願いします。

6歳で一人で本が読めるようになったときから(何回も書いていますが「ピーターパン」でした)、どうしても本を読まずにいられません。雑誌や新聞ではだめなんです。紙に印刷された本じゃなくちゃダメなんです。

もし、電子出版が一般的になり、紙の本が消えることになったら......。

それまでに、どうか私の寿命が切れますように。

読みたい本をもってベッドに入るときの至福。どうか死ぬまでつづきますように。

 

 

そしてもう一つ。

ガンバの応援はやめられないなあ。

ほかのもっと安定した成績を残せる、たとえば鹿島とかにしたらいいのに、とか、どうせならプレミアとかリーガとかのビッグクラブにしたら心の平安が得られて、しかもかっこいいのに、とか、いっそのことサッカーじゃなくて別のスポーツのファンになってみたら、とか、いろいろ考えて四苦八苦してみたのですが、無理でした。

何が起こっても、私にはただ応援するしかできません。もう泣きそうとか泣いたとか悶死しそうとか憤死したとか、のたうちまわっているけれど、やっぱりガンバが好きだよ~~。嫌いになれたら、無視できたら、どれほどラクか。

 

「うさぎドロップ」

宇仁田ゆみ著 祥伝社

 

 ひさびさにマンガを読んで泣きました。

 いや、泣くような内容ではなかったのだけれど、もう1冊ごとにぐっとくるセリフがあったので。

 ざっとあらすじを説明すると、30歳のサラリーマンが、おじいさんの葬式に行くと、その子どもという5歳女児がいて、しかも母親がいない。誰もが引き取りたがらないところで、義憤にかられたのと、子どもがかわいそうに思って独身にもかかわらず無謀にも引き取ってしまう。四苦八苦しながら子育てしていくうちに、仕事だけだった日々からは見えないものが見えてくる......というお話。

 名セリフがいくつもあるのだけれど。

「子どもなんて、うるさい連中ぐらいにしか思ってなかったのになァ。とはいえ、「子どもはみんなかわいい」なんて、とても思えない俺だけど、できるなら全員笑っていてほしい、と思う」(保育園の卒園式で、おゆうぎや卒園の歌を歌う子どもたちの姿に滂沱の涙を流しながら、主人公がつぶやく)

「俺がりん(引き取った女の子)を育てているのか、俺がりんに育てられているのか、ちょいちょいわからなくなる」

「子どもは熱が出る前に、くっついてきたり、甘えたりすることがあるんです。たぶん無意識に」......というのは、男の子を一人で育てている(美人の)二谷さんにことば。

「仕事の時間も自分の時間だし、子どもと一緒にいるときも自分の時間だし~、自分の時間がほしいっていうのがよくわからないな」(「子どもができると自分の時間がなくなるのではないですか?」という質問に対して、二谷さんが答える)

 もちろん、これはマンガで、夢物語です。30歳独身男子が幼い女の子を引き取れるか、というと、それはいろいろ障害がありすぎるだろう、というのもわかります。

 でも、働きながら子育てしてきた私には、涙なしには読めないマンガです。

 この国は、子どもが育てやすい国ではありません。ましてや働きながら育てる環境は、整備されているとはいいがたい。子どもが少なくなってきたいま、ますます子育て環境は厳しいです。それは、「子どもを育てる」という経験をしている人が、あまりにもかぎられているから。しかも「子どもを育てる」ことを、頭のなかだけで語っている人が多すぎるから。

 一人の人間を育てるのは、きれいごとではありません。しかも、つまんないことの繰り返しです。子どもが小さかったとき、私の頭の中は「おしっこ」「ウンチ」「メシ」「睡眠」でいっぱいでした。いつ、どこで、おしっこさせて、ウンコさせて、何を食わせて、どうやって眠らせるか。そればっか。でも、考えてみたら、人間の営みの基本はそこにあるかもしれません。どんなエライおっさんでも、どんな美女でも、その基本をおさえてなかったら、生きていけませんもんね。

 子どもの不安、親の不安、子どもの喜び、親の喜び、どれも日常のほんのささいな(主人公の言葉を借りると「ミミッチイ」)ことばかりです。ささいなことなんだけれど、親にとっても子どもにとっても「人生の一大事」。それを一つひとつ乗り越えていくことで、親も子も少しずつ強く、大きくなっていく。そんなことを、ミミッチイことから一番遠いところにいる独身男性に経験させる、という視点があたらしい。「PAPA TOLD ME」よりずっと現実味がある。

 子育てが(ほぼ)終了している私にとって、働きながら子育てした20代、30代、40代は、怒涛の日々であると同時に、充実した楽しい日々でもありました。失敗も後悔もいっぱいありますが、子どもがいなくては得られないものも多かった。子どもが生まれる前と後では、世の中を見る目がまるで変わりました。

 子どもが病気をしたとき、はーはーと高熱にうなされる子どもを見ながら、「変わってやりたい」と切実に願う主人公がいます。この「変わってやりたい」という思いは、子どもを育てなくてはわからなかった気持ちでした。自分ではない誰かを、自分以上にたいせつに思うこと。私はその気持ちを、子どもが生まれるまで知りませんでした。

 そんなことを思い出して、笑ったり泣いたりするマンガです。

 ああ、また読み返しちゃおう。くにこさん、教えてくださってありがとうございます!

昨日、ちょっと無理をした。

大学の授業のあと、昼食抜きで図書館にこもってぶっつづけで5時間仕事をして(バカ、私ってバカ)、打ち合わせでちょっと人に会って、飛んで帰ってごはんをかきこんでからジムに行った(バカバカ、私ってバカ)。

でもって、夜、ものすご~く疲れたなあとごろごろしながらなぜか娘と「ぷっスマ」を見てガハハと笑ってから(バカバカバカ、私ってバカ)、ベッドに入った。ジムに行ったせいかなんとなく寝付けなくて、そのまま有川浩の「ヒトモドキ」を読んだら、これがもうほんとにぞーっとするくらい気味の悪い話で、完全に眠りを妨げられた。

もうバカとしかいいようがない。

「ヒトモドキ」は淡々とした語り口なのに、しかも書かれていることは身の回りでいかにも起きそうなことなのに、とにかく不気味で、うなされるのに十分なほどこわかった。

「阪急電車」by有川浩もそういえば、恋愛小説、人生模様、ほのぼの、さわやか、の語り口のはずなんだけれど、そういや毒がしこまれていたなあ。

阪急電車今津線は、私が12年間お世話になった路線だ。こないだひさびさに乗ったら、ずいぶん変わっていてびっくりした。

あ~バカな自分のせいで、今日はおそろしく体調不良です。

 先日、翻訳業という仕事についていろいろ聞かれる、という機会があり、最後に司会者の方が「つまり翻訳がお好きなんですね。好きなことがお仕事になってうらやましい」とか言われて思わず絶句しました。

 そもそも、私はそれまで「今、翻訳することの意味を見いだせないと、翻訳しつづけるモチベーションは上がらない」という話を延々としていたので、その「つまり」という接続詞はどこから出てきたのか、と小一時間問いただしたいところでしたが、最後のまとめに入っているところで時間がなかったのであきらめました。

 そのときは場の雰囲気を読んで(あ~いやな日本人的感性だ)、「好きなこと」についての反論はしなかったのですが、この場を借りて(苦笑)ちょっと書いてもやもやしたものを晴らしておこうかな、と思いました。

 たしかに翻訳業を始めてからすでに20年がたち、数えてみると50冊近く翻訳してきているわけなので、好きか嫌いかどっちなんだと迫られれば、まあ、好きのほうにふれるかな、と思います。でも、趣味ならともかく、仕事って「好き」と「嫌い」でやるものなんでしょうか? 少なくとも今の私は、翻訳しているときに「わー翻訳好き好き楽しいなあ、るんるん」じゃあないなあ。そういうときもありましたが、そのときはまだ翻訳が仕事だ、という認識は低かったと思います。

 そもそも「翻訳(するの)が好き」とはどういう感情なのか? 

 翻訳は頭脳労働だと思われていますが、私がやっていてときどきため息をつきたくなるのが「肉体労働だなあ、こりゃ。それもかなり厳しい肉体労働」ということです。体調が悪いと翻訳できない。根をつめる体力がないと、とてもこなせない。仕事にするためには、やはりお金をいただかなくてはならず、そうなると納期も守らなくてはならないし、量もこなさなくてはならない。規則正しい生活をして健康状態を維持し、モチベーションをつねに一定に保っておかないと、すぐに効率が落ちて、翻訳をすること自体いやになってしまう。そうなると、理性が働かなくなる。どよーんとした気分になって、好き嫌いでいえば、このときははっきり「翻訳、大嫌い」になってしまうわけです。そう、好きか嫌いかでこの仕事をやっていると、風邪をひいたくらいでも嫌いになるのは実に簡単です。

 それと、いかにも一人でできる仕事に思われるでしょうが、編集者をはじめ、原著者や下訳の方や読者やそのほか大勢の人たちとの分業です。ほとんどの仕事と同様です。だから人間関係のわずらわしさもいっぱいあります。(もちろん、人間関係の楽しさやおもしろさのほうがまさっていますけれど)

 好きな分野の好きな作家の本だけを訳していてすむのだったら、そりゃ好きっていえるかもしれないけれど、そんなことができる人は大学の先生とか、ベストセラーに当たった人とか、ほんとわずかでしょう(いや、ほかにもいるかもしれないけれど)。好きな分野ではなくても、おもしろい! これは訳したらいいね! という分野を幅広くもって、自分が今まで知らなかった考え方や感じ方をおもしろがる。それがないと、仕事にはならない。

 私は、できるかぎり「好き嫌い」とか「楽しいつらい」とか、そういうことを翻訳をしているときに持ち込まないようにしています。もくもくと辞書を引き、もくもくと百科事典を読み、もくもくと原書を繰り返し読み、毎日体調に気を配り、モチベーションを落とさないように気をつけながら、キーボードをたたき続けていきたいです。

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チャック・コール著
マービン・クローズ著
実川元子訳
2010年サッカー・ワール
ドカップが開催される南アフ
リカ共和国は長く人種差別
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スポーツで自由を勝ち取った
男たちの知られざるノンフィク
ション。W杯のもう一つの真
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伝子、脳、身体、心理のあ
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新刊 英国のダービーマッチ

英国のダービーマッチ(mini).jpg

「英国のダービーマッチ」
ダグラス・ビーティ著
サイモン・クーパー序文
実川元子訳
白水社
英国8都市のライバル関係に
あるサッカークラブ同士で行
なわれるダービーの歴史を背
景に、クラブや市の関係者、
サポーター、ファンから一
般市民のダービーに寄せる
思いを描きだす。ナショナル
ではかれない「ローカル」
の発想を知るうえでも
好著。

新刊 「堕落する高級ブランド」

「堕落する高級ブランド」
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女の子のための仕事ガイドシリーズ 第8巻
文章、絵、音楽、コンピューターの4分野にわたって、それぞれにかかわる仕事をインタビューと「どうすればなれるか?」の2本だてで紹介しています。一流の仕事をしている(もしくは志している)女性たちの言葉は、きらきら輝いています。写真が増えて、ますます読みやすくなりました。中高生向けですが就活の大学生にもぜひ読んでもらいたい。
motoko
 人生でたいせつなものは本とサッカーと料理とファッションに教えてもらった、などと言ってみたいモノカキの日常

PROFILE

 職業はモノカキ/翻訳業。書いていきたいテーマは「女」「子ども」「衣食住」。得意技はなんでも一晩寝ると忘れること。

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